動画広告で成果を伸ばすための判断軸

2021.09.03

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獲得型動画広告(以下、獲得動画)とは、広告の目的が直接商品購入を促すもの、あるいは会員登録や資料請求などのマイクロコンバージョンを目的とするものを指します。たとえば、単品通販なら商品購入、アプリならインストール、会員制サービスなら無料会員登録などが挙げられます。

今回は、ご自身でクリエイティブ制作した広告を配信している方や配信を検討している方を対象に、獲得動画の仕組みや構造から、何を軸に良し悪しを判断すべきか解説します。

クリエイティブの基本「伝達力」と「訴求力」

獲得動画に触れる前に、デジタルマーケティングにおけるクリエイティブで成果向上するために必要なふたつの要素を説明します。それは「伝達力」と「訴求力」です。

伝達力とは、ターゲットが広告に接触した際、瞬間的にどれだけ情報が伝わるかを表します。 訴求力は広告に接触した際、ターゲットがどれだけ魅力的に感じられるかを指します。

交通広告などと違い、SNSやGoogle、Yahoo! JAPANなどを配信媒体とするウェブ広告は、常に同じ場所に掲出されることはありません。また、ターゲットが広告に接触したとして、広告を見るためにその媒体を利用している人はまずいません。よほど興味のある情報でなければ、一瞬で目の端に追いやられ無視されてしまいます。そして、配信媒体はユーザーに必要とされる情報を届けるため、ユーザーが反応しやすい=クリックされやすい広告にターゲットとの接触機会を多く与えます。

※「ユーザーが反応しやすい=クリックされやすい広告」と記載しましたが、ユーザーの反応はクリックのみでなく、動画であれば視聴完了率など配信媒体によりさまざまな設定をすることが可能です。

こういった状況から、一瞬の接触で確実にターゲットへ情報を伝える「伝達力」と、伝わるだけでは終わらない興味喚起できる「訴求力」の高い情報設計が必要になります。ターゲットとの貴重な広告接触の機会を逃さず、着実に反応を得られる上記2点の設計をすることにより、成果向上を見込むことができます。

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(図1:訴求力と伝達力の具体例1)

動画最大の特徴は時間軸

動画を最大限活かすために、静止画にはない動画ならではの特徴について考えてみましょう。

動画の最大の特徴は時間軸の存在です。時間軸により、静止画には組み込みきれない情報を、時間を追うごとに提示することができます。つまり、コピーやビジュアルのようなひとつひとつの「点の情報」に加え、その点の情報を時間軸の中でつなげ「線の情報」にすることで、静止画以上の厚い情報設計が可能になります。

53587767196_02(図2:点と線の情報)

 

動画の良し悪しを判断する軸、点と線の情報

前項で触れた点と線の情報について少し詳しく考えていきます。

点の情報とは、訴求内容です。動画の各シーンでターゲットへ直接的に訴えかける「コピー」や「ビジュアル」を指します。

一方、線の情報とは、訴求方法です。動画全体を通して、ターゲットに訴える方法であり、「順序構成」や「ストーリー展開」を指します。

訴求方法や訴求内容は広告業界でよく使われる言葉のため わかりにくいかもしれませんが、料理に例えると、訴求方法は調理法であり、訴求内容は食材になります。

どんなに最高の食材を仕入れても、料理未経験者が調理すれば「油が多すぎる」「肉が生焼け」など美味しい料理は完成しません。また、どんなに最高の調理法を持ってしても、腐った食材では食べられるものにはならないでしょう。

この訴求方法と訴求内容、2軸の情報が上手く設計できた状態が動画を最大限に活かせた状態であり、ターゲットが反応しやすい成果が見込める動画となります。それを踏まえて、上記の訴求内容と訴求方法について、クリエイティブの基本を念頭において考えてみましょう。

動画の判断軸(1) 訴求内容_コピー・ビジュアル

訴求内容において判断すべきことは、以下のとおりです。

伝達力の観点:コピーとビジュアルを合わせて、伝えたいことが伝わる状態か?
訴求力の観点:各シーンのコピーやビジュアルは「より知りたい」や「利用してみたい」と思える行動喚起ができる状態か?

訴求内容を提示したうえで、それが伝わらなければそもそもターゲットに対しコミュニケーションが成立せず、成果を見込む以前の問題になります。また、行動喚起できない状態ではただ見て終わりになってしまい、成果に結びつかないうえ、ユーザーの反応が悪い広告はターゲットとの接触機会も減っていきます。

動画の判断軸(2) 訴求方法_順序構成・ストーリー展開

訴求方法を検討するときは、次の項目を判断していきます。

伝達力の観点:訴求内容の順番はわかりやすく伝わる状態か?
訴求力の観点:動画視聴後に各シーンだけ見たときよりも行動喚起できている状態か?

伝達力については、各シーンで訴求内容が理解できても、伝える順番によってターゲットの理解度は大きく変わります。また、各シーンでの訴求内容が前後で論理関係が整理されていないとターゲットの認識に混乱を招き、こちらも同様に理解度に大きく影響します。

訴求力に関しては、行動喚起できていない状態はただ見て終わりになってしまうだけでなく、動画として全体を視聴した時に訴求力が高まっていなければ、動画としてのポテンシャルを最大限活かすことはできません。

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(図3:訴求力と伝達力の具体例2)

まとめ

訴求方法と訴求内容、このふたつの軸で動画の良し悪しを判断する方法を紹介しました。この2軸の観点で理解できるか?行動喚起されるか?とご自身でセルフチェックをしてみてください。さらに、ターゲットなり得る人物にも確認してもらうと良いでしょう。

重要なことは詳細に問題と改善方法を定義することでなく、訴求内容と訴求方法の視点を持って状況整理ができていることです。「動画を配信してみたが成果が出ない」「成果の良い動画を踏襲したのに成果が出ない」そんな時は、訴求内容や訴求方法いずれかに問題があるはずです。

アイレップではこれらの問題を発見、分析することで、より成果につながるクリエイティブを設計しています。

また、上記に加え、より詳細な分析のもと動画の勝ち負けを判断する方法を体系化し、日々PDCAサイクルを回して成果を向上させています。

最後に

デジタルマーケティングにおける動画というフォーマットは、時間軸の存在により、コピーやビジュアル情報だけでなく、それらの順序構成やストーリー展開が大きく成果に影響します。これらの変数を要素分解し、明確な判断軸を持って運用することで着実なPDCAサイクルを回すことができます。

この記事からご興味をおもちいただけましたら、ぜひアイレップへご相談ください。

この記事の著者

小谷野 太樹

制作会社でWebデザイナーを経て、アイレップには2016年入社。アプリ、人材、金融、ECなど幅広い業種でクリエイティブの戦略設計、制作進行を担当。

コメント:広告というビジュアルコミュニケーションを通じて、最良の広告体験をデザインすることに努めております。

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