DX先進国に学ぶ! 日本企業に求められるDXに向けたアクションとは

2022.03.07

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この記事の著者

米田 吉宏

ユナイテッド株式会社
執行役員

慶應義塾大学経済学部卒業後、 2010年株式会社電通入社。2013年ボストンコンサルティンググループ入社後、主に通信・メディア・テクノロジー領域の経営戦略策定、新規事業開発、営業戦略、組織戦略等を担当。プロジェクトリーダーとして従事した後、2019年3月ユナイテッド株式会社執行役員に就任(現任)。DXソリューションの立案/推進と、全社戦略/組織強化を担当。

ユナイテッド株式会社
執行役員

日本は経済的には先進国ですが、DXについては世界の国々と比べて遅れており、DX発展途上国だと言われています。日本でDXが進まない原因は数々論じられていますが、「では、具体的にどうすべきか?」というところまで踏みこんだ議論は多くありません。

そこで今回は、これまでユナイテッドで社外のエキスパートの方たちとおこなってきた対談や先進国のDX事例をもとに、いま日本企業に求められるアクションについて考察します。

コロナがもたらした生活の変化とイノベーション。4カ国の事例を紹介

コロナ禍は、世界の経済に大きな打撃を与えただけでなく、新たなビジネスの可能性を大きく高めました。世界を見渡してみると、日本よりも制約の厳しい大規模なロックダウンをおこなった都市も数多くあります。その一方で、社会と生活の変化を素早く察知し、それに適したビジネスを創出している企業も少なくありません。

コロナによって生活が変わった世界各国の事例を少し見ていきましょう。

<アメリカ>
アメリカでは、コロナ禍になるとすぐ、学校教育は基本的にオンライン授業に切り替わりました。州によって最低授業時間が定められており、体育や図工の授業もオンライン。家の中で縄跳びをしたり、絵を書いたりしている子どもたちも大勢いたようです。現地在住の日本人の子どもたちも、翻訳アプリを使って問題なくオンライン授業が受けられたと言います。

<中国>
中国では、ライブコマース市場が伸びています。現在の日本のライブコマースは、インフルエンサーが化粧品を紹介したり、アパレルグッズを紹介したりするケースが主流です。そのターゲットはITリテラシーの高い若者向けであるのも特徴です。

また、商品やターゲットの幅もかなり広がりを見せています。インフルエンサーだけでなく、生産者自身が直接消費者に訴求するケースも増えています。例えば、農家の方が農園からライブ配信をおこない、消費者に向けて発信するといったことがおこなわれています。コロナ禍で流通インフラが乱れ、農産物が思うように出荷できずにいた農家の方が頭をひねった結果のこの配信。消費者と直接のコミュニケーションが図れることにより、これまでの売上を保つだけでなく、農家へのファンを増やすことにもつながっています。このような、若者から高齢者まで幅広い人々をターゲットにできる領域では、日本でもさらなる可能性を秘めていると言えます。

特に日本は中高年の人口が多く、シニア層でもYouTubeの利用者が増えています。例えば家電製品などでは、細かい文字と図を読みとらなければならない取扱説明書よりも、立体的に伝えられる動画の方が、楽に使い方を把握できるといったメリットもあるでしょう。まだまだ進化の余地がある領域です。

<タイ>
タイでは、「お参り代行サービス」が登場しています。この事例は、冠婚葬祭についてもオンライン化の余地があることを示してくれます。また、街中に置かれた棚に余剰食材を置くという「お裾分け棚」も普及。やり方自体はアナログですが、SNSを通して広がり、アメリカでもこの事例を参考に、「コミュニティフリッジ」という公共の冷蔵庫が置かれるなど、広がっています。

<デンマーク>
デンマークでは、人気の高級レストランがコロナによるロックダウンを機に業態を一気に変容させ、話題となりました。選択したのは、それまでの高級路線ではなく、ハンバーガーとワインを屋外で家族や親しい仲間たちと気軽に食べられるようなカジュアルなスタイルでした。これは人々の「ぜいたく」の基準や価値観が「高級食材を使った料理で上品な時間」から、「家族や友人などかけがえのない人たちとともに過ごす時間」に変化した事例ということもできるでしょう。

