改めて考えるDXとは?

2021.06.22

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この記事の著者

米田 吉宏

ユナイテッド株式会社
執行役員

慶應義塾大学経済学部卒業後、 2010年株式会社電通入社。2013年ボストンコンサルティンググループ入社後、主に通信・メディア・テクノロジー領域の経営戦略策定、新規事業開発、営業戦略、組織戦略等を担当。プロジェクトリーダーとして従事した後、2019年3月ユナイテッド株式会社執行役員に就任(現任)。DXソリューションの立案/推進と、全社戦略/組織強化を担当。

ユナイテッド株式会社
執行役員

はじめまして、今月より月1回連載を行わせていただきます。ユナイテッド株式会社 執行役員の米田と申します。私は当社の中で、UNITED StrategyというDXコンサルティング/受託開発推進の責任者を務めております。

これまで電通での購買データ分析/マーケティング予算の最適化、BCGでの全社トランスフォーメーションの経験とユナイテッドがこれまで幅広い事業推進を行う中で培ってきたアセット/強みを基に、以下テーマを代表例として変革のご支援をしています。

①全社トランスフォーメーション
・toBサービス企業における全社トランスフォーメーション
・トランスフォーメーションを自社で実現するための組織育成策の企画・実行

②サービス開発/新規事業開発
・海外サービスの日本参入に向けたローカライゼーション戦略の策定

③マーケティング戦略の高度化
・次世代営業オペレーション実現のためのリードジェネレーション~営業連携支援
・toC企業における次世代マーケティング企画支援
・顧客データにもとづく顧客セグメンテーション/セグメントごとのアプローチチャネルの最適化検討

④業務効率化
・ノーコード(Bubble)を活用した、業務支援システムの構築

こうした経験を踏まえて、トランスフォーメーション、戦略策定等について役立つ情報を発信できればと思います。

今回は、DXとその推進に向けてポイントをご説明したいと思います。

DXの定義

最近話題のデジタルトランスフォーメーション(DX)ですが、定義は一体何でしょうか。

経済産業省の定義
経済産業省は、2018年に発行したDXレポートにて、DXを以下のように定義している。

『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』

他にもさまざまな定義が提言され、異なる部分もあるものの、「事業やビジネスモデル、オペレーション変革し、事業の成長につなげること」こそが、DXだと理解すればよいと思っています。

これまで私自身がさまざまな議論に参加する中で、「デジタライゼーションなのか?」、「デジタイゼーションなのか?」、あるいは、「デジタルトランスフォーメーションなのか?」自体を議論する場面に出くわすことがありました。ここで感じた違和感は、言葉に踊らされて本質的な検討が出来ていないのではということです。

企業からすれば自社の競争優位性を高め、事業成長につなげることが重要であり、そのインパクトがもたらされれば定義は重要ではありません。各社、どの領域にデジタル技術を活用して大きなインパクトが与えられるのか、優先順位高いものはなにかを考えて、定義は気にせず早期に断行することが重要だと思います。

こうした考えに基づき、私がご紹介するものについては巷で言われるDX、デジタイゼーション、デジタライゼーションの区分は意識せず、広義の意味でのDX(事業やビジネスモデル、オペレーション変革し、事業の成長につなげること)と捉えて論じてまいりたいと思います。

DXの分類とその具体例

企業経営をひもといて見ると、ガバナンス/経営マネジメント、全社戦略(パーパス/ビジョン、ポートフォリオ戦略、経営リソース配分)、各事業の事業戦略、機能別戦略(IT、マーケティング、プロダクト等)、戦略に基づき行われる各種オペレーションが存在します。

「ガバナンス/経営マネジメント」であれば、どう新たなデジタル技術に基づくディスラプションや事業拡大余地を検出しマネジメントしていくか、あるいは、デジタル変革を遂げるための役員・人材登用すべきかは大いなる論点になります。

「全社戦略」「事業戦略」では、全社単位で考えるのか、事業単位で検討するかの違いはあるものの、共通するのは、新たなデジタル技術・プレーヤーを踏まえた自社の立ち位置/存在意義はなにか、勃興する新規事業領域やDXにどれくらい経営リソース(ヒト、モノ、カネ)を投下するのかを、得られるリターンを検討することが重要になります。


図1. 戦略/オペレーションの全体像
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今回はオペレーション領域における事例を3つに分けて、当社刊行物である「DXハンドブック」等からピックアップしてご紹介できればと思います。

  • 営業・マーケティングDX事例

  • 生産DX

  • コーポレートDX

<営業・マーケティングDX>

営業とマーケティングDXは、デジタルを活用し顧客との関係構築や案件獲得方法を変革した事例をお知らせします。コロナ禍を踏まえて、デジタル商談等も普及しておりますが、ここでピックアップしたのはデジタル技術を活用して、商談の成功率や人力で行っていたマーケティング等をレベルアップさせた事例をご紹介しています。

