旭化成が取り組む本気のDX!従業員のスキルの見える化を通じて、デジタル人材育成

2023.10.20

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デジタル共創本部 CXトランスフォーメーション推進センター 
CX企画戦略部 部長
角 正剛 様(写真中央)

デジタル共創本部 CXトランスフォーメーション推進センター 
CX企画戦略部 人財開発グループ グループ長
吉田 健一 様(写真右)

デジタル共創本部 CXトランスフォーメーション推進センター
CXシステム推進部 Webマーケティンググループ グループ長
山﨑 篤史 様 (写真左)

旭化成グループでは、「4万人のデジタル人材育成」を掲げ、全従業員のDXスキルを底上げする教育を強化しています。デジタル人材の育成では独自のeラーニングシステムを構築し、アイレップが提供するデジタルマーケティング・DX人材育成のための動画学習サービス“ DIGIFULアカデミー※1”のコンテンツをご利用いただいています。今回は、実際に旭化成グループでデジタル人材育成を担う「デジタル共創本部 CXトランスフォーメーション推進センター」の皆さまに、人材育成における方針やDIGIFULアカデミー導入の経緯、また導入後の社内の反応について、お話をうかがいました。

※1:DIGIFULアカデミー
アイレップが運営する、企業のマーケティング担当者のためのオンライン学習サービスです。コンテンツ開発において、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社と連携し、“最新”かつ“実践的”なデジタルマーケティングのノウハウを提供しています。
https://academy.irep.co.jp/

旭化成グループのDX推進 グループを横断的におこなう変革

- まず、旭化成グループについて教えてください

角 様:
旭化成グループでは、「人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します」という企業ミッションを掲げています。「人びとがよりよい生活を実現できるよう、最も良い生活資材を、豊富に低価格で提供すること」を目指し創業され、その後、時代環境によって社会が求めるものは変わりましたが、創業当初から受け継がれている「社会の変化を先取りして挑戦すること、そして自らも変化していくこと」は旭化成の普遍的なあり方です。事業領域は、大きく分けて「マテリアル・住宅・ヘルスケア」の3つあり、それぞれ生活に密着した事業を展開しています。

吉田 様:
1922年創業の当社は、昨年2022年に100周年を迎えました。ここからまた、しっかりと強い事業を作っていこうと誓いを新たにしたところです。

- 歴史のある御社ですが、未来に向けて常にイノベーションを起こし続けていらっしゃいますね。今後、全社を挙げてのDXに本格的に取り組まれるということですが、デジタル共創本部の役割、組織のミッションについて教えてください

角 様:
「デジタル共創本部」は、旭化成全体のデジタル化を推進する目的で2021年に創設されました。

組織としましては、旭化成全体のIT基盤を支える「IT統括部」、スタッフ部門のDX活用に取り組む「DX経営推進センター」、研究開発部門を担う「インフォマティクス推進センター」、製造・生産系のDXを進める「スマートファクトリー推進センター」、それから我々3名が属している「CXトランスフォーメーション推進センター」の5つで構成されています。「CXトランスフォーメーション推進センター」は、主に営業・マーケティング領域のDX支援、いわゆるCX(Customer Experience:顧客体験)の変革を推進する部門です。

吉田 様:
当センターには、私のように営業・マーケティングを経験した者もいれば、IT技術者やデータサイエンティストなど、多様な人材が揃っています。SFAやマーケティングオートメーション、Webサイトといった営業やマーケティングに関わるツールやシステムの導入と運用支援、人材教育などを通じて業務改革を推進しているところです。

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吉田 健一 様

吉田 様:
日本でDXといったキーワードが出てきたのは、2017、2018年あたりでしょうか。旭化成グループでは、2018年をデジタル導入期として、各事業部、事業所単位で課題解決に向けたDXの取り組みをはじめておりました。いわば、基礎固めのステージです。2020年からは、DX推進を加速させるステージに移行し、グループ横断での取り組みに大きくシフトチェンジしました。そして、2021年4月にデジタル共創本部が設立されたという流れです。

なかでも、CX企画戦略部・人財開発グループは、DXを推進するうえで必須となるデジタル人材の育成に注力する部門ということになります。

4万人のデジタル人材育成を掲げ、オープンバッジ制度の導入

- 御社の人材育成の目標や具体的に実施したことを教えてください。

角 様:
旭化成では、デジタル技術の活用により無形資産の価値化や新たなビジネスモデル・事業の創造を進めています。

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引用)旭化成株式会社資料「旭化成における「デジタル×共創」によるビジネス変革」