このように、地域固有のライフスタイルや慣習や価値観の変化に合わせ、温かみを持たせたいろいろなサービスを考えることができるでしょう。

DX先進国が備えている2つの要素

各国の事例を見てきましたが、日本では、まだまだコロナ収束後には元の生活に戻るだろうと考え、変化を起こせていない企業がたくさんあります。また、変化したいと思っていても、なかなか大きなアクションには踏み切れない企業も多いでしょう。

海外の事例から日本の課題を挙げるとすると、「迅速さ」と「やりきる姿勢」のふたつになります。

①迅速さ
2020年のアメリカでは、起業数(独立数)が急増しました。来店型の店舗である飲食店や理髪店、ネイルサロンなどが壊滅的な打撃を受けたことで、派遣型サービスに変化し独立したケースが急激に増えたと考えられています。しかもこれらの動きは、ロックダウンされた翌週や翌月からはじまっているのです。

中国は国としてもトライしてみようという風潮が強くあります。金融規制を一度緩めて事業を走らせ、行き過ぎたらブレーキをかける。懸念事項を事前に洗い出し、エラーの内容に慎重に進めようとする日本とは大きく違う部分です。

実際には、これらの国々にも保守的な層は一定数いますし、伝統的なビジネスが残る部分もあります。ですが、状況の回復を待つのではなく、自分から迅速に変えていく割合が日本よりも格段に高いのがDX先進国です。

②やりきる姿勢
世界有数の保険会社である中国の「平安保険」は、ブロックチェーンや大量のデータの活用によりフィンテックやヘルスケアなど、保険会社の枠を超えたビジネスを展開しています。

例えば「平安グッドドクター」は、保険+ヘルスケアという新たなビジネスモデルを備えています。オンライン診療を受けた患者は、医師から出された処方箋を元にアプリからそのまま薬を購入可能。薬局からデリバリーサービスで即日届けてもらうことができます。さらに、オフラインの医療機関とも連携しており、アプリで予約することもできます。

保険の加入、診察から薬の受け取りまで一気通貫で提供するこのアイデア自体は、決して新しいものではありません。ですが、これを最後までやりきれていているかがイノベーションの大きなポイントなのです。

よりよい事例を集め、アクションにつなげる

上記を踏まえて、日本企業は何をすべきなのでしょうか。

まずマインドセットの部分では、変化することが当たり前というアメリカ流マインドセットを育てていくことではないでしょうか。ディスラプションやイノベーションを起こすということは、新しいものを生み出すことであるとともに、既存のものを置き換えること。それは「何かが無くなることを受け入れること」でもあります。

次に、アメリカや中国だけではないDX事例を集めることも重要です。日本に入ってくる情報はどうしてもアメリカの事例に偏りがちですが、他の国々からも情報収集することで前提条件が違うケースでのビジネスのヒントを得ることができるでしょう。あくまでもポイントは、前向きで明るい気持ちになれる事例を収集することです。

ある事例を自社の変革に本気で生かしたいと考えるのであれば、話を直接聞ける場に赴いて一次情報を得ることも重要です。二次情報だとどうしても美談になりがちで、裏側に泥臭い行動があることを知ることができません。可能なかぎり、しっかりと聞くことを意識したうえで、自力での情報収集が難しい場合は、キュレーターを頼るのもひとつの方法です。各国の事情に精通したよいキュレーターを見つけられれば、比較的簡単に良質な情報を集めることができるでしょう。

今後の世界がどのように変化していくのか正確に予測できる人はいません。ですが、確実に言えるのは「元に戻ることはない」ということ。変化を前提に正しくマインドセットをし、アクションを起こしていくことがより一層求められています。

〈参考記事〉
・ユナイテッド、「≪DX先進国の事例から学ぶ≫DX発展途上国日本の課題と突破口
・ユナイテッド、「海外先進国 15カ国事例から学ぶニューノーマルの勝機

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