BtoBマーケティング実践編ウェビナー ~自社で取り組んで実感した取り組むべきマーケティング施策とは~

2023.08.04

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新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、BtoB企業のマーケティング手法は大きくデジタルシフトし、現在においてはデジタル上でのコミュニケーションを踏まえて、リアルな営業に繋げていくことが当たり前になってきています。本ウェビナーでは、アイレップで実際に取り組んだインバウンドマーケティング運用の経験から明らかになった、BtoB企業が取り組むべきデジタルマーケティング、KGI・KPI策定の考え方と達成の秘訣、実際に支援しているBtoB企業の統合デジタルマーケティングの事例についてお話しします。本稿は、2023年3月28日に開催された「BtoBマーケティング実践ウェビナー~自社で取り組んで実感した取り組むべきマーケティング施策とは~」での講演内容をもとにしています。

なぜ、わずか1年でマーケティング効果を発揮できたのか?

本題に入る前に、アイレップが最速で自社マーケティングの成果を出せた理由をお話させてください。アイレップは、2020年の自社のマーケティング部門立ち上げ以前からBtoBマーケティングサービスを提供しており、これまで数多くのクライアント企業の支援をおこなってきました。そこで培ったBtoBマーケティングの知見を自社に活用した結果、わずか1年でKPIを大幅に達成することができました。まずは、アイレップが自社マーケティングとしてどのような活動をおこなったのか、その内容と成果について紹介いたします。

自社で取り組んだインバウンドマーケティングとその成果

1. マーケティング活動の成果

アイレップは、リスティング広告やSEOの支援を得意とする広告会社として認知されているケースが多くありますが、一方で、デジタルを起点としたフルファネルマーケティングのサービスを提供していることは、あまり認知されていないという課題がありました。

2020年初頭、コロナ禍の影響を受け、当初予定していたよりも前倒しでマーケティングサイト「DIGIFUL」(本サイト)をローンチし、本格的なインバウンドマーケティングに着手しました。DIGIFULの記事、ウェビナー、メルマガを軸として、大幅にリード獲得数を増加することに成功しました。

結果として、DIGIFULローンチ後は、問い合わせ数、メルマガ配信対象者数、資料DL(ダウンロード)数が、前年比120~245%増といった成果を出すことができました。

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(図1:DIGIFULローンチ前後の問い合わせ数)

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(図2:DIGIFULローンチ前後のメルマガ配信対象者数)

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(図3:DIGIFULローンチ前後の資料DL数)

これらの取り組みによる成果は4つあります。

1つ目は、問い合わせを受けるサービスが多様化したことです。リスティング広告、SEO以外にも、統合デジタルマーケティング施策、クリエイティブ制作、デジタル×マスの提案依頼などの問い合わせ割合が増加しました。

2つ目は、問い合わせいただくクライアント企業が多様化したことです。ダイレクト施策に加え、キャンペーン施策、ブランディング、認知施策、BtoBマーケティングなどの問い合わせが増加し、さまざまなクライアント企業からお声がけをいただくようになりました。

3つ目は、既存クライアント企業に対するクロスセル、アップセルが、プッシュ型からプル型へ変わってきたことです。メルマガやDIGIFULを見たお客様からご相談をいただくようになり、営業担当に依存しない、プル型の営業に変わりつつあります。

4つ目は、マーケティング活動で獲得したリードからの受注総額が、大幅に向上したことです。2年目には35%増となり、リードナーチャリング(育成)の観点でも成果を上げました。これは、マーケティングからインサイドセールスや担当営業への速やかな連携により実現することができたのではないかと考えています。

2. 推進体制とKGI・KPI設定

インバウンドマーケティングの推進に合わせ、組織も再編しました。

マーケティング部門とセールス部門を一体化させ、インバウンドマーケティングの組織(マーケティング&セールス)を営業部門内に立ち上げました。これにより、問い合わせ、リード情報、顧客情報のセールスへの引き渡しが非常にスムーズになりました。

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(図4:マーケティング部門とセールス部門を統合)

体制の再編と同時に、KGI(売り上げ、事業目標)とKPIの設定も見直し、事業目標から逆算したマーケティング活動のKPIを設定、そこから施策の洗い出しを実施しました。

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(図5:KGI、KPI、マーケティング施策のツリー)

KPIをさらに細かくブレイクダウンしたサブKPIも策定しています。部署ごとに評価管理指標を設定し、成果目標を追うことで、何を取り組むべきか、どの施策に注力すべきかといったPDCAのサイクルを意識しながら取り組むことができるようになりました。

