MozCon2020 セッションレポート:危機的な状況下で検索キーワードやターゲットの動きを把握する

2020.09.08

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この記事の著者

増渕 佑美

2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタントとして従事。ソリューションビジネスUnitインバウンドマーケティングDivに所属。通販や人材などデータベース型サイトを中心に経験を積んでおり、現在はメディアサイトのSEOも担当し幅を広げている。
好きなこと:散歩、パズル、動物の動画をみること

2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタント...

MozConとは、SEOに関連したツールやコンサルティングサービスを提供する米Mozが開催している、デジタルマーケティングのカンファレンスです。毎年7月頃に米国シアトルで開催されていましたが、今年は新型コロナウイルスの影響で「MozCon Virtual」としてオンラインで7月14〜15日に開催されました。

本記事では、米MozのマーケティングサイエンティストであるDr. Pete Meyers氏(以下、マイヤーズ氏)の「危機的な状況下で検索キーワードやターゲットの動きを把握する」についてのセッションをレポートします。このセッションでは、新型コロナウイルスによる検索トレンドの変化を例に挙げながら、キーワードやターゲットの検索トレンドを把握するための考え方やツールが紹介されました。

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参照元 MozCon『Moving Targets: Keywords in Crisis Dr. Pete Meyers』 (最終閲覧日:2020年9月2日)

(図1:Moving Targets: Keywords in Crisisと題してセッションを行った米Mozのマイヤーズ氏)

 

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トレンドをトラッキングし、深堀して調査する

マイヤーズ氏は、冒頭に新型コロナウイルスにより経済へ悪影響が出ていること、検索トレンド は大きく変化していることに触れ、マーケティングの観点でトレンドの変化を把握することの重要性を指摘しています。このセッションでは、そのトレンドの変化を把握するための方法について述べられました。

新型コロナウイルスに関連してトレンドが変化したキーワードに「ヘアサロン」と「髪の切り方」があります。「コロナウイルス」の検索トレンドは3月中旬にピークを迎えましたが、これとほぼ同じタイミングで「ヘアサロン」の検索トレンドは下降し、「髪の切り方」は上昇しました。この時期、ヘアサロンは休業していたためこのトレンド変化の原因は明確です。

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参照元 MozCon『Moving Targets: Keywords in Crisis Dr. Pete Meyers』 (最終閲覧日:2020年9月2日)

(図2:「hair salon」と「how to cut hair」の検索トレンドの変化)

 

マーケティングに役立てるため、さらにトレンドを深堀りしてみます。「髪の切り方」のGoogle トレンドの結果で関連トピックを確認すると、「ヘアクリップ」という製品購入の意図が含まれるトピックのトレンドも上昇していることがわかります。

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参照元 MozCon『Moving Targets: Keywords in Crisis Dr. Pete Meyers』 (最終閲覧日:2020年9月2日)

(図3:「how to cut hair」の関連トピック)

関連製品を扱うマーケターは、ヘアクリップを使いながら髪を切る方法についてのコンテンツを発信することで売り上げに貢献できるかもしれません。同様に「髪の切り方」のトレンドが上昇すると、一緒に上昇する可能性のある製品関連キーワード(「ヘアカット用ハサミ」や「カミソリ」「くし」など)を確認、把握することも重要です。

また、「Zoom」も新型コロナウイルスにより検索トレンドが上昇したキーワードのひとつですが、Google トレンドの関連キーワードを確認すると「Zoom 背景」や「スターウォーズ Zoom 背景」のトレンドも上昇していることがわかります。ヘアクリップと同様に関連製品を扱うマーケターにとって、貴重な情報となるでしょう。

トレンドが変化した別のキーワードの例として、「ユニコーンのぬいぐるみ」というキーワードも紹介されました。

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参照元 MozCon『Moving Targets: Keywords in Crisis Dr. Pete Meyers』 (最終閲覧日:2020年9月2日)

(図4:「stuffed unicorn」の検索トレンドの変化)

こちらも3月中旬に検索トレンドがピークとなっていますが、新型コロナウイルスが原因なのかどうか、トレンドのグラフだけでは判断できません。検索結果を見ると、製品としてのユニコーンのぬいぐるみの情報が多数表示されますが、これを見てもなぜトレンドが上昇したのかを把握することはできません。こういった場合も、Google トレンドの関連トピックや関連キーワードを確認することで原因がわかることがあります。この例では、世界的人気ゲームでユニコーンのぬいぐるみを探すチャレンジが3月中旬に公開されたことがトレンド変化に影響したと推測できます。

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参照元 MozCon『Moving Targets: Keywords in Crisis Dr. Pete Meyers』 (最終閲覧日:2020年9月2日)

(図5:「stuffed unicorn」の関連トピックと関連キーワード)

トレンドを知るための方法

マイヤーズ氏は、トレンドを知るための方法をGoogle トレンドの活用以外にも紹介しました。

・リテール向けのGoogle トレンド
Google が公開しているリテール(一般消費者への小売り)業界に特化したGoogle トレンドです。トレンドが上昇しているカテゴリや、それに関連するキーワードを把握することができます。(筆者注:公開当初は日本語に対応していませんでしたが、2020年6月に対応しました)

参考:Changes in Consumer Behavior: Rising Retail Categories - Think with Google

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参照元 MozCon『Moving Targets: Keywords in Crisis Dr. Pete Meyers』 (最終閲覧日:2020年9月2日)

