2020年のSEOトピックス振り返り

2020.12.21

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2020年は、新型コロナウイルスの影響により例年とは異なる動きが多くみられる1年となりました。検索トレンドもこの1年で大きく変化し、Webでの集客方針を見直したSEO担当者も多かったのではないでしょうか。本記事では、Googleに関する変更を中心に、2020年のSEOトピックスを振り返ります。

Googleのランキングシグナル変更

予告も含め、今年の主要なランキングシグナル変更は下記がありました。

・強調スニペットに採用されたURLを検索結果1ページ目から除外(2020年1月24日)
2020年1月以前は、強調スニペットに採用されているURLでも1ページ目に表示されることがありましたが、この変更により強調スニペットに採用されたURLは1ページ目から除外されるようになりました。

・Core Web Vitalsのランキングシグナル導入を予告(2020年5月28日)※1
・ページエクスペリエンスが良いページを検索結果で強調表示すると予告(2020年11月10日)
今年5月上旬にCore Web Vitalsの概要を説明するドキュメントが公開され、その後すぐにランキングシグナルへの導入が予告されました。Core Web Vitalsとは、ページ閲覧時にユーザーが体感するエクスペリエンスを指標化したもので、現時点ではLCP(もっとも大きな要素の読込時間)、FID(ページ内アクションへの応答性)、CLS(要素のレイアウトずれ)が該当します。将来的に、基準を満たすページは検索結果で強調表示されることが予告されており、GoogleがWebページのエクスペリエンス向上に力を入れていることが伺えます。
※1 2020年11月10日にCore Web Vitalsのランキングシグナル導入は2021年5月と発表された

 

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参照元:Google 検索へのページ エクスペリエンスの導入時期 | Google 検索セントラル ブログ | Google Developers
(図1:ページエクスペリエンスに関するランキングシグナル)

 

・全Webサイトのモバイルファーストインデックス(MFI)※2移行の延期(2020年7月21日)
2020年9月と予告されていた全WebサイトのMFI移行ですが、新型コロナウイルスの影響が考慮され、2021年3月末に延期されました。

※2 モバイルファーストインデックスとは、検索エンジンが評価対象とするWebページのバージョンを「パソコン」から「モバイル」に変更すること。GoogleがMFIに移行しても問題ないと判断したWebサイトは、既に移行が完了している。

ランキングシグナルの変更ではありませんが、Googleによるコア アップデート※3も、例年とは異なる間隔で行われました。2019年は3月、6月、9月と約3ヶ月の間隔で実施されましたが、今年は1月、5月、12月に実施され、5月から12月にかけての間隔は7ヶ月と例年にない長さとなりました。

※3 コア アップデートとは、GoogleがWebページ全体の評価システムを調整・改善するために、数ヶ月に一度のペースで検索アルゴリズムとシステムに大幅な変更を加えること。Google側の評価システム変更により、多くの場合で大規模な順位変動が発生する。

 

Googleの検索結果への機能追加

今年は、新型コロナウイルス関連の検索結果に新機能の追加が目立ちました。その他の機能追加も含め、主要なものを紹介します。

・新型コロナウイルスに関連する検索結果の改良を実施
Googleの公式発表があったものでは、ローカルニュース専用枠の追加や、関連ニュース記事を対象としたトップニュース枠のAMP要件緩和などがありました。また、感染拡大初期の今年3月には、政府や医療機関が新型コロナウイルス関連の情報を発信する時に利用できる構造化データが用意されるなど、スピーディな対応がとられていたことも印象的です。

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(図2:新型コロナウイルスに関連する検索結果 ※2020年5月時点)

 

・住宅ローン関連キーワードの検索結果に機能追加(2020年7月)
こちらは米国のみとなりますが、住宅ローン関連のキーワードで検索した際に、金利情報やシミュレーション機能、用語解説が検索結果に直接表示されるようになりました。図3の左が検索結果、中央は「CALCULATOR」タブ、右は「RATES」タブの画面となります。タブはこのほかにも複数用意されており、住宅ローンに関する基本的な情報はGoogleの検索結果上で収集できるようになっています。Googleは、住宅ローンに関する決定は各家庭の経済状況への影響度が高いため、信頼できる情報を表示できるようこの機能を追加したと説明しています。掲載情報は米国の政府機関である消費者金融保護局のデータ提供を受けているそうです。

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(図3:「mortgage loan」の検索結果 ※2020年12月時点)

・ショッピング検索タブへの機能追加(2020年10月)
今年はショッピング検索への無料掲載が開始された※4ことも話題になりましたが、10月にはショッピング検索タブへの機能追加もおこなわれました。Googleが認識している価格データをもとに該当商品の平均価格が表示されるほか、同じ商品を扱うショップを絞り込むこともできるようになっています。

※4 2020年10月末頃より、Google Marchant Centerに登録してフィード送信することを条件に、通販サイト運営者は無料でショッピング検索タブに商品を表示できるようになっている。

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(図4:ショッピング検索タブに追加された機能 ※2020年11月時点)

・職種×給与関連キーワードの検索結果に機能追加(2020年11月)
12月7日時点で米国のみとなっていますが、「software engineer salary(ソフトウェアエンジニア 給与)」のようなキーワードで推定給与が検索結果に直接表示されるようになっています。これは、Googleがすでに導入している求人検索枠の中で表示されていた内容ですが、11月頃から検索結果に直接表示されるように変化しています。

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(図5:「software engineer salary」の検索結果 ※2020年12月時点)

