【第3回】ライブコマース連載:目的別ライブコマースの4つの型 〜売上かコミュニティか〜

2021.09.17

Share

この記事の著者

武者 慶佑

Producer / Live Commerce Evangelist/日本グミ協会 名誉会長

事業会社のマーケティング部を経て、2012年よりシェアコトに勤務。2021年4月よりアイレップに参画。ブランドファンの構築とコンテンツファン視点の企画が専門。これまでSNS分析をベースに、通信・製薬・自動車・小売・金融など、業界を問わずファン視点のエンタメタイアッププロモーションや、映画宣伝のコンサルティング、カフェチェーンのブランドマネージャー、世界コスプレサミット社外取締役なども歴任。

また、自身で日本グミ協会を設立し、会長として活動。マツコの知らない世界など多数のメディアに出演し、SNSフォロワーは延べ80,000人。しゃべれるグミインフルエンサーとして活動する中で、現在はライブコマース・エヴァンジェリストとして啓蒙活動。

Producer / Live Commerce Evang...

アイレップは、マーケティングの新たな手法としてライブコマースをご提案しています。
ライブコマースは、「コマース」であることから、販売に結び付けることが目的です。しかし、同じくらい重要なポイントが、視聴者との双方向コミュニケーションによるコミュニティです。コロナ禍により店頭などでの顧客接点が少なくなったいま、新たなコミュニケーションチャネルとしても注目されるライブコマースは、商品への愛や熱量をコマーサーが直接ライブで伝えることができ、ブランドのファン形成にも役立つ手法であることを、今までご紹介してきました。

▼関連記事

  

連載3回目の今回は、売り上げとコミュニティの違いをアイレップが提唱するライブコマースの目的別の4つの型を通してご紹介します。

【第1回】ライブコマース連載:ライブコマースはECかマーケティングか
【第2回】ライブコマース連載:成功するライブコマースの構成フレーム「SIRRAS(サイラス)」

ライブコマースは魔法の杖ではない

私はライブコマースエバンジェリストという仕事柄、よく「ライブコマースを1回やったらどれくらい売れますか?」というご質問をいただきます。

そして私はどんな場合でも「1回のライブコマースで爆発的に物が売れる、というのはなかなか難しいです」とご回答しています。

フォロワーとのエンゲージメントが取れていないアカウントでライブコマースをやっても、見に来てくれる人は少ないでしょうし、たくさんの集客を狙うためにキャスティングをおこなったとしてもキャスティング費が高くつきます。また、もし大物タレントを起用しても商品にとってベストな配信ができるとは限りません。

ライブコマースはオンライン上の店舗のようなもの。定期的に店を開けて丁寧に接客をしたり、たまにはポップアップショップのようにドカンとイベントをしてみたり、戦略立てて実施をするものです。ライブコマースはやればいいという魔法の杖ではないのです。

ところで、皆さんはどんなライブコマースが成功だと思いますか?視聴者がたくさん見に来たら成功?番組が盛り上がったら?商品がたくさん購入されたら?など成功の定義もさまざまかと思います。

どうしたら成功と言えるのかを考えるうえで必要なのが、目的です。目的を視聴者数増加とするか、継続的なファンコミュニティの形成に置くか、まずはここを考えることが非常に重要です。

配信プラットフォームにもよるのですが、特にInstagramなどのSNSアカウントを活用した配信をおこなう場合は、自社のアカウント状況を把握することが重要です。

一般的にライブコマースの同時視聴者数※1はInstagramのエンゲージメント数に相関する場合が多いため、現状のアカウントでそのままライブコマースを開始すべきか、アカウント運用などでまずは集客の土壌を作るかなどの検討をする必要があります。

また、もちろん視聴者全員が購入するわけではないため、成約率を高めるために配信内容をどのように演出するのがベストか、調整をしていく必要もあります。

ライブコマースは、1回で魔法のように成果が出るものではありません、ただ、目的を持って戦略的に実施していけば、結果に繋がっていきます。現状を把握し、目的に合わせてマーケティングとして継続的に実施、検証していくフェーズが必要なのです。

