SEO施策の実装を成功に導くために ―よくある8つの失敗例と対策のポイントを解説ー

2022.03.18

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計画と実装はSEOの両輪ですが、実際にはプラン策定後も実装できないままというケースが多く見受けられます。その理由は何なのか?よくある8つのケースからその原因を探り、有効な対策を提案します。

失敗例①:Web担当者がSEO施策を理解できず、実装を依頼できない

クライアント企業のWeb担当者が、SEO会社から提案された施策が理解できないため、クライアント社内の関係者(フロントエンジニアやバックエンドエンジニアなど)に作業を依頼していなかった、というのはよく聞く話です。また、提案されたSEO施策にどれぐらいの期間や予算がかかるのかが分からず、誰に実装を依頼すればいいのかも分からないために、プロジェクトがスタックしてしまうこともあります。

●この失敗を回避するには
クライアント企業のWeb担当者は、分からないことがあればSEO会社に確認し、SEO会社、Web制作会社の3者間でしっかりと、事前の認識共有を行うことが必要です。並行してクライアント企業のWeb担当者には、自身の勉強も兼ねて、自社内でSEOへの理解を推進するための啓蒙活動を行っていただきたいと思います。例えば、SEOの勉強会やウェビナーを開催する、SEOの社内ガイドラインを作成する、などです。

こうした活動を通常の業務に加えておこなうのは、人的にも時間的にもリソースが厳しいのは承知していますが、これはクライアント企業側である程度のコストを掛けておこなうべき課題であると、我々は考えています。アイレップでは社内啓蒙活動のサポートも業務としておこなっていますので、ぜひ相談ください。

参考:https://www.irep.co.jp/news/detail/id=45631/?_ga=2.198844397.371180576.1647333936-185709281.1647333936

失敗例②:プロジェクト全体のロードマップを作っていない

プロジェクト全体のロードマップをきちんと作っていないと、クライアント企業側の事情のみでサイトローンチや改修のゴールが設定されてしまいがちです。そこに合わせてSEOを実装しようとすると間に合わず、最終的にはローンチを優先して、SEOの実装をスキップしてしまう、ということもよく起こります。SEOが実装できないことで、二重コストの発生確率が高まります。

●この失敗を回避するには
そもそもロードマップは、実際に手を動かす立場に当たるWeb制作会社が作るのが基本です。ただし、ロードマップはWeb制作会社だけで作れるわけではありません。まずは3者で要件定義を確認し、クライアント企業のWebサイト特有の問題、CMSの仕様、グローバル企業であれば海外本社のルールなど、クライアント企業特有の制限を洗い出し、整理します。

これでSEOの実施スコープが明確化するので、SEO会社が施策一覧表を作成します。施策一覧表をもとに、Web制作会社がそれぞれの施策を制作の項目ごとに振り分けてガントチャートを作ります。これがロードマップになります。良いロードマップを作るためには、要件定義の段階で、可能な限りタスクを具体化することが求められます。

失敗例③:個別のリソース(工数)確保ができていない

これは失敗例②に関連する話です。というのも、この失敗の原因も、ロードマップ(ガントチャート)がきちんと引けていないことに由来するからです。ロードマップによるスケジュールができていないと、リソースが確保できません。タスクごとにどのぐらい時間がかかるのか、誰が担当するのか、いつまでに完了させなければならないのか、といった細かい期限設定がされていないために、プロジェクトがスタックしてしまうわけです。

●この失敗を回避するには
事前に3者でしっかり全体工程とタスクをすり合わせ、疑問が全部腹落ちした状態でロードマップを作り、実装を開始することが大事です。初期の段階できちんと合意形成ができていれば、実装に関する問題はほぼ解消するはずです。

失敗例④:制作コストを考慮していなかった

パッと聞くと「え!?」と思われるかもしれませんが、意外とあるある事例でもあります。「SEOの予算は確保したがWeb制作の予算は確保していなかった」というケースや、「当初の見立てが甘かった」というケースが挙げられます。

