ライブコマースの第一人者「ゆうこす」と作り上げる“コマーサー”文化とビジネス

2021.03.22

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2021年3月21日 、「ゆうこす」こと菅本裕子さん(以下、ゆうこす)が代表として、ライバーマネジメント運営をおこなう株式会社321とアイレップとの協業開始がリリースされました。ゆうこすはSNSフォロワー165万人以上を抱える日本を代表するインフルエンサーであり、自社ブランドの商品をライブコマースで全品完売するほどの人気を誇るライブコマースの第一人者です。

▼ゆうこすプロフィール
1994年、福岡県生まれ。「モテクリエイター」として、SNSを中心にタレント、インフルエンサーとして活躍中。
スキンケアブランド「YOAN」の立ち上げや、ライバー事務所「321」のファウンダー、アパレルブランド「REVEYU」、カラーコンタクト「chu's me」のプロデュースなど、多岐に渡り事業を展開。その他、著書に『#ライブ配信の教科書』など。SNSの総フォロワー数は165万人以上。

本記事では、株式会社321との協業でアイレップが取り組んでいく「コマーサー育成」や、構想中の新規プロジェクトについてご紹介します。

さらに、2021年2月17日にアイレップのライブコマースを推進するプロデューサー池田好伸、ディレクター折原悠樹、株式会社シェアコトプロデューサー武者慶佑が登壇したオンラインウェビナー「ライブコマースのマーケティング活用〜”コマーサー”という新概念〜」でご紹介した内容を一部抜粋しお伝えします。

▼ウェビナー登壇者

株式会社アイレップ
プロデューサー:池田 好伸
池田さん

 

株式会社アイレップ
ディレクター:折原 悠樹
折原悠樹さん-1

 

株式会社シェアコト
プロデューサー/プランナー:武者 慶佑
iOS の画像-1-1

ライブコマースについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧下さい。

1.”コマーサー”とは?

1-1. “コマーサー”という新概念

“コマーサー”というのは、アイレップが新たに定義した、「ライブコマースと企業のマーケティングの関係性から逆算して最適化した配信者」のことです。

ライブコマースでは、「誰が伝えるか」が非常に重要です。ライブコマースを実施している企業でも、時間をかけてインフルエンサーを選定し、多額なキャスティング費用をかけたにも関わらず、思うように購買に繋がらないなど、配信者選びに課題を抱える企業は多いと思います。

単にフォロワーが多いインフルエンサーを起用すれば売れるわけではないのがライブコマースです。そこで、アイレップでは「商品知識を持ち、熱量高く語れる」スキルを持ったライブコマース特化人材”コマーサー”を育成するプロジェクトを始動しました。

1-2. コマーサーのマーケティングアプローチ

スキルのほかに、インフルエンサーやYouTuberとコマーサーの違いは何なのか、マーケティングアプローチの視点からご説明したいと思います。

Influencer(ヒト軸一方向)
自分のキャラクターをフォロワーに向けて発信する

YouTuber(ヒト+コト軸一方向)
自分のキャラクターや企画(コト)をフォロワー (視聴者)に向けて発信する

Liver(ヒト軸双方向)
ライブ配信で自分のキャラクターをフォロワーに発信し、フォロワーからのコメントなどにリアルタイムで答える双方向性を持つ

Commercer(ヒト+モノ軸双方向)
自分のキャラクターとモノ(商品 ・サービス)の魅力をフォロワーに発信し、フォロワーからのコメントなどにリアルタイムで答える双方向性を持つ

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(図1:コマーサーのマーケティングアプローチ)

コマーサーは、自分 自身をアプローチすることに長けたインフルエンサーやYouTuber、ライバーとは異なり、モノ(商品 ・サービス)やブランドを深く理解し、伝えるスキルを持つ点が大きな違いです。

さらに、リアルタイムでフォロワー(顧客)に対して双方向にコミュニケーションを取れるスキルを持ち、購買導線を意識した案内をおこない、番組コンテンツとしての品質を担保するトークスキルを持つなど、コマーサーには多くのスキルが必要です

1-3. コマーサーとしての「ゆうこす」

ゆうこすは、約165万人のSNSフォロワーを持つインフルエンサーでありながら、定期的なライブ配信を行うLiverでもあり、「ゆうこすモテちゃんねる」を運営するYouTuberでもあります。

