Amazonで売上成長!老舗プラスチック製品メーカーがベストセラーバッジを獲得するまでの挑戦 /【事例】天馬株式会社

2023.12.15

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1949(昭和24)年設立の国内プラスチック日用品メーカーのリーディングカンパニー、天馬株式会社

累計販売数1億個を突破している「Fits」ブランドをはじめとした、人々の生活を彩る収納用品や日用雑貨を製造・販売しています。

Amazonの取り組みでは、先行する他社を抑えてベストセラーバッジ(※)を獲得し、売上も大幅成長を遂げています。天馬株式会社の井尻 天馬さん、Amazonグループのグループ長の長谷川 太一さんにお話を伺いました。

※ベストセラーバッジ
検索結果ページで商品詳細の画像上に「ベストセラー」と表示できるバッジ。カテゴリ内で最も販売数が多い商品に表示され、視覚的に“よく売れている”というイメージを与えられ、ユーザーの信頼や購買意欲UPにつながる。

 

天馬株式会社
設立:1949(昭和24)年
本社:東京都北区

▼HP
https://www.tenmacorp.co.jp/
▼Amazon
https://www.amazon.co.jp/stores/page/00EE3C4A-4235-4720-83F1-FAE2CD13E0D0
▼ECサイト|テンマフィッツワールド
https://www.tenmafitsworld.com/

※本記事はソウルドアウト株式会社 公式noteより転載しています
元記事:https://note.com/soldout_official/n/n2a1a7f093904


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設立74年目のプラスチック製品メーカー

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【天馬公式】フィッツ(Fits)シリーズの通販

業界のEC化の波に乗って成長

─── まず、天馬さんについて教えてください!

井尻:天馬は1949(昭和24)年に設立した、今年74年目の会社です。収納ケースやタンスなど家庭用のプラスチック製品の製造・販売がメインで、自動車部品やOA機器部品などの受託製造も行なっています。

創業以来、製品の販売先としては量販店やホームセンターとの取引が大部分を占めてきました。しかし、リテール業界では、企業の吸収合併によってPB(プライベートブランド)商品が作られるようになっています。さらに、日本の競合メーカーのみならず、常に海外製品との競争にもさらされており、メーカーとしての立場は厳しくなってきているのが現状です。

また、EC化の波が押し寄せ、弊社においては実店舗での売上は落ち込んでいます。ですが、EC化の波は業界全体のオンラインの売上増加にもつながっており、私たち天馬もその波に乗り遅れないよう、デジタルの施策に力を入れているところです。

 

─── では、井尻さんの自己紹介をお願いします!

井尻:私は、天馬に入社して5年ほど営業を経験したあと、2022年1月から商品企画部でAmazonを担当し、Amazonチームのリーダーを務めています。現在は、EC向けの商品開発にも取り組んでいます。

 

─── 天馬さんでは商品開発も積極的にされていますよね。先日も新商品のリリースを拝見しました。

井尻:ありがとうございます!天馬の代表商品である「フィッツケース」の新たなサイズコンセプトのシリーズが登場しました。フィッツケースは、1986年の発売から、住宅環境や用途に合わせて、生活にフィットする収納用品を提案しています。

基本的には、開発部が新商品を開発していますが、私はEC向け、特にAmazonで売れる商品の開発をしています。

*【天馬公式】新製品一覧の通販


─── EC向けの商品とホームセンターなどの実店舗向けの商品は、どのような違いがあるのでしょうか?

井尻:明確な違いがあるわけではないのですが、それぞれ売れ筋商品が異なることがありますね。

例えば、先日私はEC向けに、真っ白なゴミ箱を開発しました。売れなくなり廃番になってしまった商品を、EC向けに品名変更と商品画像変更で復活させ、今は天馬ECの『ゴミ箱シリーズ』中心商品となりました。

Amazon - 天馬 真っ白で清潔感があり、どんなお部屋にもマッチするシンプルなゴミ箱 日本製 フタが自分好みに選べるダストボックス 省スペースでも置けて分別もできる ホワイトラッシュ スマートペール 【色 ホワイト】 【サイズ:45L】 【幅23×奥行44×高さ60cm】

実店舗だと「Fits」というロゴが入っていて、フィッツブランドだとわかるものが好まれます。お客さまに「見たことある」と思われるのが、実店舗の強みでもあるんですよね。しかしECでは、フィッツブランドかどうかより、商品そのものの機能性やデザインで選ばれます。

また、EC向けの商品開発では、Amazonに書き込まれたレビューを参考にすることもあります。レビューには、ユーザーのリアルな声が反映されています。特に、ネガティブな意見は参考にしますね。商品の改良や、商品画像、説明文を作る際に活かしたりして、お客さまが不安になる要素を解消します。

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ソウルドアウトとの取り組み

コロナ禍での巣ごもり需要のピークを過ぎ、さらなる拡大を目指すタイミングでのご相談

─── では、ソウルドアウトとの取り組みについて伺っていきます。どういったきっかけで取り組みがスタートしたのでしょうか?