ということで、まずはライブコマースの目的の整理をしていきたいと思います。

※1:同時視聴者数:ライブコマースの配信時に、同時に視聴している視聴者の数のこと

目的別ライブコマースの4つの型

ライブコマースの目的は大きくふたつあります。
● コンバージョン獲得
● コミュニティ形成

そして、同時にコマーサー(ライブコマース配信者)は誰かも考える必要があります。
● 外部のプロコマーサーに依頼するのか
● 社内のインハウスコマーサーがおこなうのか

ライブコマースを実施することを決めたら、まず以下のように4つの型に分類して目的を整理することから始めましょう。横軸にコンバージョンとコミュニティ、縦軸にプロコマーサーとインハウスコマーサーを置くことで、すっきりと整理することができます。現在国内でおこなわれているライブコマースは、ほぼ全てがこの型のどれかに当てはまります。

54670489924_01

 

KOLイベント型

この型は、KOL※2を起用して、PR的にライブコマースをおこなう形です。

※2 KOL:Key Opinion Leaderm(キーオピニオンリーダー)の略称で、特に中国で消費者の購買意志決定の際に強い影響力を持つインフルエンサーのことを指す。


新商品の発表などで有効で、KOLのファンである視聴者が、KOLからおすすめされることで欲しいという気持ちが一気に高まり、さらにコメントでKOLとコミュニケーションを取れることが大きな後押しになります。このようなパルス的な消費により、コンバージョンに繋がるのがこの型です。PRとセットにすることで、売りに繋がるPRイベントになると考えます。

この型で注意をしたいのは、起用するプロコマーサーが大前提としてブランドのファンでありユーザーであり、ブランド愛を語れて影響力のあるKOLであることです。

私が視聴分析をするなかでも、モデルやタレントを、単にファンやフォロワー数が多いからという理由で起用してしまう事例があります。このような場合は、深いコメントがなく、「カワイイ」や「オイシイ」といった抽象的な表現に終わってしまう当たり障りのないライブコマースになっていることが多いです。

このようなライブコマースでは、視聴者にブランドの魅力がビジュアルでしか伝わらず、ライブコマース本来の深みが薄くなってしまいますし、場合によっては出演者のファンサービスの場のようになってしまうので、注意をする必要があります。

▼メリット
KOLのファンが視聴してくれることで視聴数が増える

▼デメリット
費用がかかる、ブランドとの親和性が低いと効果が出ない

モーメントイベント型

これはインハウスコマーサーを起用し、季節商戦など業界の消費が動くタイミングでセールや限定品をフックにおこなうライブコマースです。例えばチョコレートメーカーであればバレンタインデーは外せませんし、百貨店であればお歳暮やお中元、ファッションであれば季節の変わり目が売りどきですよね。消費マインドが動く時期を見計らってしっかり視聴見込み層にライブコマースの情報をリーチさせることでコンバージョン(購買)に繋がりやすくなります。

ここで意識する点としては、インハウスコマーサーがしっかりとコマーサーとしての役割を果たせるかという点です。カメラ前での接客に慣れていなかったり、商品知識はあるものの、話すことに慣れていないライブコマースも時折見受けられます。コマーサーの役割をしっかりと定義し、ライブコマース配信者を育成することで、売れるライブコマースを作っていくことができると考えます。アイレップでは、このようなインハウスコマーサーをサポートする育成パッケージもご提供していますので、後ほどご紹介します。
また、コマーサーの役割については、過去のデジフル記事(「ライブコマース業界最前線 ライブコマース実践ウェビナー 〜ゆうこすとアイレップが定義するコマーサー人材とは〜」)をご覧ください。

 

