【データ活用】ECサイトの集客における課題を解決する方法

2020.10.23

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新型コロナウイルス感染 拡大の影響もあり、消費者のオンライン購買が進んでいるなかで、企業にとって自社ECサイトという販売チャネルは非常に大きな存在となっています。改めて言うまでもないですが、自社ECサイトの運用におけるKGIは売上を上げることです。

「売上を上げる」ためには、新規ユーザーに見つけてもらうこと(顧客数の獲得)、既存ユーザーに気に入ってもらうこと(既存顧客の再購買)という2点がポイントとなります。多種多様なECサイトが日々増え続ける現代において、この2点を強化するための施策、つまりECマーケティングは今まで以上に重要性が高まっています。

今回はさまざまなECマーケティングの手段のなかでも、もっとも初歩となる広告施策にスポットを当て、ECサイトならではの購買データ及びWebサイト解析データを使用した効率的な配信方法を、事例を交えながらご紹介します。

EC運用データを使用した広告施策課題の解決

広告施策の種類

ECサイトにおける広告施策には、主にリスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、そしてアフェリエイト広告の4種類があります。そのなかでも特にリスティング広告とディスプレイ広告は、取り扱っている商品に関わらず多くの企業が使用している広告です。

・リスティング広告
指定したキーワードで検索したときに、検索結果として表示される広告を指します。アイテム名を指定することで、取り扱いアイテムに対する購買意欲の高い新規ユーザーの誘致が可能です。課金単位はクリックごとになっています。

・ディスプレイ広告
Webサイトやアプリにバナーとして表示される広告を指します。購買履歴やサイト来訪履歴を利用したリターゲティング配信ができるため、既存顧客に再購買を促すアプローチが可能です。

広告施策における課題

新規ユーザー獲得のためリスティング広告を実施する場合、社名以外で購買に繋がりやすいキーワードの選定が必要となってきます。Webサイト内で取り扱っている商品に沿って、かつ検索数の多いキーワードを選定しなければ、広告出稿をおこなってもWebサイトへの誘致には繋がりません。

また、既存顧客再購買のためのリターゲティング配信を実施する場合、購買履歴のあるユーザーに配信をおこなうだけでは、表示回数・クリック数の増加に伴い広告費用がかさんでしまい、獲得した売上よりも費用が高くなってしまう可能性もあります。広告の費用対効果を上げるためにも再購買に繋がりやすいユーザーに絞って配信をおこなう必要があります。

広告施策における目的と課題をまとめると、下図のようになります。

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(図1:広告施策における課題)

この2つの課題を購買データ及びWebサイト解析データを使用して解決に繋げた、あるスポーツ用品の事例を紹介します。

EC運用データを使用した広告施策課題の解決事例

「リスティング広告」新規獲得に有効なキーワード選定

・課題解決に向けた切り口の仮説
「ECサイト内の検索で使用されているキーワードの中で、検索回数・購買に繋がった回数が多いものは一般的に検索しているユーザーが多いため、リスティング広告のキーワードに指定することで、新規ユーザーのサイト誘致に繋げられる。」という仮説にもとづき、次の方法で配信を実施いたしました。

・実施内容
1. Google アナリティクスを使用し配信期間の前年のWebサイト内検索キーワードを抽出
2. 検索回数・購買に繋がった回数を軸にキーワードを4つにセグメントに分類

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(図2:サイト内検索キーワードのセグメント)

3. 優良検索キーワードを指定してリスティング広告を配信

・有料検索キーワードからの新規ユーザーは80%に

比較のために配信を実施した検索数不足キーワードでは、新規ユーザー比率が62%であったのに対し、優良検索キーワードから流入したユーザーは80%が新規のユーザーであり、新規ユーザーの集客ができたと言える結果となりました。

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(図3:検索広告の配信結果)

また、Webサイト内の検索回数とリスティング広告のインプレッション数は比例していました。このことから、優良検索キーワードは比較のために配信をおこなった検索数不足キーワードと比べ、ユーザーの誘致にも繋げられたと言えます。

ただし、キーワードについてはターゲットを絞りすぎてしまっている内容(例:ブランド名×アイテム名の掛け合わせなど)はインプレッション数が大きく下がるため、使用しないことを推奨します。

この施策により効果を上げられるのは、新規ユーザーの誘致までとなります。そのため、誘致した新規ユーザーを購買に繋げられる販売施策を同時に実施することで、より売上に貢献することが可能となります。

「ディスプレイ広告」効率的なリターゲティング配信

・課題解決に向けた切り口の仮説
「Webサイト内で購買比率の高いカテゴリ(アイテム)を、そのカテゴリ(アイテム)と一緒に購入されることの多いカテゴリ(アイテム)を購買しているユーザーに配信することで、広告から流入したユーザーが購買する確率を上げることができる。」という仮説にもとづき、次の方法でディスプレイ広告のリターゲティング配信を実施いたしました。

・実施内容
1、 Webサイト内のカテゴリ別売上を確認し上位のカテゴリを配信内容とする
2、 配信内容のカテゴリとその他のカテゴリの併売されやすさ、つまり相関性をアソシエーション分析※1により確認し、相関性の高いカテゴリを購買しているユーザーを配信対象とする。例えば、ウェアとシューズの相関性が高い(つまり、ウェアを購入した人はシューズも併せて購入しやすい)という結果が得られた場合、ウェアを買った人にシューズの広告を配信するなど。

※1:アソシエーション分析とは、カテゴリAとカテゴリBの相関性を確認する分析です。

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(図4:アソシエーション分析による相関性確認のイメージ)

・結果

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(図5:ディスプレイ広告の配信結果)

 

比較対象として配信をおこなった、内容・対象を絞らないリターゲティング配信 (図5「比較期間」にておこなった配信)と比べ、この施策では購買率(CVR)が10倍以上増えておりました。すなわち、購買意欲の高いユーザーが効率的に獲得できていたと言えます。

まとめ

今回は購買データ及びWebサイト解析データを使用して、ECサイトにおける広告施策の課題を解決した事例をご紹介いたしました。

ECサイトでは、通常のWebサイトにはない購買データという新たな切り口のデータがあります。このデータをうまく活用し、Webサイト解析データと掛け合わせることで、より効果的なマーケティング施策を実施することが可能となります。

今回のような施策以外にもECサイトの取り扱い内容や状況に応じた売上を上げるための施策をさまざまご用意しておりますので、ECサイト運営にお困りの際はぜひアイレップまでご相談ください。お問い合わせはこちら

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この記事の著者

DIGIFUL編集部

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