PDCAを回せない広告クリエイターが陥りがちな3つのこと

2022.07.13

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この記事の著者

湯浅 直人

2013年アイレップ入社。デザイナー/ディレクターを経て、2016年よりマネージャーに就任。プランニング・施策設計・デザイン・効果検証など幅広い領域を守備範囲とする。さまざまな商材のクライアント案件において、LP/バナー等クリエイティブを起点とした成果改善を経験。2018年度マネージャーオブザイヤー受賞。2022年よりクリエイティブUnit責任者。

2013年アイレップ入社。デザイナー/ディレクターを経て、2...

「運用型広告ではPDCAが大事」とよく言われます。しかし、企業の担当者の中には「なんとなくPDCAが回っていない気がする」という方も多いのではないでしょうか。漫然とPDCAを回しているだけでは、なかなか成果につながりません。運用型広告において最短距離で成果を出すためには、クリエイティブのPDCAを正しく実行することが求められます。クリエイティブのPDCAを回し、改善を積み上げ、継続して成果を上げるために必要なことは何か?アイレップ クリエイティブUnit責任者 湯浅直人に聞きました。

なぜPDCAが回らないのか?

――クリエイティブを作ったはいいけど、「どう運用すればいいか分からない」
「PDCAってどう回すの?」と思っている担当者が実は多い気がしますが、肌感覚的にいかがですか。

湯浅:
そうですね。仕事柄、クライアント企業である事業会社の担当者の方とお話しする機会が多いのですが、自社でクリエイティブを制作している、もしくは自社で制作会社や代理店をハンドリングしているにもかかわらず、「なんとなく、PDCAが回っていない気がする……」と感じている方は、意外と多いなと思っています。

――でも、そのモヤモヤを解消するためには、PDCAをきちんと回せる代理店に頼みましょう、ということしか解決策はないのでは?

湯浅:
言ってしまえばそうなのですが、ただ「なんとなく、回ってない気がする」と感じるという事実を見過ごしてはいけません。代理店に頼む前にPDCAが回っていない要因をきちんと考えてみることをまずは提案します。

――ふわっとした疑念を明確な課題として意識するには、どういうプロセスで考えていけばいいでしょうか?

湯浅:
PDCAの基本構造に立ち返って考えてみるのがいいですね。

基本的なPDCAの概念は、計画する(Plan)→運用する(Do)→検証する(Check)→改善する(Action)、のことを指しますが、この基本構造を運用型広告のクリエイティブに置き換えて考えてみましょう。

【運用型広告クリエイティブのPDCA】

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①(Check)現状のクリエイティブ結果を確認
 広告レポートを確認

②(Action)結果を考察する
 どの指標がその結果に影響しているのか読みとく

③(Plan)考察から仮説を立てる
 ユーザーのどんな行動がその指標に影響したと考えられるか、仮説を立てる

④(Do)仮説を基に次のクリエイティブを作る
 その行動を改善するにはどのようなコミュニケーションが必要かを検討し、クリエイティブに反映させる

フレームワークは他にも
・STPD(See、Think、Plan、Do)
・OODA(Observe、Orient、Decide、Act)
などさまざまありますが、ビジネスの現場に定着していてイメージしやすい「PDCA」という呼び方をしています。改善を繰り返しながら最適な運用を実現・継続していくという目的は、一般的なPDCAと同じです。このサイクルを繰り返していくことが運用型広告のクリエイティブのPDCAなのだということを、まずご理解いただきたいと思います。

判断指標が定まっていない

――運用型広告のクリエイティブのPDCAの基本構造を理解したところで、改めてPDCAが回っていないと感じる要因を伺います。プロの目から見て、ズバリどこに原因があると思いますか?

湯浅:
「なんとなく回っていない気がする」と感じる一番の要因は、クリエイティブの良し悪しを判断する指標が定まっていないことだと思います。

クリエイティブを評価する指標は、あらゆる段階に存在し、そして無数にあります。例えば、デザインが良かったとか、社内の評判が良かったからということで評価する人もいますし、配信した月のROASが良かったからということで評価する人もいます。一方で、媒体レポートにある、CTR、インプレッション、CVRなどの指標が良かったことを評価する人もいます。これらの指標を正しく使わなければ正しい評価を下すことはできず、正しくPDCAを回すこともできません。そうした状態でPDCAを回している状況を、「なんとなく回っていない」と感じるのではないでしょうか。

先ほどお話しした「運用型広告クリエイティブのPDCA」で考えると、①から②へ回すためには、あらかじめ「クリエイティブの良し悪しを判断する指標」を定めておく必要があります。「デザインがいい」「社内の評判が良かった」などの定性的な意見で判断したり、ROASで判断したり、CTR、インプレッション、CVRなどで判断したりと、人によって良し悪しの評価が異なると、②でおこなう考察は曖昧なものになり、③で作成する仮説の精度が低くなり、ひいては④の完成度にも影響します。

――なるほど。PDCAのそれぞれの段階ごとに何の評価指標で成果を判断するかを、あらかじめきちんと決めておくことが大事なわけですね。

湯浅:
そのとおりです。関係者全員が同じ目線で正しく評価していくことがとても大事になってきます。そのためには、運用開始前に事業会社の担当者、広告代理店の営業、広告代理店のクリエイティブ担当者の3者で、成果を判断する指標を何にするのか、きちんと合意形成をおこない、共通認識を持っておくことです。

