マーケティングや経営に人間中心という発想を ~新たな常識としてのブランド開発~ #4「価値を創造する交換過程をつくるために」

2022.02.04

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この記事の著者

鈴木 智之

2021年2月アイレップ入社。CSV/カテゴリイノベーションの実現を支援する戦略をテーマに活動。広告会社のストラテジックプランナーとして、さまざまなクライアントのマーケティンクや事業支援に従事。ブランド資産を活用した戦略構築に強み。

MarkeZine 連載
https://markezine.jp/article/corner/792

2021年2月アイレップ入社。CSV/カテゴリイノベーション...

前回の記事では、人間の脳には「同じようなことにする」という癖があり、その結果、自社も他社も「同じようなもの(同じカテゴリー)」という認識が存在して現れる事象について述べました。今回の記事では、人間の脳の「同じようなものにする」という癖、それによるカテゴライズを前提に企業の様々な活動を定めていくことの不合理性について述べていきます。

ブランドは全ての企業が活用すべき資産

もともと独自の存在なのに、なぜ差別化が必要となるのか。
一人ひとり人がそれぞれ異なるように、企業も1社1社がそれぞれ異なっていて当たり前です。
でもビジネスの世界では、この当たり前の前提はつい忘れられがちです。

同じカテゴリーと定義した他社を競合に設定し、その業績や取り組みに関する情報を入手し、自社の取り組みとを照らし合わせ、一喜一憂したり、対応や改善を考えたりする。あなたの会社でも同じような現象が起きているのではないでしょうか?

ここには前提として、自社も他社も「同じようなもの(同じカテゴリー)」という認識が存在しています。前回述べたように、人間の脳には「同じようなことにする」という癖があり、その結果現れる事象です。


▼前回の記事はこちら


でも、この連載を読んでくださっている方たち一人ひとり人が独自の存在である、つまり同じ人間は他に存在しないのと同様に、企業も1社1社が異なる、つまり独自の存在であることは明らかです。

なぜ、このような不合理が起こってしまうのでしょうか?

自らの存在を定義する視点

プライベートで知り合った人から、どんな仕事をしているのか?と聞かれたとき、皆さんはどう説明しますか?
簡単なようで、難しい質問。
僕が仕事としておこなっている業務、自分の所属している企業や組織を、なんと説明すれば伝わるのか?

僕の場合は、「アイレップというデジタル系の広告代理店に所属している。そこでプランナーをやっている。」とか、そんな風に答える場合が多いように思います。

事業の種類を表すものとして、業種という言葉があります。
このデジタル系の広告代理店、という説明は、いわゆる業種からの分類ですね。
総務省が規定する「日本標準産業分類」では、産業を建設業や製造業、不動産業などに大分類し、それぞれの群の中分類として、例えば製造業の場合、食料品製造業や鉄鋼業、輸送用機械器具製造業などと、細かに分類してあります。

ことマーケティングの世界では、この業種による分類が色々と悪さをしているように思います。
同じ業種に分類された企業を横目に、自社の経営状況と比較する。

同じような業種に属するA社の売り上げは、昨対120%で成長しているのに自社はそこまで伸びていない、或いは、A社を上回る130%成長をしたなど。こういった情報を目にすると、どうしてそのような結果になったのか?その要因を把握する。そして自社の改善点や強みを認識し、その先の方針を定めていく。

企業経営の実践として、これは間違いではありません。
ただ、同じような業種に属する他社との比較だけをもとに自社の方針を決めていく、となると
自らを他と同じ、と定義していることと同義。つまりコモディティの要因となります。

自らの存在を定義する視点、例えば次元で捉える

知人であり友人の、事業構想大学院大学の岸波教授は、経営に必要な全てのモノ・コトを、3つの次元に分類することを提唱しています。

 1. 存在次元 自社の存在理由
 2. 事業次元 自社の事業範囲の定義とその遂行に必要な戦略
 3. 収益次元 自社収益を適正なものとするための諸活動

1 )は自らの存在を明確に定義することですから、この点において他と混同する心配はいりません。一人ひとり人がそれぞれ独自の存在であるように、企業も1社1社が独自の存在であることは明白です。従ってこの次元から試行を開始すると、無意識におけるカテゴライズの罠を避けることが可能になります。

そして、1 )が明確となっていて、かつそれが社内に浸透している状態であれば、冒頭に書いた「それぞれの企業は独自の存在のはずなのに、同じカテゴリーと定義した他社を競合に設定し、その業績や取り組みに関する情報を入手し、自社の取り組みとを照らし合わせ、一喜一憂したり、対応や改善を考えたりする。」ような事象は起こらなくなります。

従って、もし同じ業種カテゴリーに属する競合他社の取り組みに一喜一憂するという事象が起きている場合、それは、1 )存在次元での定義がなされていないが故に、同じカテゴリーと考えられる他社の情報に対して、2 )事業次元、もしくは、3 )収益次元で反応してしいる状態、と見做すことができる、ということです。

あなたの所属する企業は、いかがでしょうか?

自らの存在を定義するために、活用すべきはブランド資産

コモディティとは、人間の脳の「同じようなものにする」という癖、それによるカテゴライズにより引き起こされるものであること。
そして、すべての企業はそもそも独自の存在であるにも関わらず、そのことを忘れ、あるいは意識することなく、人間の脳の「同じようなものにする」という癖、それによるカテゴライズを前提に企業の様々な活動を定めていくことの不合理性を、この連載では述べてきました。

そして、それへの処方箋を、改めてここに記します。

 ・存在次元では、すべての企業は an apple ではなく the apple である
 ・the apple には、PURPOSE、あるいはVISIONが必要
 ・the apple の状態をブランドと呼ぶ、従ってブランドとはすべての企業が活用すべき資産である
 ・PURPOSE、VISIONによって the apple の状態、つまりブランドを定義することができる
 ・the apple(PURPOSEやVISION)を前提に事業を構想し、消費者や社会へ価値を提供することで収益を得る、一連のプロセスをブランド開発という

さあ、独自の存在となり社会に必要とされる存在へ。
すべての企業が、自らにふさわしいブランドになる世界を目指して。


▼前回の記事はこちら

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