失敗しない企業DXはいかにして可能になるのか?【後編】――変化し続ける時代にDXを実現するための視点

2021.10.26

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この記事の著者

米田 吉宏

ユナイテッド株式会社
執行役員

慶應義塾大学経済学部卒業後、 2010年株式会社電通入社。2013年ボストンコンサルティンググループ入社後、主に通信・メディア・テクノロジー領域の経営戦略策定、新規事業開発、営業戦略、組織戦略等を担当。プロジェクトリーダーとして従事した後、2019年3月ユナイテッド株式会社執行役員に就任(現任)。DXソリューションの立案/推進と、全社戦略/組織強化を担当。

ユナイテッド株式会社
執行役員

昨今DX化の波が押し寄せ、早急にデジタル技術やツールについての情報をキャッチアップし、導入しなければと焦りを感じている企業や担当者は少なくないのではないでしょうか。ただ、実際にデジタルツールなどを導入し、長期的に浸透させていくためには、腰を据えた議論と本質的な課題設定が求められます。

デジタル化という不可逆な潮流を踏まえ、企業やデジタル担当者に求められる考え方やスタンスとは何か。前回同様、ユナイテッド株式会社コンサルティング部門のマネージャー層のディスカッションを通して、今後の企業DXの動きや、推進に欠かせないポイントをお伝えします。

スピーカー

55784032815_01岡部 健二
ユナイテッド株式会社Vice President
2007年ngi mobile株式会社(現ユナイテッド株式会社)入社。モバイル広告事業にて、大手メディア企業や大手コンテンツプロバイダー企業のマーケティングに従事し、2012年よりDSP事業部事業部長に就任。2018年アプリマーケティング本部長、ユナイテッド執行役員を経て現任


55784032815_02関 彩
ユナイテッド株式会社Vice President
6 年間Bain & Companyにて、全社成長戦略の立案や複数のM&A 案件、新規事業創出案件等に取り組む。その後ヘアケア商材メーカーにて経営企画部長として従事した後、2020年より当社事業戦略室長


55784032815_03松田 和也
ユナイテッド株式会社Strategy Lead
DNVにてエネルギー領域の技術・リスクのコンサルティングに従事後、アクセンチュアにて多業種のDX戦略策定・新規事業創出・JV立ち上げ、新規事業戦略策定等に取り組む。2021年より当社Strategy Lead



55784032815_04山田 祐也
ユナイテッド株式会社Strategy Lead
2018年入社。大手出版社や大手広告代理店等の営業支援戦略に取り組む。アプリマーケティング本部マネージャーを経て、現任

 

 

今後、企業のDXはどう進むのか?

松田:
よりDXの民主化が進むような気がします。僕たちの支援も、今までは各種リソースを持つ大企業を中心とした支援でしたが、デジタルが世の中に浸透して、ヒトやカネのリソースがそこまで大きくない会社でも導入できるようになりました。

今後は、よりクイックに導入できる事業や領域からデジタルを導入し効率化していく取り組みがどんどん進んでいくのではないでしょうか。それをよりクイックに検証できるツールやソリューションも求められてくると思います。

山田:
検証サイクルを早く回さなければならないという考えが普及していくと思います。今はノーコードをはじめ、簡単に開発したり導入したりできることが知れ渡り始めた、黎明期と言えます。その絶対的な価値や、具体的にできることの可能性はこれからどんどん広がっていくでしょう。そうして検証サイクルが早くなると、新規事業等の検討の進め方にパラダイムシフトが起こる可能性は大いにあります。

松田:
すでに変化していると実感することがふたつあります。ひとつは、コロナ禍で浸透したWeb会議です。3年前はわずかな先進企業しか使っていませんでしたが、今は誰でも使っている印象です。

ふたつ目はマーケティングチャネルの変化です。オンライン上で物を買うハードルは大きく下がりましたし、メディアのあり方もマスメディアからYouTube、TikTokなどにどんどん変わってきています。あらゆる企業でマーケティングの考え方や手法を変えていかなければなりませんし、1回変えて終わりというよりは、今後も変化し続けることを見据えて、先手先手で動いていくことが求められます。この対応力で優勝劣敗が決まってしまうのではないでしょうか。

岡部:
今、松田さんが消費者の変化についておっしゃいましたが、働き方の変化については、「メンバーシップ型からジョブ型へ」「終身雇用制度の撤廃」などが大きな変化としてあります。

その流れの中では、これまでのように部署にぶら下がって仕事があるのではなく、いろいろな組織が有機的につながり、コラボレーションを起こすような「プロジェクト型」の仕事が増えていくのではないでしょうか。しかもそのプロジェクトは社員だけでなく、外部のエキスパートを登用して進めていく、そんな働き方が仮説としてひとつあると思います。

山田:
事業をつくる過程や、サービス体験なども、どんどんカジュアルになっていくと思います。さまざまなビジネスのプロセスがカジュアル化して、チャレンジのハードルが下がっていくと思います。

企業DXを推進するうえで欠かせないポイントとは?