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(図6:KPIをブレイクダウンしたサブKPI)

3. リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、顧客との接点(リード)を獲得することが目的です。アイレップでは、SEO、コンテンツマーケティング、ウェビナーという3つの軸で、リードジェネレーション施策を展開してきました。

<SEO>
「DIGIFUL」は、サイトの立ち上げ前からSEO観点を踏まえたサイト実装をおこないました。SEOの成果が出るまでには時間がかかります。早め早めに取り組むことが、費用、施策の両面において効果的です。

<コンテンツマーケティング>
「DIGIFUL」を立ち上げるにあたっては、既存顧客のデータを分析し、今まで接点がなかった経営企画やCRM部門、IT、EC部門へアプローチすることを目的として、コンセプトを作成。その上で、「DIGIFUL」で求められる記事の方向性を決めました。

記事の作成ですが、当初は非常に苦しんだ部分です。記事制作を内製化したいというご意見は当社に限らずよく聞くことですが、それを実現するには社内メンバーの協力は欠かせません。全社の取り組みとして粘り強く訴え続けることによって、積極的に記事を執筆する習慣がつくようになりました。

Webサイトによるコンテンツマーケティングは、成果が出るまでに時間がかかります。まずは小さい目標から1つずつ取り組みを進め、3年後、5年後を見据え、長い目で考えていただくことを推奨します。

<ウェビナー>
2020年5月からオフラインセミナーを全面的にウェビナーに切り替えました。2020年上期だけで15回実施し、2,000件を超えるリードを獲得するまでになりました。これらのウェビナーで獲得したリードがメルマガ配信数の増加やリレーション強化につながり、商談まで繋がるきっかけになりました。

4. リードナーチャリング

リードナーチャリングとは、獲得したリードを育成し、成約につなげることです。リードナーチャリングにおいてもさまざまな施策が検討できますが、アイレップでは、メルマガ配信とインサイドセールスに注力してきました。

メルマガはMA(マーケティングオートメーション)ツールを使い、開封状況や資料DL数に基づきシナリオ別の配信をおこなっています。

リードがHot化した際に通知が来るように設定し、そのタイミングで営業担当が架電やメールにてインサイドセールスをおこなうという型を構築しました。

Hot化の判定には資料DL等によるスコア変動を分析し用いています。自動通知を受けたら、お客様のニーズの仮説を立ててインサイドセールス担当と連携し、商談を進めていきます。

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(図7:Hot化したリードをインサイドセールスへ連携)

リードナーチャリングは、長期的な視点でトライアンドエラーを繰り返し、精度を向上させていくことが重要だと我々は考えていますが、実践してみた結果、リードナーチャリングを完全に型化することは非常に難しいと感じています。

インバウンドマーケティングが軌道に乗ってきたタイミングで、アイレップでは、ダッシュボードを活用し始めました。分析の効率化はもちろん、社内の説明用としても活用することが容易ですし、サブKPIもモニタリングできるのでおすすめです。

アイレップが提供するBtoBマーケティング支援領域

アイレップでは、BtoBマーケティングを本格的に推進していきたい企業に対して、マーケティングとセールスの両面から現状を分析し、事業戦略策定、マーケティング戦略立案、リードジェネレーション、リードナーチャリング等、伴走型の施策支援をおこなっています。

事業戦略策定

事業戦略は、大きく分けて「DX戦略策定」「組織戦略策定」のサービスから構成されます。DX推進でよくあるケースとして、デジタル化を進めたが浸透しないパターンや形骸化するパターンが散見されます。事業戦略策定ではDXの導入だけでなく、定着までを見越した周辺環境整備や推進設計をおこないます。

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(図8:事業戦略策定の支援例)

マーケティング戦略立案

マーケティング戦略は、「マーケティング戦略立案」「KGI/KPIマネジメント」「顧客ペルソナ構築」のサービスで構成されます。マーケティング戦略は、施策の全体最適を実現するためにも重要な立ち位置にあり、ターゲット設定と目標設定がしっかりできているか否かでマーケティング全体最適の実現性が変わってきます。

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(図9:マーケティング戦略立案の支援例)

