Google アナリティクスとGoogle 広告を活用した売上拡大事例

2022.03.11

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デジタル化の普及やコロナの影響による可処分時間増加により、消費者がインターネットで商品を購入することにますます抵抗がなくなり、消費者行動自体も変化したことで、D2Cビジネスの市場は右肩上がりで成長しています。本記事では、D2C事業を展開するクライアント企業の抱える課題を、Google アナリティクスを使用して解決した事例を紹介いたします。

今回紹介するクライアント企業では、「お試し購入」から「定期購入」への引き上げ率が低下傾向にあったことが理由で売上が伸び悩んでいるという課題がありました。

その状況を受け、当社では、Google アナリティクスを活用した課題解決を提案・実行しました。Google アナリティクスを活用して将来的に売上に繋がりやすいユーザーをセグメント化したうえで、セグメント化したユーザーに対して適切に広告メッセージを出し分けることにより「定期購入」への引き上げを促しました。その結果、売上の拡大に貢献できました。

クライアント企業における課題およびその解決アプローチ

クライアント企業における課題の整理

今回紹介するクライアント企業は、D2Cビジネスとしてサプリメントの販売を展開していました。サプリメントの購入方法を、「お試し購入※1」「単品購入」「定期購入※2」の3種類から希望に合うものを選べる形式であり(図1)、ユーザーから好評を博していました。その結果、オンライン販売を中心に売り上げを伸ばしてきました。

※1:初めて商品を利用するユーザー向けの導入商品。本製品の購入ハードルが高い場合の導入商品として位置付けられている。
※2:定期購入を希望するユーザー向けの商品。売上構成比率としても、7~8割が定期購入となっており、売上を伸ばす上で重要なポイントとなる。

(図1:ビジネスモデルの図解)

一方で、次第に売上が伸び悩んできました。当時のプロモーションでは、「お試し購入」1件の獲得効率(CPA)を重視した配信をおこなうことにより、「お試し購入」をするユーザーは伸ばすことができていましたが、「定期購入」への引き上げ率が低下していた、すなわち「定期購入に移行して継続的に購入してくれるユーザー」の獲得を十分におこなえていなかったことがその理由です。「お試し購入」をフックにすることで、新規ユーザーを多く獲得できた反面、通常よりも安価で購入できるという理由のみで「お試し購入」を決めたユーザーも獲得していました。その結果、「定期購入」に繋がらないケースが増加していたのです(図2)。

(図2:課題の図解)

「お試し購入」「単品購入」「定期購入」の中では、定期的に売上の発生する「定期購入」が、最もユーザー1人あたりの売上が大きい購入方法です。つまり、「定期購入」ユーザーを増やすことが、中長期的に売上を増やす、つまりビジネス全体を拡大させるうえで非常に重要です。一方で、デジタル広告によるプロモーションの成果指標として頻繁に用いられる1件の獲得効率(CPA)は、獲得の有無だけを考慮した指標であり、獲得後の売上の大きさは勘案されていません。

すなわち、目下の広告施策における成果改善だけに注力し過ぎた結果、中長期的な売上を増加させる、というビジネス拡大に向けて本来実現すべきことが疎かになっていたのです。

課題解決アプローチ

「定期購入」への引き上げ率低下という課題を解決するために、Google アナリティクスのデータを活用した広告配信を実施しました。「お試し購入」をしたユーザーのみを対象とした広告配信をスピーディーにおこなうためです。例えば、オーディエンス作成の際には、商品コードをKeyとすることで「お試し購入」したユーザーのみを対象としたリストを簡易に作成できます。

すなわち、「お試し購入」を通じて商品に対する認知やモチベーションが一時的に高まったユーザーに対して、認知やモチベーションが低下しないうちに広告配信をおこなうことで、「定期購入」への引き上げ率の改善を目指しました(図3)。

(図3:Google アナリティクスによる課題解決アプローチの図解)

Google アナリティクスの具体的な活用方法

ターゲットの選定

配信ターゲットとして、過去に「お試し購入」をおこなったユーザーを選定しました。Google アナリティクス内のデータを活用してセグメントを作成し、広告配信に活用することを決めました。

オーディエンスの作成

Google アナリティクスの管理画面にて「設定>ユーザー定義>オーディエンス」から   「+新しいオーディエンス」をクリックし、「オーディエンスの定義」から条件を指定しました。今回は、「お試し購入」したユーザーのみを対象にするため、「商品のSKU(販売された商品アイテムの商品コード)」をキーとして、「お試し購入」ユーザーのみのリストを作成しました(図4)。

(図4:Google アナリティクス管理画面 オーディエンス作成時の参考例)

広告配信の目的と配信設計

配信設計

これまでの配信は、サイト訪問者へのリターゲティング配信が中心でした。すなわち、サイト訪問者をどれだけ効率良く「お試し購入」に結び付けるかを意識した配信設計でした。そのため、効率良く「お試し購入」ユーザーの数を増やせましたが、肝心の「定期購入」への引き上げを促し切れなかったため、引き上げ率の低下を招いていました。

一方、今回の配信では、Google アナリティクスのデータを活用し、「お試し購入」を行ったユーザーのみを配信対象として、「お試し購入」後のモチベーションが高いタイミングを狙い、定期購入への引き上げにつながるよう設計しました。

配信結果

「定期購入」の申し込みをCV数としたときの配信結果をもとに、Google アナリティクスを使用した配信の成果を検証しました。Google アナリティクスのデータを活用した場合、Google ディスプレイ ネットワーク(リマーケティング配信)を比較した場合と比べて、CVR(Conversion Rate)が156%上昇しました(図3)。Googleアナリティクスによる配信により、売上拡大に貢献できたと言えます。

成果に繋がった一番の要因は、ユーザーのモチベーションが高まっているタイミングで「定期購入」の広告を効果的に配信できたことです。商品のお試し中もしくは、お試し後のタイミングで広告接触機会を増やすことができた結果、CVRの大幅な上昇に繋げられました。

(図5:Google アナリティクスのデータを活用した配信実績)

※集計期間:2021年7月6日~2021年7月19日

まとめ

今回は、Google アナリティクスのデータとGoogle 広告を活用し、「お試し購入」から「定期購入」への引き上げ施策を通じて、売上への貢献度が高い「定期購入」の促進に成功した事例を紹介しました。Google アナリティクスのデータから「定期購入」の見込みが高いユーザーのみをオーディエンスリストとして抽出し、対象ユーザーに対して適切なメッセージ(ユーザーの行動を促進するメッセージ)を訴求することで、最適なコミュニケーションを実現しました。

当社では、広告施策をはじめとするさまざまなマーケティング施策を通じた課題解決を推進しています。また、Google アナリティクス 360などの各種マーケティングツールを導入するのみならず、導入後の利活用までおこなっています。

売上が伸び悩んで困っている、課題の解決に繋がる施策立案が十分にできていないなど、現在取り組まれているマーケティング施策に対して課題をお持ちの方は、ぜひ一度お問い合わせください。

 

▼関連資料

b_はじめてのgoogleアナリティクス

 

この記事の著者

マーケットデザインUnit

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