さらに2024年からは「デジタルノーマル期」として、海外も含めた全従業員がデジタルを当たり前に使いこなせるマインドセットで働く「4万人デジタル人材化」を目標に掲げています。また各事業部に高度な専門的知識を持つ「デジタルプロ人材」を、2021年度の10倍にあたる2,500名育成することを目指しています。

「4万人デジタル人材化」に向けて、オープンバッジ教育プログラムを全社に展開し、デジタル人材の育成に取り組んでいます。このオープンバッジ教育プログラムは、レベル1~5の5段階あり、各レベルを受講修了するとオープンバッジがレベルごとに付与される仕組みになっています。

出典)公益社団法人日本マーケティング協会「旭化成株式会社:4 万人のデジタル人材育成 に向けて ~e ラーニング講座を使った教育システムの構築~」

 

- オープンバッジ制度というものを導入した背景を教えてください。

吉田 様:
オープンバッジ制度を採用した最大の理由は、各自のスキルレベルの見える化です。メールのシグネチャや名刺にオープンバッジを使うことが社内で許可されていますので、より高いレベルのオープンバッジを取得するモチベーションにつながるでしょう。

オープンバッチ制度
自律的・自発的な学習を促し、eラーニングを活用したデジタル技術基礎知識の段階的な習得を推進するために、習得したスキルの証明書を発行し、スキルレベルの見える化をおこなう制度。

 

- eラーニングシステムには、DIGIFULアカデミーのコンテンツを提供させていただいています。ほかにもデジタル教材があるなかで、DIGIFULアカデミーを選んでいただけた決め手はなんでしょうか。

角 様:
当社が掲げるデジタル人材育成は、所属部署や職種を問いません。つまり、受講対象者にはマーケティングの知識を持っていない従業員も多く含まれています。そうなると、いきなり「デジタルマーケティング」を学ぶのではなく、先に基本となるマーケティング理論について知っておく必要があります。そこで、習得すべき知識の構成決めて、その内容に合致するふさわしいコンテンツというものを探していました。実は、DIGIFULアカデミーの導入を決めるまでに、インターネットで検索したり、教育コンテンツに詳しい人に聞いたりして、7~8社のコンテンツを比較検討しました。

結果として、我々が求めている内容が全て揃っていたのは、DIGIFULアカデミーだけでした。マーケティングの基礎からデジタルマーケティングを体系的に理解できるコンテンツは、他に見つかりませんでした。さらに、広告やBtoBマーケティング、SEOなど、あらゆる分野を網羅しているうえに、内容も充実しています。もちろんクオリティにも満足しています。デジタルマーケティングの分野では、技術や情報が常にアップデートされます。DIGIFULアカデミーのコンテンツは、そういったことに対応して増え続けていますよね。そこが、第1の決め手でした。

吉田 様:
もうひとつの決め手は、動画コンテンツをOEM利用(旭化成様ですでに導入しているLMSにDIGIFULアカデミーの動画コンテンツを実装し利用)させていただけたという点です(今回、旭化成様のご要望に応じて、アイレップで新たにコンテンツOEMプランを作成しご提供)。当社のeラーニングシステムは複数社のコンテンツを利用していますが、DIGIFULアカデミーのコンテンツを自社環境に組み込ませていただいたことで、従業員の利便性が高まり、非常に助かっています。

- 御社では DIGIFUL アカデミーをどのように活用されていますでしょうか。

吉田 様:
当社ではオープンバッジを5段階に設定しており、レベル1~3をデジタル活用人材、レベル4~5はプロ人材と位置づけ、全従業員がレベル3に到達することを目標としています。DIGIFULアカデミーは5段階のレベルうちレベル4のコンテンツの1つとし、デジタルマーケティングを学ぶ教材として活用しています。

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引用)旭化成株式会社資料「旭化成における「デジタル×共創」によるビジネス変革」

バッジを取得するには、レベルに応じた動画コンテンツを受講し、テストで一定水準を超え合格する必要があります。アイレップさんには当社オリジナルのテスト問題を作成いただきました。このテストには、解答と解説が用意されているため、間違ったところを復習することで受講者の理解が進み、知識定着に大いに役立っています。

- DIGIFULアカデミーを受講されている方は、年齢や職階、担当業務による偏りはあるのでしょうか。

吉田 様:
新入社員もいれば、役員もいます。製造や研究職の方もいます。業務や職責よる偏りはありません。従業員が自身のタイミングで受講できる自社環境のeラーニングだからこそ、多くの従業員に取り組んでもらえているのだと思っています。