企業によっては、商談をデジタル化するだけでも大きなインパクトがもたらされるかもしれませんが、先進的な事例では商談自体のレベルアップを実現し、収益貢献の拡大までつなげている企業もあります。

・LIXIL
部品を指定するだけで完成イメージを CG で表示し、見積額まで提示できるようなシステムを開発したことで、商談成功率の向上と商談プロセスの効率化を実現しました。

・日本生命保険
営業職員が自分で撮影した営業トークを、AI が分析し改善する方法を提案するという仕組みを取り入れることによって、営業力を向上させることに成功しました。

・McDonald's
ドライブスルー時に顧客の好みやその日の天候などのデータに基づいて、個々人にパーソナライズされたメニューを提示。顧客単価を高めることに成功しています。

・ブリヂストン
トラックやバス事業者向けにタイヤの空気圧や減り具合の管理、タイヤの交換、設置などを一括で行うサービスをサブスクリプション型で提供。ブリヂストンとして、顧客のタイヤ管理の効率化と顧客単価向上に成功しました。

<生産DX>

生産とは、事業を展開するにあたって顧客に価値提供を行うための製品/サービスを生み出す工程のことを指します。主に製造業としてスポットがあたる生産ですが、この領域でも生産性の向上を目的としてDXは盛んに行われています。

「その技術を習得するのに1年はかかる」といった熟練作業者にしかできない技術を、より効率的に継承させることができます。また、オペレーションのトランスフォーメーションとしては、ファクトリーオートメーション等が挙げられます。加工、組立、運搬、検査、保管などの生産工程をロボットやセンサにより自動化するファクトリーオートメーションは、人件費の削減はもちろん生産活動におけるヒューマンエラーを軽減させる効果も持ちます。

・Tenaris
鋼管の製造機器の保守作業において AR システムを導入。保守作業者が作業箇所にあるマーカーを読みこむだけで、事前に機器から収集したデータに基づいた保守すべき場所が AR 上にて表示されるようになり保守作業を容易にしました。

・TOTO
これまで現場の経験と勘だけを頼りにしてきた結果、歩留まりが頭打ちとなってしまった同社は、工場のスマート化を推進。IoTを活用し製品ごとに数百の工程データを収集し、BIツールにより不良品発生状況を自動で可視化できるようにしました。これにより最適な原因分析を行うことができ、過去最高の歩留まりを達成することに成功しています。

<コーポレートDX>

コーポレートとは、経営管理や経理、財務、法務、人事などの、企業が円滑に事業を運営するための社内体制を整える業務全般を指します。紙の契約書や印鑑を必須としていた企業がデジタルデータでのやりとりに切り替えることが大きなコスト削減につなげた事例もあれば、データを統合/蓄積し効率的に活用できるようにしたり、退職予測をもとに人材配置や採用に活かしたりする取り組みもあります。

・三菱UFJ銀行
3億枚以上の印鑑票を対象に、AI ロボットを導入し電子化を実施。主にホチキスの取り外しからデータ化までの一連の作業を効率化することに成功しました。

・デンソー
約16万人の社員の人材情報が散在していたため、情報を統合する業務に人事部が時間をかなりとられていましたが、タレントマネジメントシステムを導入し、名前/部署などの基本情報から性格やスキル、評価履歴など各社員に紐づく人材情報を一元化したことで、無駄な業務を大きく減らすことに成功しました。

・パーソルホールディングス
これまで社内に蓄積されてきたデータを活用し、退職意向が強いと考えられる社員を早期に見つける「退職予測モデル」を構築。精度は約90%という高い数字を誇り、離職率を低減するために活用されています。

最後に

いずれの事例でも、事業をよりよくすることで、自社の発展につなげようと行われているものです。複数の事例をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

こうしたケーススタディを通じて、「どんな手段によって、どんな効果をもたらすことができるのか?」という「手段と効果」を対でストックしておくことをお勧めします。複数の事例を学び、「手段と効果」の幅を広げることができれば、自社でどのようにデジタル技術を活用したトランスフォーメーションをするべきかのヒントとなります。

その上で、自社の事業において、売上成長、あるいは、コスト削減における課題はなにかという分析/思考と掛け合わせることで、今自社で取り組むべきDXが浮かび上がってくると思います。

当社では、そもそも何に取り組むべきかというところからご支援しておりますので、興味がある方はぜひ一度お問い合わせいただければ幸いです。

次回はDXと事業戦略の関係についてご紹介します。

<プロフィール>

米田 吉宏
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執行役員

慶應義塾大学経済学部卒業後、 2010年株式会社電通入社。2013年ボストンコンサルティンググループ入社後、主に通信・メディア・テクノロジー領域の経営戦略策定、新規事業開発、営業戦略、組織戦略等を担当。プロジェクトリーダーとして従事した後、2019年3月ユナイテッド株式会社執行役員に就任(現任)。DXソリューションの立案/推進と、全社戦略/組織強化を担当。

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