リードジェネレーション施策支援

リードジェネレーションは、「マーケサイト構築・オウンドサイト改修」「SXO/コンテンツマーケティング」「サイト分析」「サーチ/ディスプレイ広告」「テレビCM/動画広告」「ブランドクリエイティブ開発」から構成されます。リードジェネレーションは、あらゆる手段でユーザーとオンライン上の接点を作ることを目的としており、クライアント企業のマーケティング戦略や施策状況に合わせて施策を組み合わせます。

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(図10:オウンドサイトに関連するリードジェネレーションの支援例)

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(図11:広告領域におけるリードジェネレーションの支援例)

リードナーチャリング施策支援

リードナーチャリングは、「シナリオ作成・スコアリング」「チャネル別配信クリエイティブ作成/運用代行」「ダッシュボード構築」から構成されます。リードナーチャリングは、リードジェネレーションで取得した潜在顧客に対して、定常的な情報展開やアクション状況をモニタリングすることで、潜在層から顕在層への引き上げをしていきます。

127963072084_12(図12:リードナーチャリングの支援例)

BtoBマーケティング支援事例

ここからは、アイレップが実際に提供したBtoBマーケティング支援事例を紹介します。

▼課題1:コーポレートサイトへの流入数が十分に獲得できていない

こちらのクライアント企業では、分析をおこなったところ、そもそも市場が未成熟で狙うマーケット自体が認知されていないことがわかりました。現状、獲得向けの施策を打ってもリードの数は増えないと考え、テレビCMを提案しました。

市場調査、顧客分析、戦略設計、コンセプト受容調査、ビデオコンテ調査をおこない、テレビCMを配信した結果、セッション数が235%増加、サイト訪問者数も前年比4倍といった成果を得ることができました。

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(図13:サイトへの流入不足をテレビCMによって解決)

▼課題2:リード数が不足しており、増やしたい

こちらのクライアント企業の場合、リードを獲得するためのオウンドメディアはすでに構築しており、リードを獲得するための基盤は整っていたので、オウンドメディア内のコンテンツ改善・拡充を提案しました。

ここで重要なのは、ユーザー目線でのコンテンツ作成です。リードジェネレーション、リードナーチャリングなど、ユーザーの検討ステップに応じて、コンテンツの役割は変えるべきです。

SEOのキーワード分析を実施して、検討ステップに応じたコンテンツを準備する。そのうえで、ユーザーのサイト内の行動をしっかりとスコアリング管理し、効率的な営業活動に繋げることが重要です。

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(図14:リード数の不足をコンテンツ拡充により解決)

▼課題3:Webサイト上でのブランドイメージの構築

こちらのクライアント企業に対しては、コピーライターと共に、ターゲットとなるユーザー層やクライアント企業の営業担当者様にデプスインタビューを実施し、企業ステートメントの更新とサイト制作をおこないました。

訴求内容を変更したことで、直帰率が8%低下、回遊率が20%上昇。直帰理由であったサイトのトップ表示の部分についてもヒートマップツールで確認したところ、離脱が少なくなっており、数値以外の部分でも大きく貢献することができました。

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(図15:訴求内容を変更し、ブランドイメージを刷新)

▼課題4:Web広告におけるCPAが高く、効率が悪い

BtoB企業の場合、対象となる顧客の分母がBtoC企業と比べると少ないため、キーワードによっては入札単価やCPAは高くなる傾向にあります。

これに対しては、広告施策を主軸としつつ、Webサイトリのニューアルやコンテンツ拡充を見据えたデジタルマーケティング戦略の刷新を実施しました。ターゲットの仮説検証、ソリューションごとのLP作成、MA導入、導線の改善、CTAの改修といった施策により、コンバージョン数が約20倍に跳ね上がり、直帰率も大きく低下しました。

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(図16:デジタルマーケティングの刷新により、Web広告の効率を改善)

今回は、アイレップが自社でおこなったBtoBマーケティング事例とその他4つの事例を紹介しました。BtoBマーケティングに関して、何かお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

この記事の著者

吉岡 伸悟

2020年にアイレップへ入社。入社当初よりソリューション領域におけるコンサルタントとして従事。不動産関連企業のBtoBマーケティングの立ち上げ時には、市場分析を通じた戦略策定からCRMの構築・広告施策までをPMとして支援。その他にも、大型商業施設の会員基盤整備やデータ分析を通じた施策プランニング、ならびに金融企業における中長期的なデジタルマーケティング戦略策定やマーケティングインハウス化プロジェクトに従事。

2020年にアイレップへ入社。入社当初よりソリューション領域...

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