▼メリット
売りどきに、セールなどを行うことで購買効果を見込める

▼デメリット
配信に慣れていないインハウスコマーサーが役割を果たせない場合がある

コマーサーコラボ継続型

この型はコンバージョンよりもまずはコミュニティ形成を目的としています。プロコマーサーを起用しつつも回数を継続し、習慣化、番組化することで、コマーサーをフックに見に来てくれた視聴者とブランドのコミュニティ化を図る型になります。継続することでコマーサーの知識に触れながらどういったリズムでライブコマースを楽しめばいいのかが徐々にわかってくるため、しっかりとしたブランド理解を通して購入に至ると考えます。

ここで起用するプロコマーサーはタレントや著名なモデルである必要はありません。あくまでユーザー代表としてブランド愛があり、コマーサーとして枠内でしっかりと話すことができるプロであれば良いです。Trip.comのライブコマースでは、旅行系ユーチューバーのおのださんとコラボしながら20回近くライブコマース配信をおこなうことで、コミュニティ化に成功していました。

▼メリット
プロコマーサーのファンも含めて、企業のコミュニティ形成が狙える

▼デメリット
継続して費用が発生する、コマーサーとブランドとの親和性がかなり必要

インハウスコミュニティ型

この型のライブコマースは、企業にとっては理想的なモデルのひとつであると言えます。社内スタッフがコマーサーを担いながら、定期的なライブコマースを配信し、ユーザーとの継続的な関係を構築することで、LTVにも寄与します。D2Cブランドなどはすでに関係構築を実現している事例もありますが、大手企業でこの形を形成できている企業は少ないため、狙うならば今だと考えます。企業Twitterの「中の人」などが話題になっていったように、社内のコマーサーにファンが付き、今後ライブコマースの枠を超えて店頭への影響も期待することができます。

Instagramアカウントと販売員などの接客慣れした方がいればすぐに始めることもできますが、大手企業などの場合、ECサイトや企業SNSとの連携など、事前にしっかりとした中長期のライブコマースとマーケティングの戦略が必要なため、ある程度は投資として考えなくてはなりません。

ライブコマースをひとつの店舗、お客様との新しいタッチポイントとして考えた時に継続的にどうありたいのかをしっかり考えて臨むことで、業界をリードするライブコマースが実現できると考えます。例えばGUの場合は、毎週ライブコマースを通した新作発表をスタッフがおこなっています。しかし、このフェーズに来るまでには、KOLイベント型やコマーサーコラボ継続型もおこない、約1年間をかけています。また、155cm以下の女性に向けたD2Cブランド、COHINAの場合は、専属ライバーというライブコマース専用のスタッフと契約し、年間365日、文字通りの「毎日配信」を2年半以上継続しており、その努力が実を結んでスタッフライバーの方にもファンがつき、コミュニティ化に成功しています。

▼メリット
社内リソースだけで実施が可能なので、高い頻度で実施できる
継続することで、インハウスコマーサーのファン作りやコミュニティ化が可能

▼デメリット
成果が出るまでに時間がかかる

ライブコマースは一夜にしてならず

ライブコマースはコロナ禍以降、改めて注目されている手法です。しかし、それは単純に1回配信すれば大きく売れるというものではなく、ライブコマースとはどのようなフレームで構成されるのか、ソーシャルメディアのエンゲージメントやECサイトのUIなどを総合的に考えた時にどのような成果を狙いたいのか、マーケティング手法として目的を持って設計する必要があります。

アイレップでは、PRとセットにしたKOLイベント型はもちろん、インハウスコマーサーの育成、ゆうこすさん率いるライバー事務所321との連携によるプロコマーサーアサイン、Instagramショップとの連携と運用をセットにしたフルファネルコンサルティング、SaaS型のライブコマースサービスを活用した、検証型ライブコマースパッケージなど、「科学するライブコマース」を各種サポートしています。お気軽にご相談ください。

Share

一覧に戻る

おすすめのダウンロードコンテンツ

人気記事ランキング

人気のタグ

無料メルマガを購読する

DIGIFULのSNSをフォローする

  • Twitter
  • Facebook
  • Linkedin