【第2回】新時代の営業スタイル「シン・セールス理論」~シン・セールス理論とは~

2020.10.06

Share

本記事は株式会社セレブリックス 今井晶也氏が執筆した「シン・セールス理論の完全解説|ニューノーマルで選ばれる、購買体験とセールスコンテンツ」からの転載です。

新時代の営業スタイルである「シン・セールス理論」を徹底解説する全5回の連載となります。今回はその第2回「シン・セールス理論とは」をご紹介いたします。

※シン・セールス理論では、「B2Bセールス」「新規顧客開拓」を攻略対象と定め提唱しています。予めご理解のほどお願い申し上げます。

第1回の記事はこちら
【第1回】新時代の営業スタイル「シン・セールス理論」~コロナ禍で変わるノーマル、異なるモデル~

セレブリックスが提唱するニューノーマルの営業理論は、これまでの営業スタンスや技法に加えて下記のような点を重要視しています。

シン・セールス理論とは?
⇒「コンテンツが主役の営業スタイル 」 のこと

シン・セールス理論の重要ポイントとは?
⇒購買プロセスの中で 適切なセールスコンテンツを活用できれば、顧客に「この人から 今 買いたい」という購買体験を抱かせることが可能

そうです、キーワードはセールスコンテンツと購買体験です。

上記の 【営業編:営業プロセスの設計が変わる】でも解説した通り、商談機会のつくり方は多岐に渡ります。先行き不透明の時代に、サービスを導入する重要性と緊急性を買い手に気付いていただくためには、接触チャネル毎に提供するコンテンツやコミュニケーションを変えることが必要です。

図にすると下記のような整理ができます。
35315019131_01

では、具体的に旧来のセールスとシン・セールスではどのように変わるのか、下記のように購買者と営業活動の項目ごとに変化を表してみました。
※業界や地域属性によって差異はあります

35315019131_02

上図はかなり細かいので、シン・セールスにおいて重要なポイントを幾つかあげるとしましょう。

ターゲティング

不特定多数のターゲットを対象とした新規開拓営業においても、アカウントベースドマーケティング(以下ABM)(※)を取り入れる必要性が増えます。顧客のキーパーソンが会社に出勤することが減る場合、新規のテレアポだけでは接触が困難になります。
そうした点からも、営業パーソン毎に選りすぐりのターゲットを選び、リード情報(顧客情報)を細かくメンテナンスし、電話以外でも直接コミュニケーションを取れるようにしましょう。

(※)アカウントベースドマーケティング…自社にとって価値の高い顧客を選別、顧客に合わせた最適なアプローチをするマーケティング手法、ABM(Account Based Marketing)

アカウントベースドマーケティングの取り入れ方は、過去のnoteでも紹介しております。

商談機会の獲得

アポイントの獲得を目標にすると、新規のテレアポでも、マーケティング活動での反響でも、すぐにアポイントに直結しようと考えてしまいます。
しかしこれからの新規開拓では、ベストなタイミングでアポイントを獲得するためにも、商談機会に繋がる情報を獲得するフェーズ(商機の収集) / リードを深耕させアポを刈り取るフェーズ(商機の獲得)に分けて、目標管理や行動管理を行いましょう。

シン・セールス理論では、「信じられる人になること」の重要性を説いています。非対面コミュニケーションで人間関係の構築が難しいのであれば、接触回数を増やし、役に立つ情報を与え続け、価値のある人(信じられる人)になることを目指します。
例えばアウトバウンドのテレアポで、キーパソンと接触したにも関わらず、アポイントが取れなかったために関係性が0になるのでは、あまりに勿体ないということを理解しましょう。

<1ポイントアドバイス>

セレブリックスの営業代行の一例では、電話を架けて繋がったらいきなりアポイントを取るのではなく、ヒアリングを行い商機の収集をします。
ヒアリングの上で獲得できたアポは、有効商談の可能性が高く、営業パーソンが集中すべき案件として準備を徹底して臨めます。
また、タイミングが「今」でないという場合、商談機会(顧客の検討機会)を把握しておくことで、「そのうち客」に対して適切なタイミングで営業が仕掛けられたり、顧客の購買動機をHOTにする適切なコンテンツ(資料やメルマガ、セミナー招待など)の提供が可能になるのです。
そして、仮にニーズがなかったとしても、一定数の「買わない理由」を集めることが出来ます。この買わない理由を集めることで、サービスの見直し、マーケティング・営業戦略、必要なコンテンツの見直しができるのです。

