マーケティングにおけるDX

2021.08.30

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この記事の著者

米田 吉宏

ユナイテッド株式会社
執行役員

慶應義塾大学経済学部卒業後、 2010年株式会社電通入社。2013年ボストンコンサルティンググループ入社後、主に通信・メディア・テクノロジー領域の経営戦略策定、新規事業開発、営業戦略、組織戦略等を担当。プロジェクトリーダーとして従事した後、2019年3月ユナイテッド株式会社執行役員に就任(現任)。DXソリューションの立案/推進と、全社戦略/組織強化を担当。

ユナイテッド株式会社
執行役員

マーケティングは、企業によって解釈や定義が異なっています。ある企業ではプロモーション(広告宣伝)を意味していたり、企業によって商品開発やプライシングも含んでいたりします。

今回もこれまで同様、マーケティングとは何かを理解することからご説明したうえで、デジフルをご覧の皆様の関心が強い、マーケティング領域のDXトピックを紹介したいと思います。

第1回:改めて考えるDXとは?
第2回:改めて理解する、事業戦略とは?

マーケティングとは?

マーケティングは、とある商品に対するニーズ/需要を最大化させるための取り組みや機能の総称と定義できると考えています。具体的にはプロモーション(広告宣伝、販促)、営業活動、並びに、商品開発、価格決定もマーケティングに内包される機能だと考えています。

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生産、情報技術の進化を経て、マーケティングは時代とともに大きく変容していきます。戦略策定概論によると、1960年の大量生産技術が確立されはじめたところは単一の商材をどれだけ効率的に販売するかが問われていた一方、1980年以降、多品種・少量生産にシフトするにつれて顧客セグメントごとに最適化されたコミュニケーションの必要性が高まりました。時を同じくして、急速なインターネットの普及により消費者がデジタルメディア経由で情報を取得するように変化したことで、セグメント(あるいは、消費者個人)に対して最適化されたマーケティングをおこなうための、デジタルを活用したマーケティング技術が急速に進化しています。

切り口を変えると、プッシュ型・プル型のマーケティングという言葉がありますが、もともとモノ/コトのバリエーションや情報が少なかった時代には、企業側からの人的なアプローチでも購入されやすい時代だったはずです。一方で類似するモノ/コトが多くなるにつれて、ただ企業側から購買を促すアプローチではモノ/コトが売れにくくなりました。こうして重視されるようになったのがプル型のマーケティングという概念です。多く存在する類似商材の中でも、自社の商品に関心を向けてもらえるよう興味を湧かせる情報を届け、消費者から企業へアプローチされやすくすることを重要視しています。

ジェネレージョンZと言われる1990年代中盤~2010年代生まれの方々は、「社会貢献意識の強さ」「実用性・コストパフォーマンス重視」「デジタル⇔アナログが融合した体験の追求」を望む傾向が強いと言われています。

プル型マーケティングをおこなうにしても、対象となるセグメントのライフスタイル・価値観等をふまえたプロダクト開発やプロモーション等が求められます。

マーケティングにおける特徴的なDXトピック

ここからは、マーケティングにおけるDXトピックを3つ取り上げて紹介したいと思います。


(1)D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)
従前のメーカーは生産活動とチャネルマーケティング(卸を通して小売店への配荷率を高める機能)を中心におこない、消費者との直接のやり取り等は限定的です。またチャネルに対して、店頭での販促物の支援をおこなうなどして、店頭コミュニケーションも実施していましたが、最終的に店頭の販促物は小売店の決裁事項であり、完全に影響力を及ぼせていたわけではありません。直近ではM&A等による大手寡占化が進む業界では、小売業のバイイングパワーが高まりにより影響力を行使することが難しくなっています。

こうしたなか、ECの拡大とデジタル技術の拡大によって、新しいビジネスモデルとしてD2Cが台頭しました。D2Cは、メーカーが直接ECを通して消費者と接点を持ち、データを蓄積しながらプロダクト利用までの顧客体験を提供するビジネスモデルです。

メーカーと小売店等の間に介在するプレーヤーがおらず、プロダクトの世界観を尊重したうえで開発やプロモーションを実行できることが特徴です。また、顧客の利用状況や情報等のデータを蓄積することで、顧客ニーズにあった商品開発等に繋げやすい点も利点です。場合によっては、BTO(ビルト・トゥ・オーダー)のように顧客の希望に合わせて商品をカスタマイズしたり、商品を組み合わせることもできるようになっています。いずれもデジタル技術の進展により、ECが拡大した現代ならではのビジネスモデルの登場です。

