ITPによる解析ツールへの影響と対応方法

2021.11.04

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この記事の著者

島田 拓来

2015年 アイレップへ入社。専門領域はGoogle アナリティクス 、 tableau®設計構築。SEO領域のディレクター業務を経てアナリストに。Google アナリティクス、Adobe アナリティクスのデータ活用のほか、ダッシュボード構築のプロジェクトが得意。

・趣味
料理、料理動画を見ること

2015年 アイレップへ入社。専門領域はGoogle アナリ...

2017年、米AppleはITP(Intelligent Tracking Prevention)を発表しました。ユーザーのプライバシーを保護する目的で実装されたこのトラッキング対策機能は、第三者にユーザーの許可なくデータが渡らないよう、当初3rd Party Cookieだけを対象としていました。しかし、ITP2.1以降、1st Party Cookieにまでトラッキング対策の対象範囲が広がり、影響を受けるツールも増えています。本記事では、2021年9月時点でのITPによるCookie制限の内容についてあらためて確認しつつ、各社の解析ツールへの影響と対応方法を紹介します。

ITPとは何か

ITPとは、米AppleがSafariブラウザで導入しているトラッキング対策機能であり、第三者にデータが渡らないようにする目的があります※1。ITP公開後も度重なるアップデートで機能が追加され、トラッキング対策の対象範囲が広がり、Web上でユーザーを長期間追跡することが困難になっています。まずはITPによってどのような技術が制限を受けるかを確認していきましょう。

※1 参照元:WebKit 2020/1/27「Tracking Prevention in WebKit

ITPによるCookie制限

ITPにより具体的にどんな制限を受けるのか見ていきます。

3rd Party Cookie

3rd Party Cookieは、表示されているページのドメインと異なるドメインから発行され、ユーザーが利用しているブラウザに関する情報や閲覧ページなどの情報を取得・格納するものです。3rd Party Cookieは、ITPの機能により即時削除され、複数のドメインをまたいだユーザーのトラッキングに利用できなくなります。これにより、Web広告のコンバージョン計測やリターゲティングの精度に影響が生じます。解析ツールでも3rd Party Cookieで計測をおこなっている場合は、Safariブラウザを利用するユーザーの行動を追跡することが難しくなります。

1st Party Cookie

1rd Party Cookieは、表示されているページのドメインと同じドメインから発行されるCookieです。ITP発表当初は制限の対象とされていなかったものの、ITP2.1以降、Safariブラウザで発行される1st Party Cookieについても有効期限が加えられるようになりました。この有効期限は通常7日間であるものの、流入元ドメインがトラッカーとして認定されておりURLにトラッキング目的とみられるクリックIDが付与されている場合は24時間で削除される、という仕様となっています。この仕様により、計測に1st Party Cookieを利用している場合でも、同一ユーザーを識別できる時間は広告流入で24時間、自然検索の流入でも7日間が上限となります。この期間を超えて再訪問したユーザーは、Cookieが再発行され、再度新規ユーザーとしてカウントされます。

ブラウザ発行のその他ストレージ

ブラウザ上でJavaScriptにより発行され、ユーザー情報の格納、識別に利用できる技術はCookie以外にも存在します。解析ツールの計測に利用されるものとしてローカルストレージが挙げられますが、このようなストレージに対してもITPが適用されます。

58303047441_01(図1: ITPにより影響を受けるストレージと有効期間)

解析ツールで影響を受けるレポートの例

前段で説明したITPにより、解析ツール上のレポートでは以下のような数値で影響が見られる可能性があります。

 ・ユニークユーザー数の増加
 ・新規ユーザー数の増加
 ・ユーザーごとの訪問回数の減少
 ・初回訪問からコンバージョンまでの訪問回数や日数の減少
 ・アシストコンバージョンの減少

あるドメインがトラッカーとして認定されるか否かは、①スクリプトなどのリソースとして他のドメインで読み込まれた数、②iframeとして他のドメインで読み込まれた数、③他のドメインで読み込まれたときのそこからのリダイレクト数、④当該ドメインにアクセスしたときにそこからリダイレクトしたドメイン数、に基づいてSafari側で独自に決定されます。

