Cookieレス環境で今から実践できる広告施策【Cookieレス連載 #3】

2022.02.22

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この記事は、「【Cookieレスシリーズ2 対策篇】Cookieレス環境下で今すぐ取るべきアクションまとめの続編です。

Cookieレス時代への移行が進んでいくなかで、今対応できるWeb広告施策や、今後検討していきたいポイントをまとめました。

各媒体社が提唱するCookieレス対応策

Web広告施策において、多くの広告主がCookieを用いて、商品・サービスに関連するユーザーへのターゲティングと、広告経由の獲得成果の計測をおこなっています。しかし現在、世界中でユーザーの個人情報保護の一環としてCookie廃止の動きが加速しており、サードパーティーデータや、ユーザーの許諾が取れないファーストパーティーデータはCookieに情報を保持できなくなっています。そのため、今後はWeb広告配信においてこれまでのようなコンバージョン計測やリマーケティング配信が難しくなります。そこで前回の記事では、各媒体社が提唱しているCookieレス対応策を紹介しました。これらの対応策は、コンバージョンやリマーケティングのCookie補完効果が見込めるものとなっています。

(図1:Cookieレス連載#2より 各媒体のCookie補完対応)

 

ただし、ターゲティングの観点ではCookieレス環境への対応はこれではまだ不十分です。各媒体社に関してもCookieを介した、Webサイト行動履歴をベースにした精度の高いオーディエンスターゲティングが難しくなっていきます。
今後は、Cookieを介さないターゲティングをもとに広告施策をおこなうことが主流となっていくと想定されます。
そこで今回は、ユーザーの興味関心に合わせた広告配信で獲得施策を進めている広告主に向けて、Cookieを介さずに、リターゲティングの次に顕在層への配信が見込める媒体のターゲティングについて紹介していきます。

(図2:ターゲティングに活用できるデータ)

各媒体おすすめのCookieに依存しないターゲティング・配信手法

Cookie規制によってリターゲティング配信に大幅な影響が出ることは周知の通りですが、それ以外にもCookieが利用されているターゲティングが多くあります。一部のデモグラフィックや興味関心などがそれに該当し、同様にCookie規制の影響を受けてしまいます。

ただし、プラットフォーマーが保有するデータを、プラットフォーマーのドメイン内で活用するターゲティングはファーストパーティー扱いとなり、引き続き活用できる配信手法となります。これをOwned and Operated(O&O)環境と呼びます。

以下、サードパーティーCookieを使っていない、O&O環境下で実現可能なおすすめのターゲティング・配信手法を紹介します。

 

Yahoo!

※O&Oとなる掲載先はYahoo!ドメインに限る

サーチターゲティング
指定したキーワードをYahoo!検索で検索したユーザーにターゲティング。

自社サイト流出ターゲティング
Yahoo! JAPANドメインページより自社サイトに直接流出(遷移)したユーザーに対して広告を配信するターゲティング。ターゲティングするWebサイトはYahoo!検索結果やYahoo!サービスから直接遷移できるページであれば自由に指定可能。化粧品・金融系の業種などでは比較サイトへ流入したユーザーへのターゲティングも推奨。

広告クリッカーターゲティング
Yahoo!広告をクリックしたユーザーをセグメント化してターゲティング。CookieではなくクリックID(Yahoo!にとってのファーストパーティーデータ)が情報取得元となる。

サイトカテゴリターゲティング/プレイスメントターゲティング
選択式のカテゴリのWebサイトのみに掲載されるサイトカテゴリターゲティングと、自由に指定した面のみに掲載されるプレイスメントターゲティングといった、面でのターゲティング。

 

Google

動的ラインナップ
YouTubeに配信されるインストリーム広告において、GoogleがYouTube動画を分析し、モーメント、トピック、関連性、人気度などに基づいてカテゴライズしたラインナップを選択するターゲティング。例として、年齢指定配信ができない子供に向けた「2~5歳の子供のいる家庭」や細かい番組ジャンル指定として「リアリティ番組」などがある。

トピックターゲティング
テキスト、言語、リンク構造、ページ構造などに基づいてウェブコンテンツを分析し、各ウェブページの主なテーマを割り出して、選択式で指定したトピックに基づくターゲティング。

 

Facebook/Instagram

興味関心ターゲティング
Facebook上に登録したユーザー情報とプラットフォーム上での行動に基づいて推定されたユーザーのインタレストを活用したターゲティング。「モバイルゲーム」「海外旅行」「テーブル」など、300種類以上のカテゴリラインナップが展開されている。

デモグラターゲティング
Cookieを用いたターゲティングの設定はせず、Facebook・Instagramでのユーザー登録情報に基づいた性別/年齢/居住地域/配信面などの指定配信。