 

事前準備~商談{アプローチ・ファクトファインディング(課題発見)}

シン・セールスでの商談は、「顧客の現状や顕在課題の下調べは商談前に、商談本番では事前情報を基に、より深い問いかけやディスカッションの場」と位置付けると良いでしょう。
そのため商談当日の場で、営業が質問しやすい動線、商談で対話が生まれやすくなる「装置」の仕掛けが大切です。

<1ポイントアドバイス>

例えば事前準備。これまでは商談の仮説構築は、営業が行うことが基本でした。(当たり前ですね)しかしシン・セールスでの事前準備は、顧客にも手伝ってもらうという発想が当日の対話を生み出す「装置」になるのです。

例えば、商談事前アンケートと当日のアジェンダ。商談前にヒアリング(アンケート)を行っておくことで、より密度が濃い仮説構築とヒアリング内容が準備できます。

加えて当日の議題・質問内容を共有しておくことで「顧客が喋る内容を準備させる」ことが可能になります。これにより、商談当日の事実把握の精度が増し、加えて顧客が話しやすくなるという効果があります。

 

顧客育成(そのうち客の温度感を高めるリレーションシップ)

新規開拓営業でおざなりになりやすい、今すぐ購入に至らない顧客とのリレーションシップ(関係維持)も、限られたターゲット群からの成果あげるためには重要です。対面営業が当たり前だった頃は、いわゆる「おみやげ」と呼ばれる、購買者にとっての、耳より情報や特ダネををフックに顧客に接触し、商談機会の収集に努めていました。
関係構築が難しくなったシン・セールス時代はこの「おみやげ商機」をハックすることが求められます。リモートでも耳寄り情報が目に見えるように、セールスコンテンツとして作成したり、顧客の温度を高めるために、ユーザー訪問やウェビナーへの誘導といったように総力戦になります。
ある意味「人柄・相性」など人間性で差別化が図りにくくなるからこそ、コンテンツを拡充させ、仕組みで解決することがシン・セールス攻略のツボとなります。

<1ポイントアドバイス>

これまでの商談攻略は、営業担当とその上席で案件を前進させるという、ある意味閉鎖的な環境で進めていました。セールスコンテンツ等の「仕組み」で顧客開拓にあたるシン・セールスの世界では、顧客の温度感や状態に合わせて、「適材適所の価値訴求」を行うことが重要です。

時には第三者(ユーザーや取引先)から、サービスの魅力や使い勝手を紹介いただくのも良いでしょうし、ウェビナー等で顧客をとりまく市況やトレンドに合わせた啓蒙稼働も必要です。大切なのは「誰がするか ではなく コトを進める」ことです。それぞれの持ち味をいかすことが重要です。

 

次回は【第3回】新時代の営業スタイル「シン・セールス理論」~営業手法ごとの営業プロセスの設計」をご紹介いたします。

 

この記事の著者

今井 晶也

株式会社セレブリックス
営業企画本部 本部長
セールスエバンジェリスト

セレブリックスの首席エバンジェリストとして、セールスモデルの研究、開発、講演を行う。商品内容に依存されない、B2Bセールスの普遍のバイブルとなる“顧客開拓メソッド™”を執筆、制作。
Everything DiSC®️の認定トレーナーであり、専門は営業、プレゼンテーション、コミュニケーションスタイルと多岐に渡る。

現在は営業企画本部 本部長として、セレブリックスのコーポレートブランディング、事業企画、マーケティング、営業の統括責任者を兼任。代表的な活動(講演内容)として、長野県の中小企業振興センターとの製造業向け新規開拓講座や、宣伝会議主催のセールスコンテンツ講義、営業の№1を決める大会であるS1グランプリの審査員等、多方面で活躍する。

株式会社セレブリックス
営業企画本部 本部長 ...

Share

一覧に戻る