角 様:
実際、事業部長の職にある方でも、ご自身の知識を再確認するために受講されています。また、商品開発に携わっている従業員が、自身の業務とは直接関わりのない領域のオープンバッジ教育プログラムで学ぶケースもありました。刺激を受けるというか、発想に活かそうとしているのでしょう。

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角 正剛 様

 

吉田 様:
現在(2023年8月8日時点)で、約5,000名がオープンバッジ教育プログラムの「デジタルマーケティングコース」レベル3を受講しています。また、レベル3にはデジタルマーケティング以外にも複数のコースがあり、いずれかのコースでレベル3のオープンバッジを取得した従業員の割合は約50%です。なかには、レベル3の全コースでバッジを取得した従業員もいます。

もちろん、「4万人デジタル人材化」という目標達成のためには、さらに多くの従業員にレベル3以上のオープンバッジ取得に取り組んでもらう必要があります。

受講者の声と期待、旭化成とDIGIFULアカデミーのこれからについて

- DIGIFULアカデミーのコンテンツを受講された方の反応はどうでしょうか。

角 様:    
受講者アンケートで特に人気があるコンテンツは、「BtoBマーケティング入門」です。当社では、住宅や食品フィルムなどの消費財事業はBtoCですが、マテリアル領域など多くの事業はBtoBということから、ニーズが高いのでしょう。また、「SEOコンテンツ」と「広告の基礎知識」も人気です。

一口に広告といっても、さまざまなテーマがありますが、DIGIFULアカデミーのコンテンツはさらに細分化されていて、深く学ぶことができますね。

山﨑 様:
私自身も受講しましたが、マーケティング理論とデジタルマーケティングの基礎を体系的に学び直すことで、自分の知識を深めることができました。

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山﨑 篤史 様

吉田 様:
当社がWeb広告を運用する場合、広告会社に依頼することになります。しかし、依頼した仕事を正しく理解していた従業員は少なかったのではないかと思います。しかし、DIGIFULアカデミーのコンテンツで学ぶことで、自分たちが依頼した業務を理解できるようになったのではないでしょうか。今では、広告会社の担当者との会話もより具体的な内容になってきていると思います。

角 様:
これまで理解できていなかった専門用語を理解して、共通言語でコミュニケーションできるようになるというのは大きな進歩です。会話がスムーズに進み意思疎通が図りやすくなるだけでなく、認識の齟齬がなくなるでしょう。

山﨑 様:
私が所属しているWebマーケティンググループは、デジタル広告やコンテンツマーケティングに関する相談を受ける機会がありますが、最近は専門用語をかみ砕いて説明しなくても通じることが多くなってきました。オープンバッジを受講し、デジタルマーケティングを理解している方が増えてきていると実感しています。

- 普段、デジタルマーケティングに携わらない人がデジタルマーケティングを学ぶ意義はなんであるとお考えですか。

吉田 様:
フレームワークを活用した戦略の立て方は、どのような事業においても役立つと思います。もちろん、デジタルマーケティングが自身の業務に直接関係ないという従業員もいると思います。しかし、マーケティングの正しい知識を習得したうえで事業活動に関わるのか、知らないままで関わるのとでは、大きな違いがあるのではないでしょうか。

角 様:
今はインターネット広告が要らない事業に携わっていても、必要となる部署に、いつ異動するかわからないですからね。それに自分が蓄えた知識やスキルは、いろいろな場面で活用できるはずです。知っているから、取捨選択できるということもあるでしょう。デジタルマーケティングは、自分には関係ないと思わずに、広く知識を得てほしいですね。

編集後記

今回は全社規模でのDX人材育成のために、DIGIFULアカデミーをご利用いただいた旭化成様からお話をおうかがいしました。

事業DXのためのさまざまな変革には、社内の複数の部署が協力しあう必要があるため、
自部署の担当領域以外のデジタル知識の習得が重要になります。

旭化成様のように、マーケティング担当以外の方もデジタルマーケティングを学ぶことで、社内での共通言語が増えて、イメージの共有が進み、DX化がますます加速すると思います。

今後もDIGIFULアカデミーでは、デジタルマーケティングやDXの推進を人材育成の側面から支援してまいります。

全社リスキリングに向けた、お困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

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この記事の著者

DIGIFUL編集部

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