リード獲得広告(広告フォーマット)
こちらはターゲティング方法ではなく、Cookieに依存しない広告成果計測ができる施策。ユーザーが広告をクリック後、Facebook・Instagramアプリ上で入力フォームが立ち上がり、ユーザーを外部に誘導することなく会員登録、資料請求等に必要な情報を収集することができる広告フォーマット。

(図3:Facebookリードフォーム広告イメージ)

  1. ユーザー情報の自動反映により離脱を抑制
    Facebook上に登録済のユーザー情報(名前、メールアドレスなど)がエントリーフォームに自動反映されるため、ユーザーの入力の手間が省け、CVR向上が期待できる
  2. カスタムの質問が設定可能
    業種・訴求の目的に沿うよう、入力フォームの質問をカスタマイズが可能
  3. リード情報のダウンロードが可能
    獲得したリード情報を、Facebookから直接ダウンロードすることや、CRMツールと連携することが可能

 

Twitter

ハンドルターゲティング
指定したハンドルのフォロワーや、類似したユーザーをターゲティング。

キーワードターゲティング
指定したキーワードを、Twitterで最近ツイートしたり検索したりしたユーザーをターゲティング。

ツイートエンゲージャーリターゲティング
広告主のツイートに対するエンゲージメントや動画視聴をおこなったユーザーをリターゲティング。

Amplifyプレロールでのカテゴリ指定ターゲティング
ツイート内の動画本編の前に、動画広告を配信する広告フォーマットをAmplifyプレロールという。選択式カテゴリで、ターゲティングした動画カテゴリ内で広告配信される。※ほかにもメディアの特性を活かした、Cookieレスのターゲティングが豊富に用意されている。

 

LINE

クロスターゲティング(LINE公式アカウント⇒LINE広告)
LINE公式アカウントの友だちが、公式アカウントや配信メッセージに対してとった行動データをLINE広告での広告配信に活用できるターゲティング。メッセージを開封したユーザーを指定して配信することで、リターゲティングの代わりとなる。

ランディングページ離脱時のLINE公式アカウントの友だち追加誘導
ユーザーがランディングページを離脱するタイミングで、ポップアップ形式で友だち追加を促す。LINE公式アカウントの友だちに対しては、Cookieを使わず継続的にメッセージやコンテンツを届けられるようになるので、リターゲティングの代わりになる。

(図4:おすすめのCookieレスターゲティング・配信手法一覧)

今後の広告施策のすすめかた

ここまで、Cookieレス環境でも活用できるターゲティングや配信手法の一部を紹介してきました。Cookieでの計測が可能な今のうちに、ぜひ導入して成果を確認していただくことを推奨します。

クッキーレス連載#2、そして今回紹介したコンバージョン補完とターゲティングの見直しを実践いただきつつ、最後に併せて見直しておきたいのはKPIです。

現在、Web広告施策におけるKPIをどのように設定しているでしょうか。獲得施策においては、広告経由でオンライン上の購入成果をコンバージョンとしたCPAを効果指標とするケースが大多数です。ここ最近はCookieレスの影響で既存のオーディエンスターゲティング精度の悪化や、コンバージョン減少で、広告成果が悪化してしまうことに課題に感じている広告主もいらっしゃいます。

繰り返しとなりますが、コンバージョン補完対応だけではコンバージョン計測が不十分です。本来よりも広告成果が過小評価されてしまうため、将来的には別の指標で成果を判断していく必要があります。例えば、インプレッション・クリック・サイト解析ツールから見えるセッションなど、コンバージョン以外の指標は広告主の売上と相関しているでしょうか。代理店・広告主とともに、「コンバージョン以外のどの指標を伸ばすことが広告主のビジネス拡大につながるか?」を念頭に、KPIの再検討への準備を進めることを推奨します。

(図5:今後の広告配信の進め方)

まとめ

全3回にわたりCookieレス環境の解説~今後の広告施策への取り組みについて紹介してきました。アイレップでもCookieレスに関する媒体の対応策に関するお問い合わせや、Cookieに依存しないターゲティングのご相談を広告主よりいただく機会が増えました。2023年にはGoogle ChromeでもサードパーティーCookie利用に対する何らかの規制がアナウンスされています。ぜひ広告施策について代理店・広告主ともにビジネスの拡大に寄与できる、Cookieに依存しないWeb広告施策を一緒に検証していきましょう。ご相談がございましたらお気軽にお問い合わせください。

 

 

▼関連資料35-1

 

この記事の著者

田中 梨花子

2019年にアイレップ入社。入社後2年間では、Google・Yahoo!やSNSの広告運用を担当した後、アカウントプランナーとして認知~ダイレクト領域まで広く担当。現在はメディアプランナーとしてプランニング業務に従事しながら、ITPをはじめとするアンチトラッキング環境での媒体横断施策をリードする。

2019年にアイレップ入社。入社後2年間では、Google・...

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