これは個人的な実感ですが、PDCAがうまく回っていないとされるたいていのことは、この最初の合意形成を蔑ろにすることで起こっているのではないかと思っています。

成果判断するための期間が十分ではない

――ほかにも、PDCAが回っていないと感じる要因はありますか。

湯浅:
ありますね。これもよく見受けられることなのですが、「成果を判断するための期間が十分でない」ことです。

第1回でお話ししたとおり、運用型広告は機械学習によって広告配信の自動化がおこなわれています。機械学習で運用が最適化され、クリエイティブごとの良し悪しを判断するには、ある程度のデータ量が必要です。つまり、一定の時間をかけなければ、正確な成果判断はできない仕組みになっています。

しかし、クライアント企業の担当者は、予算の都合などで、早めに結果を求めることがあります。たとえば、クリエイティブの成果を判断するのに本来は3ヵ月程度かかる商材であるにもかかわらず、担当者は1ヵ月の時点で勝ちクリエイティブを見つけたい。そうすると、正しい評価を下せないままPDCAを回すことになります。

この問題に対する本質的な解決策は、事業会社と代理店で話し合って、運用結果の判断に必要な期間を見積もり、あらかじめ認識を共有することに尽きます。

――やはり、3者による事前の合意形成が大事なのですね。ただ、クライアント企業によっては成果判断は短期で済ませたいし、きちんとPDCAも回したいと強く主張するケースもありますよね。そういう場合は、代理店としてはどうするのですか?

湯浅:
クライアント企業のご依頼には可能な限り対応するのが代理店の務めですから、もちろん対応策はあります。どうしても短期間でなんとかしたい場合は、成果が出るのに時間がかかる最終指標(CVやCPA)ではなく、中間指標を設けることで対応します。たとえば、インプレッションの偏りや、CTRなど、CVが出る前の一時指標を用いて判断します。

とはいえ、本来は適正な期間を取ることをご理解いただき、3者できちんと事前に合意形成を取って、それに基づいたロードマップを作成することが本質的な解決策ですし、我われもできる限りそうした形での運用をおすすめしています。

パターンの切り分けが不適切

――PDCAが回っていないと感じる要因は、まだ他にありますか?

湯浅:
クリエイティブのパターン分けがコミュニケーション軸ではなく、デザイン軸になっているため、PDCAが全体最適でなく、部分最適になっていることもよく見られます。

たとえば、30パターンのクリエイティブを作って運用する際に、コピーを少しずつ変えるとか、ボタンの色を変えるとか、モデルの写真を違う人に変える、といった違いをそれぞれ1パターンとして制作しているケースがあります。これは、我われからすると、30のパターンを作っているのではなく、1.1、1.2、1.3、……というマイナーバージョン違いのパターンを作っている状態です。マイナーバージョン違いパターンでPDCAを回しても、コミュニケーション軸で見れば、ひとつのパターンの部分最適にしかなりません。

――確かに、ここに気づかないままPDCAを回していたら、なんとなく回っていないと感じるでしょうね。

湯浅:
運用型広告のクリエイティブには、コミュニケーション戦略全体を俯瞰する視点が必要です。もし我われが30パターン作るのであれば、スペック、価格、ユーザーの悩みなど、大きな訴求軸をベースとし、訴求軸ごとにコピー、キービジュアル、レイアウトなどの変数を設定し、コミュニケーション全体を網羅するパターンを考えます。

クリエイティブには多種多様な変数が存在します。仮にあるクリエイティブが勝ったとしても、その要因がどの変数に起因するものかは、適切な比較対照と検証が必要です。網羅性と、科学的思考に基づく比較対照の実践こそが、アイレップが得意とするところであり、高く評価していただいている強みであると自負しています。

一方で、運用型広告は真理を追究する研究活動ではありません。費用対効果と時間を考慮した上で、売り上げにつながる成果を出すことが目的です。時間もコストであることを考えると、最適な運用期間を確保する一方で、運用期間を短縮する工夫もしなくてはなりません。これもまた、代理店としての大事な務めです。

ポイントになるのは、適切な指標の選択です。例えば、訴求軸の検証や、結果を判断するためにはCVなどの深い指標を見ますが、デザインやキービジュアルは何を使うかといった表層的な部分を見るにはクリック率のような浅い指標を見ます。指標の種類と深さを調整することで、短期的でも正確に成果を見分けることはできます。

クリエイティブのPDCAには長期的な視点が必要

――運用型広告クリエイティブのPDCAで最も大事なのはどれですか?

湯浅:
運用型広告クリエイティブのPDCAでも、一般的なPDCAでも、最も重要なのは、「仮説を立てる」ことです。効率よくPDCAを回すには、科学的・論理的な正しさとビジネス上の費用対効果を見据えて、検証すべき変数を設定し、正しく仮説を立て、それに基づいてパターンを作成することが大事です。

しかし、実際にはただ単に「早く」「大量に」回すことをPDCAだと勘違いしている人、会社がとても多いと感じています。仮説なき実践、仮説なき検証では、どれだけPDCAを回しても真の勝ちクリエイティブを発見することはできません。

運用型広告で成果を上げ続けるには、同じスキームでPDCAを積み重ねていかなくてはなりません。プロジェクトで得られたデータと知見を蓄積し、継続的に売り上げを向上させていくという長期的な視点が求められます。アイレップは運用型広告の国内トップエージェンシーとしてこれまで25年間、高精度なPDCAを武器に、クライアント企業に伴走してきました。プランニングの段階から短期・中長期の検証ロードマップを構築し、クリエイティブ担当者と分析担当者が一気通貫で担当する運用体制を整えています。なんとなくPDCAが回っていないと感じるご担当者様は、ぜひお問い合わせください。

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