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(2)OMO(オンライン・マージズ・オフライン)
ジェネレーションZの中でもありましたが、今はデジタル、アナログの顧客体験を別々で提供しておく、というわけではなく、2つを融合させることでデジタル、アナログいずれかでは体験することのできない顧客体験を実現させることを指します。

当社でもOMOのコンサルティングをおこなっていますが、例えば、デジタル上での顧客にむけた商品紹介キャンペーンを実行し、顧客のサービスの利用状況や情報を取得し、データ分析を通して、リアルチャネルでの営業マンに効果的な加工したデータを提供し、一人ひとりの顧客状況にあった営業トーク、サポートをおこなうことを支援したことがあります。

企業側からすればOMO施策をおこなうことによってどれだけ商材の需要を高めることが大事ですが、多くの場合デジタルとアナログを接続すること自体が目的になってしまい期待する効果が出ていないケースがあります。データを統合したり、蓄積したりすることは重要ですが莫大なコストを掛ける必要はなく、メールマーケティング、リアルショップ等々、顧客接点でのコミュニケーション進化に向けて必要なことを特定し、実行するとよいでしょう。

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(3)テレビ広告の最適化
最近登場してきた運用型テレビCMサービスは、テレビCMの制作から効果検証、配信最適化まで一気通貫でおこなうことができます。これまでのテレビCMは、制作や出稿に高いコストがかかり、効果の可視化ができないことが課題でした。しかし、デジタルを活用した検証ロジックや独自のツールを通じて、デジタル広告と同様のCVやCPAといった指標で広告効果の可視化を可能にし、運用最適化を実現させています。

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運用型テレビCMサービスの中で特に台頭しているノバセルは、既存の事業者よりも大幅に制作費を抑える形で、定量・定性データを基にテレビCMのパターンを多い場合100以上制作し、ノバセルアナリティクスによりCM効果を可視化しています。全国の局で日別にクリエイティブをABテストで検証し、リアルタイムの効果データを見ながら、エリア毎に最もCV獲得に効果的なクリエイティブと番組の勝ちパターンを見つけ、高速でPDCAを回すことで継続的な効果改善に成功しています。

運用型テレビCM市場は、2020年は約50億円とされ、2025年度には約920億円規模まで成長すると見込まれているように、今後は広告配信チャネルに縛られずに効率的に顧客とコミュニケーションをおこなうニーズがより高まっていくと考えられます。

(4)DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)
DMPとは、自社保有のデータ(1stパーティデータ)や自社で収集できない外部データ(3rdパーティデータ)、特定のパートナー企業から得られる外部データ(2ndパーティデータ)を活用することで、デジタル広告などマーケティング支援するためのプラットフォームを指します。

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DMPを導入している企業は多いですが、実際に活用できている企業は多くありません。
顧客の情報や行動データを蓄積し、デジタル広告の配信最適化に活用することが多いですが、まずどういった目的に基づいてマーケティングをおこなうかが重要です。そのうえで、DMPでどういったデータを蓄積し、顧客との接点を増やし、コミュニケーション強化していくかといった観点で、DMPを活用していくことが必要だと考えます。

いかがでしたでしょうか。

今回はマーケティングにおけるDXトピックを紹介しました。いずれもビジネスモデル、技術の進化は顕著ですが、手段が自己目的化してはいけません。あくまで「何を実現したいのか?」を起点に手段を具体化するよう注意ください。

当社では、マーケティング戦略の上流部分に関するコンサルテーションが豊富です。次世代のマーケティングを実現するための戦略方針の具体化をおこなうとともに、アイレップの協力を得ながら具体的なコミュニケーション施策への落とし込み、運用支援ができることも特徴です。

ご興味ありましたら、ぜひこちらまでお問合せください。

〈参考文献〉
・波頭 亮、「戦略策定概論」、産業能率大学出版部、1995年
・SMMlab「今話題のD2C、日本でベンチマークされているブランドは?
・Raksul「運用型のテレビCMを可能にするプラットフォーム「ノバセル」が誕生

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