松田:
ふたつあります。ひとつは「腹決め」、もうひとつが「餅は餅屋」です。デジタル導入は、「ちょっと試してみよう」がしやすいからこそ、逆に単発で終わってしまいがちです。企業には、数年をかけてデジタルの定着やデジタルによる業務の変革をするのだという腹決めが求められます。具体的には、しっかり事業計画に入れていったり、デジタル推進組織をつくったり、投資金額を決めてしまうなど、さまざまな方法があるでしょう。

ふたつ目の「餅は餅屋」というのは、自分で全部やろうと思わないことです。デジタルのコラボレーションのハードルがどんどん下がっているからこそ、できる人や企業にどんどん任せ、自社は自社の強みにリソースを集中投下する。これによって全体最適を生むことができます。

関:
「腹決め」のところに補足すると、デジタルは「長期的に企業価値を上げるための取り組み」なので、CDO(経営層)が財務面でも明るくないといけないと思います。施策が事業計画と連動するのか、組織構築はどうか、投資金額は全体としてベストな規模か、これらをCxOクラスが意思決定することが重要です。

我われユナイテッドも、デジタルツールや施策、ソリューションにフォーカスするのではなく、クライアント企業のパーパスや長期的発展を見据えた支援をしていきたいと思っています。そのためクライアント企業がその場で求める施策よりも、「そもそも解くべき問いは何なのか?」といった少しスコープを広げた提案をすることが多くなっています。

目の前の課題にとらわれず、本当に企業の価値向上に資するのかどうかを確認してデジタル変革に伴走していきます。それが我われのパーパスの「挑戦者のやりたい、やるべきを形に」ということだと思っています。

山田:
やはり「目的」が何なのかを、どこまで会社全体で理解し切れているかが大事です。もちろん皆さん言葉としてはわかっていますが、本当に腹落ちしていない場合、検討を進めていくなかで道に迷ったり、ズルズル先延ばしになったりして目的を見失うことが少なくありません。これは個人単位でも会社単位でも起こり得ます。

ここは、デジタル管掌役員やCDOの旗振りが重要です。効果検証に関しても、きちんと体系立てておく必要があります。指標を決めて、そこまで到達したらもう一段投資する、あるいはある時期までに達しなかったら撤退する。そのような基本的な進め方を見失ってはいけません。

関:
そうですね。付け加えるなら、効果は短期的にだけ評価するのではなく、「10年後に勝っているかどうか」という目線で評価できるといいと思います。

DX推進を考える企業・担当者に伝えたいこと

山田:
基本的にトップマネジメントの仕事は、現場の目線を引き上げることです。流行ってきたからデジタルをおこなおうということではなく、「デジタルを導入したら会社が変わるのではないか?」と問いかけていくことが大切です。

ただ、デジタル推進の命を受けた現場メンバーが何も考えずに言われたまま実行するのでは、根本的なインパクトが出せません。トップは何かしらの経営的インパクトを出す手段としてデジタル推進を決めているのですから、ミドルマネージャー層は特に、なぜそれをやるのか、何のためにやるのか、経営層の意図も含めてしっかりと考えていくこと。それが推進役を担うミドルマネージャーのチャレンジです。

岡部:
「何が問いなのか」をしっかり考えることが必要です。「今、どんな問いに答えるべきか」を常に忘れずに推進していくといいと思います。

関:
「何が問いなのか」が最初から明確にクリアになっている企業はなかなかないと思います。その問いは、いろいろな視点を持った人たちと話すことで磨かれていくものなので、ぜひお気軽にご連絡ください。私たちは今後も、さまざまな企業様とディスカッションしていきたいと思っています。

松田:
事業の「協調領域」と「競争領域」を明確に決めることも大切です。協調領域では特に、外部のリソースも使って分担することでスピードも生まれます。ぜひWin—Winな関係を構築していきましょう。

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