MozCon2020 セッションレポート:ソートリーダーシップとSEO:3つの重要要素と検索順位の戦略

2020.09.25

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この記事の著者

増渕 佑美

2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタントとして従事。ソリューションビジネスUnitインバウンドマーケティングDivに所属。通販や人材などデータベース型サイトを中心に経験を積んでおり、現在はメディアサイトのSEOも担当し幅を広げている。
好きなこと:散歩、パズル、動物の動画をみること

2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタント...

MozConとは、SEOに関連したツールやコンサルティングサービスを提供する米Mozが開催している、デジタルマーケティングのカンファレンスです。毎年7月頃に米国シアトルで開催されていましたが、今年は新型コロナウイルスの影響で「MozCon Virtual」として7月14〜15日にオンラインで開催されました。

本記事では、Webサイトの企画・制作から分析、SEOまで手掛けるOrbit Media社の共同創業者かつCMOであるAndy Crestodina氏(以下、クレストディナ氏)の「ソートリーダーシップとSEO:3つの重要要素と検索順位の戦略」についてのセッションをレポートします。このセッションでは、ソートリーダーシップの具体的な説明や検索順位への影響度合いについて、クレストディナ氏による調査結果を交えながら解説されました。また、ソートリーダーになるための実践的な方法も紹介されています。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図1:Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategiesと題してセッションをおこなったOrbit Media社のクレストディナ氏)

 

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ソートリーダーシップとは

Wikipediaでは、ソートリーダーは「専門分野の権威として認められ、その専門知識を提供することにより報酬を受けることのある個人または企業」と説明されています。クレストディナ氏はソートリーダーシップには、下記の3要素が重要であると述べました。

・「expert insights」(専門的な洞察力)
・「take a stand」(立場をはっきりさせる)
・「personal brand」(個人のブランド)

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図2:ソートリーダーシップの重要な要素)

ソートリーダーの「expert insights」(専門的な洞察力)について

まず「expert insights」(専門的な洞察力)について解説されました。クレストディナ氏の調査によると「ベストなソートリーダーになる人はどんな職種か?」という質問で68%が「その分野の専門家」と回答しており、「効果的にソートリーダーシップを示すコンテンツの内容は?」という質問では、「educational / how-to content」(教育的なハウツーコンテンツ)と回答した人が70%となっています。このことから、特定分野の専門家が教育的なハウツーコンテンツを発信することがソートリーダーになることと相関があると述べられました。また、「Research reports」(リサーチレポート)も60%の人が効果的にソートリーダーシップを示せると回答しています。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図3:「ベストなソートリーダーになるタイプ(職種)は?」に対する回答のグラフ)

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図4:「効果的にソートリーダーシップを示すコンテンツの内容は?」に対する回答のグラフ)

 

<戦略1:オリジナルリサーチの公開>

クレストディナ氏は、「expert insights」(専門的な洞察力)を示す戦略のひとつとしてオリジナルリサーチを公開することを推奨しています。調査では回答者の60%が、オリジナルリサーチは効果的にソートリーダーシップを示すコンテンツであると回答しています。また、過去の調査結果などを引用し、オリジナルリサーチの重要性を下記のように述べました。

  • 75%の記事は獲得しているリンクがゼロ、50%の記事がFacebookのシェアが2以下となっており、リンクやシェアを多く獲得するコンテンツを作成するには、独自の調査やしっかりしとした意見を発信する必要がある
    参考:Content, Shares, and Links: Insights from Analyzing 1 Million Articles - Moz
  • 高成長企業はそれ以外の企業と比較して、コンテンツ戦略の一環としてオリジナルリサーチを3倍発表している
  • オリジナルリサーチを扱うページはリンクを多く獲得しやすい