さらに自身で立ち上げたブランド「youange(現・YOAN)」の商品は、入荷する度完売になる人気ぶり。自社商品を販売するに当たり、ゆうこすが活用したのが、ライブコマースでした。ゆうこすは、ライブコマースの第一人者であり、自身が「コマーサー」なのです。

商品開発段階からライブ配信を通じて、視聴者の意見を商品開発に反映することでブランドのファンコミュニティを形成。いざ発売するタイミングでは、ファンとともにカウントダウンでイベント感を演出するなど、ライブコマースをフル活用したマーケティングをおこなったゆうこすは、ライブコマースを以下のように語ります。

ライブコマースは動画なので、さまざまな角度から商品を紹介できるだけでなく、リアルタイムで視聴者から寄せられる疑問にすぐに答えられます。つまり、今ある情報で自己完結するのではなく、自分から能動的に質問ができるため、お客さまはより安心して商品を購入することができるのです。
(ゆうこす(菅本裕子)著「#ライブ配信の教科書」日経BP P.150 より)

真摯に商品開発に向き合っているからこそ、視聴者からの疑問に対してすぐに答えることができる。ゆうこす自らが、自信を持って商品をおすすめできる。これらインフルエンサーの誰もができることではありません。ゆうこすのコマーサーとしての技術なのです。

2.誰をコマーサーにするか?

2-1. 外部コマーサーかインハウスコマーサーか

コマーサーを起用するにあたり、大きく2つの方向性があります。ひとつはすでにフォロワーを抱える、「外部コマーサー」。ふたつめは、社員の方を起用した「インハウスコマーサー」です。

アイレップでは、ライブコマースの配信プラットフォームとして、ブランドの既存のフォロワーを活用できるInstagramでのライブコマースを推奨しておりますが、自社のInstagramアカウントのコンディションや、今後の戦略次第で、どちらのコマーサーを起用するか、あるいは双方のコマーサーを起用するかが変わってきます。

外部コマーサーを起用する場合は、コマーサー自身のフォロワーが視聴してくれるため、視聴数が増加します。一方、キャスティング費用も発生しますので、ライブコマースへの投資費用も増加します。

インハウスコマーサーを起用する場合は、初期投資は少なく済みますが、視聴者の母数がアカウントのフォロワー数となるため、フォロワーの少ないアカウントでは視聴者数も少なくなり、その中でいかにエンゲージメントを高めるかが重要になります。

ライブコマースのカスケードモデルを用いて、詳しく説明していきます。

2-2. ライブコマースのカスケードモデル

カスケードモデルとは、アカウントフォロワー(上流)から購買(下流)にかけての顧客の流入数を考えるものです。上流から下流にかけての取りこぼしを可能な限り少なくすること、また上流の母数を大きくすることがポイントになります。

インハウスコマーサーを起用してライブコマースを実施した場合のカスケードモデルが以下になります。この場合、オウンドアカウントのフォロワー数が分母となるため、現状のアカウントフォロワー数が担保されていることが前提になります。

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(図2:ライブコマースのカスケードモデル ~インハウスコマーサー起用の場合~)

外部コマーサーを起用し、自社と外部コマーサー双方のアカウントで配信を実施した場合のカスケードモデルは以下です。アカウントフォローの数が増加するため分母が増え、こぼさず購買につなげれば大きな効果が見込めます。ただ、同時に投資費用を回収するためのリクープラインも上がるため、目指すべき販売目標や、アカウント状況はもちろん、確実にリクープしなければならないのか、PR効果やエンゲージメント向上を狙うのかなどの戦略を踏まえて判断する必要があります。

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(図3:ライブコマースのカスケードモデル ~外部コマーサー起用の場合~)

また、今後の話にはなりますが、Instagramの仕様として、ライブ配信中に直接購入することができる「チェックアウト」機能が実装される予定※1となっています。この機能が実装されれば、EC遷移での離脱を防ぐことができますし、パルス消費を促すことで、番組を見ながら「ポチる」ようなショッピング体験が、消費者にとって身近なものになっていくと考えます。
この点も、アイレップがInstagramをプラットフォームとしておすすめする理由のひとつです。