(図6:リテール向けのGoogle トレンド)

 

トレンドを反映しているWebサイト

トレンドを反映しているWebサイトとして、Boing Boing Storeが紹介されました。このWebサイトのカテゴリページは、「在宅勤務の必需品」「余暇を活用するためのオンラインコース」「気晴らしのためのDIY」「自宅用フィットネス用品」など新型コロナウイルスにより外出できない現在の状況が反映されています。また、このWebサイトでは一見奇妙な製品も売られています。その製品群が売られている理由について考えることがトレンドの把握につながるとして、ミニ冷蔵庫とワイヤレススピーカーが合体した製品が例に挙げられました。これは、庭や玄関ポーチなどでの利用が想定された製品でしたが、現在の状況では新型コロナウイルスにより隔離生活を送らなければならない人がターゲットに当てはまります。マイヤーズ氏は、このWebサイトを見ると消費者から多くのことを学べると述べています。

参考:Boing Boing Store

Pinterest Trends

世界中で毎月4億人(2020年7月時点)を超えるユーザーが利用する※1画像共有サービスのPinterestが提供しているツールです。Google とは異なるオーディエンスのトレンドデータを確認することができます。また、Google トレンドと異なる点として、入力したキーワードの関連トピックがサジェストとしてトレンド推移と一緒に表示されること、ロングテールキーワード(複数語の組み合わせなど、検索数の少ないキーワード)の確認が可能なことが紹介されました。

(筆者注:2020年8月時点では米国のみに提供されており日本で使用することはできません)
※1:参照元 Pinterest の月間アクティブユーザー数が 4 億人を突破 :Z 世代、男性、ミレニアル世代が成長を牽引

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参照元 MozCon『Moving Targets: Keywords in Crisis Dr. Pete Meyers』 (最終閲覧日:2020年9月2日)

(図7:Pinterest Trendsで「at home」と入力して表示されるサジェスト)

 

Twitterの「高度な検索」機能

トレンドが上昇しているトピックやキーワードを見つけたら、Twitterの検索機能を利用することでどのような文脈で言及されているかを確認することができます。キーワードと言語、いいねやリツイートの最小件数、日付などを指定して検索します。

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参照元 MozCon『Moving Targets: Keywords in Crisis Dr. Pete Meyers』 (最終閲覧日:2020年9月2日)

(図8:Twitterの「高度な検索」の入力画面)

データソースを組み合わせてトレンドを把握する

最後に、マイヤーズ氏はワイン店のマーケターがトレンド調査を行う場合の例を示しました。

Google トレンドで調査

まず、Google トレンドで「ワイン デリバリー」を確認します。新型コロナウイルスの影響で飲食店に行けないことから、3月中旬に大きくトレンドが上昇しています。他にもマーケティングに役立つ情報が無いか、確認を続けます。次に「ワイン」を確認すると、過去1年間では年末年始の連休時のトレンドがもっとも高い状態でした。一方、「ワイン」の関連キーワードで、「国際ワインデー 2020」のトレンドが上昇していることに気づきます。Googleで検索すると、2020年の国際ワインデーは2020年5月25日でした。

Pinterest Trendsで調査

次に、Pinterest Trendsで「ワイン」を確認します。サジェストから、「ワインバスケット」が5月中旬に上昇していることがわかります。ワインバスケットとは通常、ワインと一緒にお菓子やグラスなどをバスケットに詰めてギフトとして贈られるものですが、Pinterest Trendsによると「ワインバスケット」のトレンドはクリスマスシーズンよりもはるかに5月中旬の方が高くなっています。

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参照元 MozCon『Moving Targets: Keywords in Crisis Dr. Pete Meyers』 (最終閲覧日:2020年9月2日)

(図9:Pinterest Trendsに入力した「wine」のサジェストで「wine basket」のトレンドが上昇している)

Twitterで検索

5月中旬のワインバスケットのトレンド上昇が、5月25日の国際ワインデーの時期と近いことがわかりました。国際ワインデーはどのような文脈で言及されているのか、Twitterでキーワードと最小いいね数、言語、期間などを入力して検索します。すると、グラス1杯の赤ワインはジムでの1時間に相当するという研究結果を紹介するツイートや、「Happy National Wine Day」のようにこの日を祝うツイートが確認できます。新型コロナウイルスで外出できないため、ジムに行く代わりに赤ワインを飲む人もいるかもしれませんし、この記念日を友人と祝うことができない分、ギフトを贈る人もいるかもしれません。こういった要因により「ワインバスケット」のトレンドは急上昇した可能性があります。

このようなトレンドに合わせて、商機をとらえたワイン店のオンラインストアも紹介されました。もともとラベルをカスタムしたワインを取り扱っていましたが、いち早く新型コロナウイルスを題材としたラベルデザインを取り入れたほか、ワインバスケットに葉巻やワイングラスを追加したギフトを贈れるそうです。

まとめ

このセッションでは、マイヤーズ氏が推奨する世の中のトレンド変化を読み取る方法が紹介されました。マーケターには、表面的なデータに留まらずに、トピックごとに適切な分析を行ってトレンドの変化を読み解き、施策を立案して実行するスキルが求められます。特に、新型コロナウイルスによりこれまでにない大きなトレンドの変化が起きている昨今では、このスキルの重要性がより高まっていくでしょう。

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