そもそもSEOは、まず調査・分析をしてみないと、実装にどれぐらいの予算がかかるのかわかりません。にもかかわらず、調査・分析の結果が出る前に、実装までのSEO予算をざっくりと確保してしまったために、実際にWeb制作見積もりをとったら予算が足りなくなったという流れです。Web制作の予算を考慮していなかったという点でケアレスミスの部類ではあるのですが、事前に実装までの精度の高い予算を想定するのは案外難しいこともあって、よく見かける失敗例です。

●この失敗を回避するには
クライアント企業のWeb担当者が、事前に見積もりをきちんととるのが一番の解決策です。ただ、SEOの見積もりをとるのは、どんなに慣れた人でもかなり難しい業務です。大きく外さない予算を立てるためには、プロジェクト開始前にSEO会社に超概算見積書(見積もり額の精度は−50%から+100%)を作ってもらい、作業内容と規模ごとのざっくりとした見積もり額を把握しておくことが有効です。

SEO会社によっては、自社の作業領域分について自発的に提案と見積もりをおこなってくれる会社もあります。それによってクリティカルな施策は何で、それに対する制作予算はいくらなのか、ある程度あたりをつけておくことができます。

また、Web制作会社としっかり連携が取れているSEO会社の中には、SEOとWeb制作をパッケージで提供している会社もあります。特に見積もりの作成は独特のノウハウが求められる領域でもあるので、こうしたワンストップサービスを提供する会社に依頼するのもひとつの手です。アイレップでも「SEOとWeb制作 らくらくおまとめパック」というサービスを提供しています。

失敗例⑤:実装の優先度が設定されていない

クライアント企業の中には、目標がはっきりしないまま、とりあえずやってみましょうという状態で依頼し、それを受けたSEO会社も優先度をつけずに実装を始めてしまうケースがあります。無事に終われば良いですが、途中でトラブルが発生することもあります。そうすると優先度が設定されていないがためにリカバリーする方法がほぼなく、プロジェクトがスタックしてしまいます。

また、ロードマップに記載されていないSEO以外の改修部分を優先的にやらなくてはならなくなり、本来やるべきだったSEOの実装がどんどん先送りされてしまう、というケースがありますが、これも実装の優先度をきちんと設定しなかったために起こる失敗例です。

●この失敗を回避するには
実装の優先度は、施策一覧表を作成するSEO会社が設定すべきです。すなわちこの失敗は、いずれもSEO会社がきちんと施策の優先順位を提示できていないことに起因します。この失敗を回避するには、SEO会社が施策一覧表を作成した際に、併せて実装優先度を設定し、その内容を3者で共有することに尽きます。

加えて、クライアント企業のWeb担当者が、「SEOを実装した場合/しなかった場合」の効果を定量的に比較し、実装の必要性について社内承認を得ておく必要があります。実装優先度の設定は、この際の説得力を補強するためにも必要です。これができていないがために、社内稟議が通せず、別の施策に割り込まれてしまうということが、非常によく見られます。

失敗例⑥:実装コストが予算を超過した

失敗例④と⑤に関連するトピックです。予算超過に対応するには、施策一覧で優先度を設定しておくことです。

例えば、制作予算が不足することが判明した際でも、優先度をきちんとつけておけば、優先度の低い施策を取りやめにすることで、予算超過を回避することができます。「予算超過してしまったから何も実装できなかった」ではなく「今回は予算を勘案して実装したい施策の●割まで実施する」といった現実的な範囲で成果に結びつける軌道修正が大切です。

失敗例⑦:Webサイトへの実装が二重コストになった

失敗例②のトピックでも書きましたが、ロードマップがきちんと作成できていないと、いったんWeb制作が終わった後に、もう一度SEOを実装するためにWeb制作をやり直すという二重コストが発生しがちです。また、Web制作会社のSEOの理解度が低い、もしくは施策内容が腹落ちしないまま進行してしまうと、二重コスト発生の確率は高まります。

●この失敗を回避するには
Web制作会社がきちんと理解できるまで合意形成をおこなうことが必要です。そのためには、SEO会社によるきちんとしたディレクションが必要です。

具体的には、要件定義の段階で、Web制作会社がSEOの施策内容をきちんと理解しているかどうかを把握しておくこと。また、SEO施策一覧を出す際に、Web制作会社がきちんと理解できる形で仕様書を作成することです。Web制作会社の理解レベルに合わせた分かりやすい仕様書を作るよう、Web担当者はSEO会社に依頼しましょう。