※1:出典 DIGIDAY 2020年3月6日「インスタグラム、「チェックアウト」機能を少しずつ拡大

2-3. コマーサーが持つべき一番の資質は「愛」

ここまで、コマーサーの役割や、持つべきスキルなどについてご説明をしてきましたが、コマーサーにとって最も必要な資質は何なのかについても触れていきたいと思います。コマーサーに最も不可欠なもの、それは「愛」です。

急に情緒的な話をするようですが、そうではありません。広告や通販番組の場合は、もちろん購入してもらうのが目的ですから、買ってもらうための情報(=Buy me)を伝えます。一方、ライブコマースで伝えるべきなのは、愛(=I’m lovin’it」なのです。コマーサーが深く商品について愛を語れるからこそ、視聴者はその愛に共感し、ちょっと買ってみようかな、という考えになるのです。愛を伝えたその先に、購買行動がついてくるという考え方です。

先程のゆうこすの事例でも、ゆうこす自身が商品開発に取り組み、どんなにこだわりを持って作った商品であるか、愛や熱量の強さが伝わったからこそ、全商品完売という購買行動につながったことが分かると思います。

理想は、「好きなものを友達にイチオシする」イメージです。コマーサーと視聴者の関係性を近づけ、「好きだから」いくらでも話せる。「好きだから」イチオシできる。「好きだから」熱量を届けることができる。これが、コマーサーにとって最も重要な資質なのです。

3.ライブコマースの演出術

3-1. ライブコマースの演出≠通常の番組演出

ライブコマースでの演出の役割は、前述したカスケードモデルの川下の部分に該当します。番組としての面白さを提供することはもちろんですが、番組の視聴者をECサイトへの遷移を促し、購買を後押しすることがライブコマース演出のミッションとなります。そのために意識すべきポイントとして、「コマーサーと視聴者の距離を近づける」こと、そして「視聴者を離脱させない」ことが重要です。

まず、「コマーサーと視聴者の距離を近づける」ためには、テレビなどの通常の番組演出とはまったく異なる演出をする必要があります。リアルタイムで視聴者とのコミュニケーションをいかに増やすかが重要であるため、台本をひとつとっても大きく異なります。

例えばテレビ番組の場合、特に生放送などの台本では、セリフのひとつひとつが細かく設定されています。コーナーごとの時間も設定され、予定通りに進めるために演出をしていきます。

ライブコマースの場合は、枠組みとしてのコーナー設定はおこないますが、セリフや時間などの細かな指定はしません。コマーサーが商品について熱く語る時間や、視聴者からの質問に答える時間が、番組の中で非常に重要な位置づけだからです。

ライブコマースの演出は、台本で設定することができないからこそ、視聴者とともに作り上げられる「生きた」コミュニケーションの状況を見ながら、瞬時にディレクションをおこなう演出技術が求められるのです。

3-2. 視聴者を離脱させないために

演出のもうひとつのポイントは、「視聴者を離脱させない」ことです。テレビ番組などの場合は、コーナーが終わりCMが流れると、その間にスマートフォンを見たりトイレに行ったりしたとしても、テレビはずっと流れているため、自然に番組に戻ってくる可能性が高いでしょう。

一方で、ライブコマースの視聴環境は多くの場合スマホです。スマホでのながら視聴は気軽に参加できる一方で、他アプリの通知をきっかけに離脱をしやすく、一度離脱した視聴者を番組に引き戻すのは非常に難しいことが特徴です。

こうした離脱を防ぐためには、視聴者に「一息つかせない」ことが重要です。番組を構成する上では、面白いコーナーを入れた方がより盛り上がるのですが、コーナーが終わった瞬間に、視聴者は無意識に「一息つこう」と感じて離脱してしまいます。こうした離脱を防ぐためには、コーナーとコーナーの間をいかに自然に移行するかが重要です。

「ここまではAを紹介してきましたが、もっと○○なものも見たいよーという人もいますよね?そんな人に紹介したいのがBなんです!」と、次のコーナーのフックを入れつつ、間髪入れずに次のコーナーへ移行することが、視聴者を離脱させないためには重要なのです。

3-3. 演出のフレームワーク「SIRRAS」

ライブコマースの演出において、アイレップが提唱しているのが「SIRRAS(サイラス)」というフレームワークです。ライブコマースで商品を紹介する際に、以下のポイントを押さえることで、購買行動を促します。

