顧客と企業のコミュニケーションのあるべき姿を考える

2020.06.25

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この記事の著者

竹内 哲也

NTTデータ、コーポレイトディレクション等を経て、2014年にデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムに参画。2018年より株式会社アイレップも兼務し、グループ全体の統合デジタルマーケティングを包括的に牽引。2019年度より株式会社アイレップ専任執行役員。NEWSY、タービン・インタラクティブ、シェアコト3社の社外取締役も兼任。早稲田大学政経学部卒。専門は事業開発。

NTTデータ、コーポレイトディレクション等を経て、2014年...

本記事は、デジタルマーケティングを統合的に分析するためのフレームワーク「7つのC(7Cs with D)の中から、「Communication」に該当する部分を深堀した記事になります。

分析フレームワーク「7つのC」に関してまとめた記事はこちらを参照ください。

コミュニケーション戦略の全体像

「アクイジション施策」、「カスタマーエンゲージメント施策」、「フルファネル施策」、「コンテンツマーケティング施策」の4つの施策に関して説明していきたいと思いますが、これらの施策がそれぞれどのような位置づけになっているのか分かりづらいため、まずは、マトリックスで整理して、ご説明したいと思います(図1)。

 

30766363996_2(図1:各施策の位置付け整理)

 

まず、横軸に、新規顧客の獲得を目的としたアクイジション施策と、既存顧客との関係構築を目的としたカスタマーエンゲージメント施策を並べます。また、フルファネル施策は、LTVの観点から、新規顧客と既存顧客を一気通貫でサポートしていくという観点になるので、アクイジション施策とカスタマーエンゲージメント施策の上に記載します。これで横軸が完成しました。

次に、縦軸に、「広告」と「コンテンツ」の2つのキーワードを置きます。これは、顧客とのコミュニケーションに、広告という手段を用いるか、広告以外のコンテンツという手段を用いるか、ということを意味しています。

マトリックスから分かることは、新規顧客とコミュニケーションを図っていくアクイジション施策では、広告プロモーションという形で接点を作っていく場合と、広告以外のコンテンツを使って接点を作っていく場合の2つの方法論が存在します(もちろん、実際のキャンペーン施策では、広告とコンテンツは連携していきます)。

一方で、既存顧客とコミュニケーションを図っていくカスタマーエンゲージメント施策では、メールやモバイルプッシュ、ソーシャルメディアでのメッセージング配信が主体となるため、広告という手段は使わずにコンテンツを活用したコミュニケーションを図っていくことになります。

フルファネル施策の場合は、全てを統合的に推進していくため、広告もあればコンテンツもあり、総合的なコミュニケーション施策を考えていくことになります。

それでは、「コンテンツマーケティング施策」は、どのような位置づけになるのでしょうか。マトリックス図からも分かるとおり、コンテンツマーケティング施策は、アクイジション施策やカスタマーエンゲージメント施策の切り口ではなく、コンテンツの観点から、新規顧客、既存顧客とのコミュニケーションを図っていく施策だということが分かるかと思います。

例えば、ブログで情報発信をすることで、それがGoogle 等の検索エンジンに引っ掛かり、それを見たユーザーが、企業のオウンドメディアに来訪するのも、コンテンツマーケティング施策のひとつです。また、Twitterなどのソーシャルメディアで情報発信をして、それを見たユーザーが、コンテンツを拡散していくというのも、コンテンツマーケティング施策のひとつです。

 

各施策と想定される課題

アクイジション施策

アクイジション施策は、見込み顧客や潜在顧客といった新規の顧客層をターゲットとして、コミュニケーションを図るための施策になります。KPIのところで述べた、「ブランド認知」や「会員獲得数」などの指標を達成していくことが目標になります。メインの施策は、広告プロモーションで、LINEやFacebook、Google 等のメディアを活用して新規顧客にリーチし、オウンドメディアやランディングページに見込み顧客を呼び込み、ブランド認知や購買促進を図っていきます。
(「ブランド認知」は厳密には、アクイジションではなく、「Awareness」などの前工程に分類されるかと思いますが、本書では、新規顧客とのコミュニケーションは全てアクイジションという括りで整理します)

トレンドとしては、データを活用したターゲティング配信や、運用型広告になります。コンテンツを活用した取り組みとしては、ブログやSEO、ソーシャルメディアを活用した情報発信などが挙げられます。

想定される課題としては、昨今、話題となっている「アドフラウド(不正クリック)」や「ブランドセーフティ(不適切なサイト表示)」など、自社サービスのブランド価値を毀損するような広告に対処していく必要があることです。

カスタマーエンゲージメント施策

カスタマーエンゲージメント施策は、商品を購入したり会員登録をしてくれた既存顧客に対して、コミュニケーションを図るための施策です。KPIでいうと、顧客1人あたりの売上アップにつながる指標や、顧客のステイタス状況を把握するための指標を達成・改善していく必要があります。

マトリックスのところで整理したとおり、基本的には広告以外の手法を使ってコミュニケーションを図っていきます。MA(マーケティングオートメーション)を活用したメール配信やモバイルプッシュ、ソーシャルメディア向けのメッセージング配信ツールを活用したコンテンツ配信などを行って、顧客とのエンゲージメントを高めていきます。

カスタマーエンゲージメント施策の場合、配信管理のためのシステム導入に一定投資がかかること、また、導入はしたもののサービス運用体制が築けず、システムを入れただけになっているケースが多いかと思います。これは、広告代理店がカスタマーエンゲージメント領域に対応しきれていないことも要因のひとつかと思います。

フルファネル施策

「フルファネル施策」は、アクイジション施策、カスタマーエンゲージメント施策を別々に行うのではなく、新規顧客へのブランド認知から、会員登録、その後のフォローアップによる売上アップまで、LTVの観点から、顧客を包括的にサポートしていくマーケティング施策になります。統合的に実施していく必要があるため、難易度が高い施策ではあります。

一般的に、アクイジション施策は広告プロモーションが中心となるため、主幹部門は広報部で、対応する事業者も広告代理店が得意とする領域です。一方で、カスタマーエンゲージメント施策は、主幹部門はカスタマーサポート部門で、対応する事業者も、MA(マーケティングオートメーション)等のシステム導入をサポートできる専業の事業者やシステム開発会社が得意とする領域です。

ですので、想定される課題としては、それぞれの施策を統合的に推進する部隊がないと、フルファネル施策をうまく回すことができません。また、当然のことながら、外部事業者に関しても、1社で対応できるところが少ないため、複数事業者をコントロールしていく必要があります。

コンテンツマーケティング施策

「コンテンツマーケティング施策」は、先ほど述べた通り、広告ではなくコンテンツを軸に、新規顧客向けの施策を考えたり、既存顧客向けの施策を考えたりする領域になります。

参考になる事例として、大塚製薬のポカリスエットの動画コンテンツの取組みがあります。YouTubeの大塚製薬の公式チャネルで配信されているWeb動画ですが、こちらは、高校生の男女4人が、世界の主要な都市で、ポカリのガチダンスを踊るというものです。色々なシリーズがあるのですが、動画の再生回数は、累計で5,000万回を突破するお化けコンテンツです。

コンテンツとしては、YouTubeで視聴できる動画が基本にあり、その抜粋編がテレビCMとして放映されるような作りになっています。こういった施策は、広告ありきの施策というよりは、コンテンツマーケティングを軸に考えられている施策だと思われます。

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