井尻:コロナ禍における巣ごもり需要の高まりもあり、Amazon経由の売上は大きく伸びました。そしてさらなる拡大を志していた頃、行動制限の緩和とともに実店舗回帰の流れが始まり、成長の鈍化が見受けられたんです。

何かしら手を打たねばと、Amazon広告の運用を見直そうということになりました。それまでは、Amazon広告は自分の業務をやりながら合間で取り組んでいたこともあり、指名ワードの広告配信など最低限しかできておらず、形だけになってしまっていたんですよね。

ソウルドアウトさんには、ECサイト「テンマフィッツワールド」で、すでにご支援いただいていたこともあり、Amazon広告の成果改善についてお力をお借りしたいと思い、ご相談させていただきました。

 

─── そういった経緯があったんですね。ちなみに、天馬さんのEC領域において、Amazonはどういった位置付けだったのでしょうか?

井尻: EC領域の中核となる事業と捉えておりました。

EC領域では、自社ECサイトをはじめ、お取引先のホームセンターのECショップや大手ECモールにもいくつか展開しています。中でもAmazonが占める割合はおよそ3割から4割。Amazonが落ち込むと事業全体の業績に大きな打撃を与えることになるんです。

 

─── なるほど。会社としてもAmazonに注力していきたいという背景があったんですね。自社ECサイトではすでに私たちソウルドアウトと一緒に取り組んでいたということですが、Amazonの場合、プロモーションの仕方は違ってくるのでしょうか?

長谷川:同じECとはいえ、集客するにも、大きくアプローチの仕方は異なります。

Amazonと自社ECサイトの集客は、商店街への出店と路地裏への出店ほどの違いがあります。Amazonというプラットフォームには、何かしら商品を探している多くの人が訪れているため、天馬さんのページへも流入が期待できますが、自社ECサイトへは、天馬さんのことを何も知らずに訪れる人は少ないですね。

井尻:長谷川さんのおっしゃる通りです。

自社ECサイトでは、そもそも来てもらうことが大事です。リスティング広告やリターゲティング広告、MAツールの活用、メルマガ施策などを行なっています。何かしらのアプローチがない状態でやってきてくれるのは、天馬のファンだけです。

長谷川:そうですね。

一方のAmazonは人混みの多い場所であり、ふらっと来て、ふらっと買ってくれる人もいます。ですがAmazonには誘惑も多い。Amazonに来てくれた人に、天馬さんの商品に出会ってもらい、買ってもらえるような施策が必要です。

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ROASの限界を知り、ROAS至上主義を見直す

─── では、これまでの取り組みで特に印象的だったことを教えてください!

井尻:2022年5月頃、広告の費用対効果(ROAS)の限界値まで広告費を投下したことがありました。

私自身、Amazonに関してはまだまだ素人で。広告費を投資すればするほど、成果が得られると思っていたんです。

長谷川さんからは「広告費を無闇に増やしても限界がある」との助言をいただいたのですがが(笑)、限界がどこなのかはやってみないとわからない、具体的に知りたい、それなら実際に試してみるしかないと思い、やってみることにしたんです。

上司からは白い目で見られていましたが(笑)。

長谷川:そんなこともありました。忘れられません(笑)。前月の業績が非常に良かったため、予算的な余裕もあったんですよね。

井尻:そうでしたね。

限界まで投じた結果、広告費をこれ以上かけても成果は得られない、むしろ悪化する、という地点まできました。ROASの限界を知ったんです。

天馬では、広告費は売上に対しての割合で決まります。売上が伸びると、広告費も増えるんです。ですが、今のままでは広告費をかけても無駄。やり方を変えなければ、成長が頭打ちになってしまう。今後の戦略を考え直さなければならない、そう思うきっかけになりました。

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データを活用して新たなユーザーを開拓。認知向け施策を強化

─── なるほど……、思い切った決断でしたね。どのような新しい取り組みが始まったのでしょうか?