レシピや求人検索など、Googleが検索結果に専用枠を追加する傾向は継続しており、今後も検索結果上でユーザーの検索行動が完結するキーワードジャンルが増えることが想定されます。より一層、自社サイトに来てもらうための機能開発やしかけづくりが重要になるでしょう。

GoogleによるWebサイト運営者への働きかけ・対応

今年は、ウェブ ストーリーに関する発表が多かったことも印象的です。Google サーチコンソールへの機能追加も多数おこなわれました。

・ウェブ ストーリー関連の発表
今年5月にAMP ストーリーからウェブ ストーリーに名称が変更されたほか、開発方法やSEOのベストプラクティスに関するドキュメントが大幅に拡充されました。ウェブ ストーリーに関する情報がまとめられたWeb Stories on Google(https://stories.google/)というWebサイトも公開されています。10月にはアメリカ、インド、ブラジルでGoogle Discover内でのウェブ ストーリー表示を発表するなど、導入を推進したい様子が伺えます。日本ではまだあまり見かけないウェブ ストーリーですが、日本での導入メリットが明確化した場合、導入する企業が増えるかもしれません。

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参照元:Web Stories on Google
(図5:Web Stories on Googleのトップページ)

 

・Google サーチコンソールへの機能追加
今年もGoogle サーチコンソールへの機能追加は多数ありました。大きな変更では、11月に公開された「クロールの統計情報」レポートがあります。旧サーチコンソールのレポートでは確認できなかったデータが多数確認できるようになっており、より詳細なクロール状況を把握できるようになりました。ページ数の少ないWebサイトはクロールに関する問題が起こりにくいため、本レポートを確認する必要はあまりないかもしれませんが、大規模サイトを運営するSEO担当者にとっては非常に便利なレポートと言えるでしょう。

Googleの技術進化

Googleの技術進化という点では、10月におこなわれた「search on 2020」というイベントで多くの新情報が発表されました。主要なトピックスをご紹介します。

・検索技術の進化
Google 検索の利用者がより探している答えを見つけやすくなるための、3つの技術が紹介されました。
1. スペルミスの理解力向上により、正しいクエリをより早く表示する
2. 検索キーワードに対して、ページ全体との関連性だけでなくページの一部分との関連性も評価して検索結果を構成する(これまでは検索キーワードとページ全体の関連性が評価されていた)
3. 求めている情報が漠然としている検索キーワードに対して、関連するサブトピックを理解し、幅広いコンテンツを表示する

・動画の理解力の進化
動画の重要な瞬間を自動的に認識できるようになりました。これまでは、動画のキーモーメントをGoogle 検索に表示するには動画作成者が構造化データで記述(YouTubeに投稿している動画の場合は所定のフォーマットで概要欄に記述)する必要がありましたが、この対応をしなくてもキーモーメントが表示される可能性があります。

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参照元:How AI is powering a more helpful Google
(図6:検索結果での動画のキーモーメントの表示例)

 

・Google レンズの進化
宿題をレンズにかざすだけで解き方が表示される機能や、ファッションアイテムをレンズにかざすと類似する商品やコーディネイトを探すことができる機能、車をARで表示する機能が追加されました。新型コロナウイルスにより、リモートでの授業やWebでの買い物が増えたことを受け、Googleがこれらをサポートする目的で開発された機能となります。

その他の検索エンジンの動き

・Bingの動き
マイクロソフト社のBingでは、Webmaster Toolsの新バージョン移行を進めていましたが、今年7月に完了したと報告されました。新バージョンのWebmaster Toolsには、類似Webサイトとのバックリンク比較機能など、Google サーチコンソールには無い独自の機能も追加されています。

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(図7:類似サイトとのバックリンク比較機能 ※オレンジ部分に自社サイトのデータ、緑部分に類似サイトのデータが表示される ※2020年12月時点)

10月には、検索結果に回答を直接表示する機能を導入(日本未対応)するなどの動きもありました。

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(図8:「what are the benefits of eating apricots(アプリコットの効能は?)」のBingの検索結果 ※2020年12月時点)

・Appleの動き
7月にApple社のクローラーであるApplebotのアップデートが発表されました。同時に、ランキングシグナルに関連する要素も発表されています。

<Apple社が発表しているランキングシグナルに関連する要素>
 ・検索結果を含めた全体のユーザーエンゲージメント
 ・検索キーワードとWebページの関連性
 ・Web上での他のページからのリンクの数と質
 ・ユーザーの位置情報
 ・Webページのデザイン
参考URL:https://support.apple.com/en-us/HT204683

また、9月にリリースされたiOS14では、SiriやSpotlight検索でGoogle検索を介さずに企業のWebページを表示するケースが確認されたことで、検索サービスへの参入が噂される状況になっています。

まとめ

今年は新型コロナウイルスにより、例年にない動きが多くあった1年となりました。来年以降もこの影響は続くと推測されるほか、新しい生活様式をサポートする機能を検索エンジン各社が提供し始める可能性も考えられます。また、検索結果上でユーザーの検索行動を完結させるような機能追加も、引き続き拡充されることが考えられます。Webサイト運営者には、Googleなどの検索サービス各社の動向を把握することはもちろん、自社サイトに確実に訪問してもらうための取り組みがより一層求められるでしょう。

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この記事の著者

増渕 佑美

2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタントとして従事。ソリューション部署に所属。通販や人材などデータベース型サイトを中心に経験を積んでおり、現在はメディアサイトのSEOも担当し幅を広げている。
好きなこと:散歩、パズル、動物の動画をみること

2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタント...

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