Cookieの有効期限が定められることにより、特に再訪問までの期間が長いWebサイトで影響が大きく生じていると考えられます。

解析ツールごとの影響と対応方法

ここまでは、ITPによるCookie制限の内容と、解析ツールのレポートに対して想定される一般的な影響を説明してきました。ここからは具体的なツールごとの影響と対応方法を紹介します。解析ツールごとに計測に利用している技術は異なり、公開されている対応方法も異なります。以下の表で、解析ツールごとの利用技術とITPの影響(Cookieやストレージの有効期限)、対策をまとめているので参考にしてください。

58303047441_02(図2:解析ツールごとの影響と対策)

最後に、各ツールでの対応方法をより具体的に解説します。

1. Google アナリティクス
i. Google シグナル

Google シグナルを有効にすると、広告カスタマイズの利用を有効にしているGoogle アカウントの情報をもとにユーザーを識別し、最長26か月間に渡って計測することができます。ひとつのブラウザを1人のユーザーとして識別するCookieでの計測に対して、ひとつのGoogle アカウントを1人のユーザーとして識別する計測方法となるため、デバイスを横断したデータがレポートに反映されます。ユニバーサルアナリティクスのクロスデバイスレポート、およびGA4プロパティの各種レポートでGoogle シグナルのデータを利用することができます。

ii. User ID

Webサイトによって、カスタムディメンションを利用するとユーザーごとのIDを取得することができます。そのようなWebサイトでは、Cookieの有効期限にかかわらずユーザーIDに紐づけてユーザーの行動データを計測することができます。カスタムディメンションにより取得できるユーザーIDの例として、会員IDが挙げられます。個人を特定できる情報を直接取得することはできず、匿名化した状態でユーザーIDを取得します。

iii. サーバサイドタグ

ブラウザでJavaScriptにより発行されたCookieはITPの影響を受けるのに対し、サーバー側で発行したCookieを利用してサーバー側でユーザー情報を保存する場合、そのデータはITPの対象となりません。クラウド上にサーバーを立ち上げ、そこにサブドメインを割り当てたうえでタグを制御するサーバサイドタグを利用することで、ITPの影響を受けずに計測をおこなうことができます。サーバサイドタグを実装してITPの影響を回避するには、クラウドの設定やサブドメインの割り当てが必要なため、一般的なタグの運用とは異なる知識やリソースが必要となります。

2. Adobe アナリティクス
CNAMEレコードでサブドメインを計測サーバーに割り当て

CNAMEレコードでサブドメインを計測サーバーに割り当て
Adobe アナリティクスでは、計測サーバーにCNAMEレコードを利用してサブドメインを割り当てることで、1st Party Cookieとして計測ができるようになります。これにより、Adobe アナリティクスの実装時に3rd Party Cookieでデータ計測されていたWebサイトでは計測期間の延長が期待できます。しかし、ITPのアップデートにより、CNAMEレコードを利用して発行した1at Party Cookieは、ブラウザでJavaScriptにより発行された1st Party Cookieと同様に1~7日間の有効期限となっており、効果は限定的となります※2

※2 参照元:Adobe Experience Cloud Services 2021/6/29「Safari ITP での ECID ライブラリの手法

3. AD EBiS
DSレコードでサブドメインを計測サーバーに割り当て

イルグルム社が提供するAD EBiSでは、計測サーバーにDSレコードを利用してドメインを割り当てることでITPの影響を受けずに計測ができるようになります※3,4

※3 参照元:AD EBiS サポートサイト「NSレコードを利用したトラッキング方式のご提供について
※4 参照元:AD EBiS サポートサイト「NSレコード方式ご利用時の設定方法について

4. WebAntenna
追加対応なし

WebAntennaは初期実装からローカルストレージを利用しており、それを代替する対応方法について発表はありません※5。(2021年9月時点)

※5 参照元:WebAntenna活用ノート 2020/2/14「ITP 2.3 に対するウェブアンテナの影響について

まとめ

この記事ではITPについての振り返りと、解析ツールへの影響を説明しました。利用しているツールによっては、対策をおこなうことでITPの影響を受けずに計測ができるようになります。期間の制限を受けず長期間ユーザー行動を計測し、長期間のデータで深堀分析を実施することで、ユーザーへの理解が深まり、マーケティング成果の向上にむけた施策を打てる可能性が高くなります。各種ツールの実装に関するお問い合わせ、分析・施策への連携についてご相談がある際には、お気軽にアイレップまでお問い合わせください。


▼関連資料
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