井尻:それまで実施していた、ROAS重視のスポンサー広告だけではだめだ、という結論に至り、新しいユーザーにアプローチするための認知向けの施策に挑戦することになりました。

長谷川:認知向けの施策は売上からは遠く、ROASも悪いです。しかしこの施策を行なわなければ、近い将来、天馬さんのファンにしか商品を買ってもらえなくなります。新しいファンを増やさなければならない、これからは違うフェーズだ、というお話をさせていただきました。

認知向けの施策があってこそ、売上に近い、ROAS重視のスポンサー広告が効果を発揮するんです。

井尻:ROAS重視の効率的な広告運用ももちろん重要ですが、天馬のさらなる成長のためにはROASではない指標を追う、認知を目的とした広告施策にも力を入れる必要があると実感しました。

長谷川:新規ユーザーの購入数や商品詳細ページの閲覧経路など、新しいユーザーにどれだけ接触できたのかを測るようにしました。

8月頃から、広告予算を大幅増額して新しいチャレンジをし始めましたね。

 

─── では、実際にどのような施策を実施したのかを教えてください!

長谷川:Amazon DSPを活用して、オーディエンスを拡張し、新しいユーザーを発見する広告施策に取り組みました。

Amazon DSPでは、Amazonユーザーの行動をもとにしてターゲティングをすることができます。このデータを活用して施策に活用できないかと探っていました。天馬さんの商品を購入したお客さまのデータを見ると、会員情報に登録している住所を3か月以内に変更した方が多いことがわかったんです。つまり、引っ越しをするときに、天馬さんの商品を購入する方が多いということを示していました。

そこで、3か月以内に住所変更を行なったユーザーをターゲティングし、認知目的の広告配信を実施しました。

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▲Amazon DSPの併用により、Amazon広告経由の売上を拡大
Amazonセール期間のチャンスを逃さない!運用ポイント4つを押さえて売上拡大【徹底解説します】|ソウルドアウト株式会社

井尻:たしかに、Amazonの配送先の住所変更は、引っ越しを意味する可能性が高いですよね。データの活用方法について新しい発見になりましたし、活用の幅の広さがおもしろいな、と思いました。

ユーザーの興味関心でターゲティングするのではなく、興味関心をもつ手前のユーザーにもアプローチすることができるようになったと思います。

長谷川:井尻さんとの毎週の打ち合わせでは、データを参照しながら「リーチを広げていきたいけれど、どのターゲティングだと相性がいいのか」と、かなり議論しましたね。

 

─── 新しい取り組みに挑戦されて、どのような変化が表れたのでしょうか?

井尻:2022年11月頃には、売上が前年比で180%以上に伸びていきました。

Amazon DSPを活用した広告施策やセール期間での取り組みを強化した結果、もともとランキング15位から20位をキープしていた商品が、3位か4位にまで上昇したんです。

フィッツケースにはポテンシャルがある、もっと上を目指せるのではないか、と感じましたね。

翌12月、好調な成果を受けて翌年の方針を固め、Amazon DSPの予算をしっかり年間で組むことができました。

長谷川:本当に様々な広告施策に取り組みましたね。何が良くて何が悪い結果につながるのかがわかったので、年間の方針をしっかりと考えることができました。

ベストセラーバッジを獲得。Amazonの成功が社内で注目を浴びる

─── 15位から20位だったものが3位から4位まで上昇したんですね!素晴らしいです。

長谷川:広告施策としては、スポンサープロダクト広告やスポンサーブランド広告、スポンサーディスプレイ広告、Amazon DSPなど一連の施策に取り組みました。ほかにも、4か月かけてストアを改善したり、高評価レビューを得られるよう取り組んだりとできることは全てやり切りましたね。

井尻:長谷川さんは広告だけではなく、天馬のブランドストアの監修も手掛けてくれています。ユーザーの回遊率が上がりました。

一つひとつの施策を確実に行なっていき、2023年5月、ついに天馬の商品がAmazonのベストセラーバッジを獲得できました!

長谷川:日々の努力が実を結びましたよね。とても嬉しかったです!

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*2023年10月6日時点
https://amzn.asia/d/g7bLTWb

─── ベストセラーバッジを獲得して、どのような変化があったのでしょうか?

井尻:「収納」などの検索でのオーガニックの流入が増え、売上もぐんと伸びましたね。

しかしベストセラーバッジを保持するのは簡単ではなく、施策を一つでも怠るとランキングが下がってしまうこともあるんです。長谷川さんと一緒に、ベストセラーバッジを維持するために試行錯誤を重ねています。

 

─── Amazonの売上が拡大したことで、社内に変化はありましたか?

井尻:ECやAmazonに対する見方が大きく変わりました!