あわせて、オリジナルリサーチを取り扱ったページがリンクを獲得し、検索結果でビジビリティ(可視性)を高めた例が3つ紹介されました。


・オリジナルリサーチの例1:Webサイトの寿命(デザインを再設計するまでの間隔)
マーケティングカテゴリに属する上位200サイト※1のデザインが、再設計されるまでの間隔を調査し、結果をまとめたページを公開しました。このページはWikipediaの「Digitization」(デジタル化)のページからnofollowでリンクが設置されています。これにより多くの人の目に触れる機会を得て、100を超えるリンクを獲得することができたそうです。
参考:What is the average website lifespan? 10 Factors In Website Life Expectancy | Orbit Media Studios
※1:マーケティングツールAlexaの定義による

・オリジナルリサーチの例2:標準的なWebサイトの機能
10の標準的なWebサイトの機能をリストアップし、マーケティングカテゴリに属する上位50サイト※2がその機能を実装しているか調査し、結果をまとめたページを公開しました。このページは「web design standards(標準的なウェブデザイン)」というキーワードで2位に表示されるようになり、約16万PVを達成。リンクを200以上獲得しています。
参考:Web Design Standards: 10 Best Practices on the Top 50 Websites | Orbit Media Studios
※2:マーケティングツールAlexaの定義による

・オリジナルリサーチの例3:適切な直帰率
クレストディナ氏が確認できる500以上のWebサイトを対象に、Google アナリティクスのデータから直帰率の平均値を業種別、チャネル別で算出して公開したページです。業界でほぼ誰も発表していなかったデータを発表することで、注目を集めることができます。また、過去1年間でオリジナルリサーチを公開している企業はたった47%であることにも触れ、他社がやっていないからこそ検索順位でも上位に表示されやすくなると述べました。
参考:What is a Good Bounce Rate? How to Improve or Lower Your Bounce Rate

<戦略2:本を書く>

「expert insights」(専門的な洞察力)を示すふたつ目の戦略として本を書くことも推奨されました。調査では回答者の32%が、本を書いている人は最高のソートリーダーになると回答しています。クレストディナ氏はこの戦略を説明するにあたり、Lifetime Body of Work(生涯の著作)の頭文字をとった、LBOWという言葉を使い、自身が発信した情報を管理することを推奨しました。クレストディナ氏自身は、スプレッドシートで管理運用しているそうです。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図5:クレストディナ氏のLBOW管理表)

 

うまく管理していれば、自分の情報発信活動がどのように推移しているか、振り返りにも活用できると述べています。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図6:クレストディナ氏のLBOW推移では、Videos(動画)形式の情報発信が増えているとわかる)

これらの情報を蓄積させ、ブログや本を執筆するとソートリーダーとして認知される可能性を高めるほか、本の紹介・販売ページはリンクを獲得しやすいそうで、検索順位の上昇も見込めると述べられています。実際にクレストディナ氏は、「Content Chemistry: The Illustrated Handbook for Content Marketing」を執筆、出版しており、この本を紹介・販売しているページは多くのリンクを獲得しています。また、本の売り上げで得た収益は、次のマーケティング施策の予算に活用しているそうです。

ソートリーダーの「take a stand」(立場をはっきりさせる)について

次に、「take a stand」(立場をはっきりさせる)について解説されました。クレストディナ氏の調査によると「ソートリーダーに必要な資質は?」という質問で、53%が「強固な意見や展望を持っていること」を必要と回答しています。また、44%が「議論を呼ぶ発言をすること」をあった方が良いと回答したことも紹介されました。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図7:「ソートリーダーに必要な資質は?」に対する回答のグラフ)

<戦略3:強固な意見を発表する>

「take a stand」(立場をはっきりさせる)の戦略のひとつとして強固な意見を発表することが推奨されました。調査では、前述の通り回答者の53%がソートリーダーには強固な意見があることを必要と回答しています。