演出のフレームワーク〜SIRRASモデル〜

Show
商品の全体像、ディティールをしっかり見せる。尺は長めに。

Image
材質や使用感など視聴者に着用のイメージをもたせる。視聴者の購入における判断材料を増やしてあげる。

Response
視聴者の疑問を即座に解決してあげる。

Repeat
必要な情報は繰り返し伝える。今見に来た人も多数いる。

Activate
購入を迷っている人の背中を押す一言。クーポン。

Share
配信終了後のストーリーズやアーカイブへの誘導。使った感想に関する視聴者とのSNSコミュニケーション。

SIRRAS(サイラス)

(図4:演出のフレームワークSIRRAS~サイラス~)

ひとつひとつのポイントは当たり前のように感じる項目かもしれませんが、すべてを意識し続けながら商品紹介をするのは、意外に難しいものです。演出面においてもコマーサーにとってもスキルが求められますが、これらは実践を通して磨かれていく部分でもありますので、ライブコマースを実践される際にはぜひ意識をしてみてください。

4.株式会社321とともに

4-1. コマーサー育成プロジェクト

私たちがライブコマースを実践して、最も強く感じたことが「自信を持っておすすめできる配信者が少ない」ということでした。見た目良く、話も上手で、見せ方も上手いインフルエンサーやYouTuber、ライバーが山ほどいる今でも、ライブコマースで成果を確実に見込める配信者は貴重な存在なのです。

そこで、「いないのならば創出しよう」と私たちは考えました。ライブコマースという舞台で実績を持つゆうこすが代表を務める株式会社321と協業し、「コマーサー」という新しい概念を作り出し、育成していくことを決めました。

今、ライブコマースの中心はアパレルやコスメですが、今後はより幅広い商材がライブコマースで取り扱われると私たちは考えます。商品やサービスに対する愛の数だけ、ライブコマースの可能性はあります。食品や家電、日用品やアウトドア用品など、可能性は無限にあると考えています。

デジタルマーケティングエージェンシーであるアイレップは、幅広い業種のお客様からお仕事のご相談をいただいております。さまざまな商材に対して、デジタルマーケティングで何を提供できるかを、日々考え、取り組んでいます。

こうしたご相談をいただいた際、ライブコマースという手段もひとつの選択肢としてご提案していきたいと考えています。そして、幅広いジャンルの商材に対して、強い愛と知識を持ったコマーサーをご提案していきたいのです。

アイレップが持つデジタルマーケティングの知見と、株式会社321のライバーマネジメントの知見を掛け合わせながら「コマーサー」を育成し、より成果に繋がるライブコマースを目指したいと考えています。

4-2. まとめ

昨年から続く新型コロナウイルスの影響で、人々の暮らしを変わり、購買体験のあり方も大きく変化しました。オンラインでの購買チャネルが増える一方で、Eコマースで伝えられることの限界も理解しました。店頭でのコミュニケーションの機会が減ったことで、生活者とブランドの接点作りが、課題になっています。そうした状況から、デジタルマーケティングの手段としてライブコマースの注目が高まりつつあります。

中国などの市場と比較すると、日本のライブコマース市場はまだまだ規模が小さく、事例も多くはありません。現在の日本のライブコマースは、まさに「夜明け前」です。しかし、ライブコマースでトライ&エラーを繰り返し、着実に視聴者数を伸ばしている企業も存在しますし、毎日ライブ配信をすることで顧客のファンコミュニティ化に成功しているD2Cブランドなども存在します。

近い将来、チェックアウト機能の実装などの環境が整い、本格的なライブコマース全盛時代が訪れることが予想されます。その時に備え、今からアカウントのエンゲージメントを高め、ライブコマースのナレッジを積み重ねることが重要です。

株式会社321と共に、ライブコマースにチャレンジする企業の力になれればと考えています。取り組みの最新情報に関しましては、今後もDIGIFULにて発信していきますので、ぜひご注目ください。

この記事の著者

恩地 紗代子

広告制作会社、アニメ制作会社での営業及び制作進行の経験を経て、フリーランスでテレビ番組のディレクターとして活動。アイレップに入社した後は広告とPRの両軸の知見を生かし、プロデューサー及びプランナーとして、WEBを中心とした動画施策や、PR施策のプランニングを行う。

▼趣味
飲み歩きと旅

広告制作会社、アニメ制作会社での営業及び制作進行の経験を経て...

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