会社の売上をみても、実店舗での売上が軒並み伸び悩む中で、Amazonの売上は前年比120%を超えるペースで推移しており、インパクトも非常に大きくなってきています。

そうなると、営業や商品開発を担当する社員が「どうしてAmazonはそんなに売れているのか」と注目するようになりました。先日は社内の方針会議に出席し、Amazonの取り組みについてアピールする機会をいただきました。会社全体としても、Amazonの力を認識し始めていると思います。

 

─── 社内での認識の変化を感じられているんですね。

井尻:そうです。先日、販売店のECショップを担当する営業社員に向けて、勉強会を実施しました。Amazon担当の私と、自社ECサイトを担当する社員の二人で登壇し、取り組みの内容を話しました。

参加した営業社員はこれまで、小売店の棚に商品をおくことが業務の中心でした。ですが、ECは全くの別物。「サイトのデザインが重要だ」「商品のタイトルをEC向きに変えてみよう」などといった声も出ており、新しい視点が加わって、徐々に意識が変化していることを感じましたね。

二社の信頼関係が成功へとつながった

─── ベストセラーバッジを獲得し、Amazonの取り組みが社内で注目を浴びるようになってきたんですね。成功の一因として、お二人が強い信頼関係を築かれていることも大きいと感じました。

井尻:そうですね。私たち天馬にとって最も重要なのは売上と利益であり、ここに対して、長谷川さんはしっかりとコミットしてくれています。

そこは前提としてありますが、長谷川さんとはお互いに年齢も近いですし、何でも話せる仲だと思っています!何か困ったことがあったら、とりあえず長谷川さんに相談させていただいています。

長谷川:そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます!

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井尻:長谷川さんがすごいのは、自分の意見をもっており、その場の流れに流されず、正直に伝えることができるところだと思っています。

先日、Amazon広告の新しいプロダクトにチャレンジしてみたいと思い、長谷川さんに相談したんです。すると、「今はまだやらないほうがいい、まずは目標の達成にフォーカスし、選択と集中をするべき」「広げるのではなく、深く掘り下げていきましょう。新しいプロダクトに取り組むのは、来年以降でも遅くはありません」とおっしゃってくださいました。

広告費は私たちが出します。ですので、結果はどうあれ、ソウルドアウトさんの売上につながるんですよね。しかし長谷川さんは私たち天馬のことを一番に考え、やらないほうがいいと判断してくれました。信用できる、と感じましたね。とても感謝しています。

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─── いいエピソードですね。

井尻:はい!私は長谷川さんに比べると、Amazonやマーケティングに関わり始めて日が浅いので、おすすめの本やセミナーを教えてもらうこともあります。この間は、『確率思考の戦略論』という難しい本をおすすめしてくださいました(笑)。ですが、とても面白かったですし、今では私にとってECマーケティングを考える上で大切な本となっています。

長谷川:井尻さんは非常に勉強熱心です。頭の回転も速いですし、深堀りもすごい。短期間でAmazonにとても詳しくなられました!

今私たちは、阿吽の呼吸というか、一緒に前に進んでいる感覚があります。

今後の二社の取り組み

天馬のブランド価値を高めていきたい

─── それでは、今後取り組みたいことを教えてください!

井尻:Amazonや自社ECサイトでの取り組みにとどまらず、会社対会社での取り組みをしていきたいです!私たちのチームが会社としての意思決定に携わり、天馬のブランドの認知向上や育成に挑戦していきたいと思います。

長谷川:ECは販路の中の一つでしかありません。ECの支援からデジタルマーケティング、デジタルマーケティングからマーケティングの支援へと、幅を広げていきたいですね。

Amazonの支援だけではできることに限界があります。天馬というブランドの好感度をどのように高めていくのか。会社としてのマーケティングの意思決定に携わり、天馬さんの成長に貢献していきたいです。

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編集後記
終始和やかな雰囲気だったお二人のインタビュー。お互いに強い信頼関係があったからこそ、“ベストセラーバッジの獲得”という成果を出せたのだと感じました。

【インタビュー・執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】

この記事の著者

ソウルドアウト株式会社

ソウルドアウトグループは、地方を含む日本全国の中小・ベンチャー企業の成長をデジタルマーケティング、ソフトウェア、メディア制作・運営、DXの領域で支援しています。全国に23の拠点を持ち、対面サポートを重視する地域密着型で、地方中小企業の課題やその独自性を理解し、それぞれにマッチしたソリューションを提供。事業のスタートアップから既存事業のアクセラレートまで、テクノロジーを活用し、顧客の成長ステージに合わせた提案によって、日本全国の中小・ベンチャー企業が秘めている潜在能力を引き出し、寄り添うスタンスで共に挑戦しています。

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