基本的に、要件定義の作成はSEO会社が責任を負うべき場面であり、リスクヘッジには特に警戒を持って当たるべきです。場合によっては、クライアント企業のWeb担当者がSEO会社へ依頼する際に、分かりやすい仕様書を作ってもらうように念入りに要請することも必要です。

失敗例⑧:実装後、SEO施策が逆効果になった

SEO施策を実施したにもかかわらず、流入が減ったり、売り上げが下がったりしたために、再度SEOを実施しなくてはならないケースもあります。こういうケースでよく見かけるパターンとして、以下の3つが挙げられます。

①Web制作会社の理解が浅い状態で実装を進めた
②そもそもまったく検討外れな施策にもかかわらず、誰も疑問に思わないまま実装した
③Web制作会社がSEO施策の意図を曲解して、施策一覧にない施策を勝手に実装した

SEO施策が逆効果になり売り上げ毀損や流入減少が生じた場合は、実装のやり直しによる二重コストが発生します。

●この失敗を回避するには
SEO会社による徹底した事前チェックがカギとなります。要件定義の段階で、各施策で特に気をつけるべきポイントをリストアップし、犯しがちなミスを具体例としてWeb制作会社に提示する、などです。

「WebサイトのリニューアルによってページのURLが変わる」「新しく階層が追加される」「既存ページが別の階層に統合される」などの動きがある場合は、それまで積み上げてきたSEOの評価がリセットされてしまいます。そのような場合には、例えばですが、

・ページごと、ディレクトリごとに、リダイレクトの対応表を作成する
・ページ間の導線設計に配慮する
・追加するページと既存ページでSEOの実装がカニバらないようにサイトマップを作る
・SEO観点でハイレベルサイトマップを作成し、キーワードを整理する

なども、きちんとおこなっておく必要があります。SEO会社が率先してWeb制作会社とこまめに連絡をとり、施策意図を説明し、実装後に確認するというプロジェクト管理が大事です。

まとめ:SEOの実装で失敗しないためには

ここで挙げた8つの失敗例は、①進行面の問題、②コスト面の問題、③成果面の問題が絡み合っていますが、共通する問題点として、SEOを熟知したプロジェクトマネージャー的な存在がいないことが挙げられます。

本来であれば、Web担当者がプロジェクトマネージャーとして全体の進行管理を担当すべきですが、SEOとWeb制作の十分な知識があり、かつ全体を俯瞰できる人をアサインするのは簡単ではありません。

また、Webサイトの規模が大きいと、どれだけWeb担当者の能力が高くてもリソース的な限界があります。その場合は、プロジェクトマネージメントをWeb担当者に一任するのではなく、全体の体制の中で別に立て置く配慮も必要です。

プロジェクトマネージャーが立てられなくても、これまで挙げた8つのポイントに留意しながら、3者間の合意形成と認識共有に意識的に取り組むことで、失敗を回避することはできますが、一番現実的な解決方法は、SEOのプランニングと実装の両方を担当できる会社に依頼することです。

アイレップでは、SEOWeb制作に関して知識と経験を有するプロジェクトマネージャーをアサインすることができます。また、「顧客の事業収益のベースを強固にする」ということをゴールとし、マーケティング戦略におけるSEOの役割を定義したうえで、豊富な実績と高い技術力を生かしSEOの実装まで責任を持っておこないます。あらかじめリスクをヘッジしたいWeb担当者の方は、ぜひアイレップにお問い合わせください。

この記事の著者

荒木 雄大

2017年アイレップへ入社。在学中より、個人でWebサイトを立ち上げ、サイト企画から運営、マネタイズまで一貫して経験。テクニカルなSEOはもちろんLPO、UI/UX改善など幅広いスキルを持つ。Webサイト運営の経験を活かし、Webサイトの認知度拡大から獲得最大化といった中長期のパフォーマンス向上を得意とし多くのプロジェクトに携わる。

2017年アイレップへ入社。在学中より、個人でWebサイトを...

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