クレストディナ氏は強固な意見や議論を呼ぶ発言・行動により、注目が集まり、リンク獲得につながった事例を紹介しました。

・Basecampの事例
まずひとつ目に紹介されたのが、米国のタスク管理ツール「Basecamp」を提供する会社のCEOの発言の事例です。CEOのJason Fried氏は、Google 検索で自社サービスのブランド名である「Basecamp」と検索した際、リスティング広告でこのキーワードを購入していないと競合ブランドのリスティング広告が検索結果のもっとも上に表示される状況を問題視。「Basecamp」というキーワードで表示させるリスティング広告のタイトルに、「We don’t want to run this ad.(この広告を出したくなかった)」と設定して出稿し、このことをTwitterで発信しました。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図8:Jason Fried氏が投稿した、広告のキャプチャ)

 

強い言葉を使ってGoogleを非難したこの投稿は約13,000件のコメントがつくなど、多くの注目を集め、複数のメディアがこのことを取り上げたことによりBasecampのWebサイトのリンクはこの時期に大幅に増加しました。クレストディナ氏はこの事例について、リンクビルディングには少しずつ取り組む方法のほか、このように大勢の議論を呼ぶことがひとつの方法になりえると述べました。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図9:basecamp.comの外部リンク獲得数の推移)

 

・コンテンツショックの事例
次いで、コンテンツマーケティング業界で高い知名度を持ち、ソートリーダーとして活躍するMark Schaefer氏(以下、マーク氏)が、2014年に投稿したコンテンツショックの事例が紹介されました。
参考:Content Shock: Why content marketing is not a sustainable strategy

マーク氏はコンテンツショックを、「コンテンツ量が急激に増加し、人が消費できる以上の量が供給される状態になった時、コンテンツマーケティングに限界が来ること」と定義し、コンテンツマーケティングは持続不可能な戦略であると問題提起しました。これは当時、大きな話題を呼び、その内容を扱ったページは1,000以上の外部リンクを獲得しています。また、公開から5年以上が経過した現在でも年間2,000回以上シェアされており、長期間にわたって人々の注目を集めています。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図10:コンテンツショックに関する記事の過去1年のエンゲージメント数)

 

このように、賛否両論のある話題について強固な意見を持って問題提起することがソートリーダーシップにつながる他、リンクを集めることにもつながり、SEOに良い影響をもたらします。

クレストディナ氏は強固な意見として認識されるには、情報発信時の表現を過度にソフトにせず、より直接的にするべきと述べました。例として自身の執筆した記事のタイトルを挙げ、下記の様に修正すべきと説明しています。
修正前)考慮すべきベストプラクティス:ウェブサイトを改善する可能性のある変更
修正後)目標到達プロセスを修正する:サイトからすぐに取り除くべき15の要素

 

ソートリーダーの「personal brand」(個人のブランド)について

最後の要素として、「personal brand」(個人のブランド)について解説されました。クレストディナ氏の調査によると、ソートリーダーにはソーシャルメディアのフォロワーが大量に必要なわけではなく、アイデアを共有/議論するアクティブなフォロワーが必要と回答した人が多数となっています。また、ソートリーダーは1人である必要はなくブランドがソートリーダーになれるという回答が70%、ゴーストライターにより書かれた情報でもソートリーダーシップの質に影響しないという回答は49%でした。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図11:ソートリーダーのフォロワーに関する質問に対する回答のグラフ)

 

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図12:ソートリーダーは1人である必要があるかという質問に対する回答のグラフ)

<戦略4:他のサイトに貢献する>

「personal brand」(個人のブランド)を構築するひとつの戦略として、他のWebサイトにコンテンツを寄稿すること、引用されることが推奨されました。調査では、回答者の32%がメディアに引用されることは効果的なソートリーダーシップコンテンツを作ると回答しています。

他のWebサイトへの寄稿や、引用される機会はあまり多くないため、こういった機会を戦略的に活用することが重要です。クレストディナ氏は下記の手順で対応することで戦略的に個人のブランドを構築できると述べました。

 1.普段から前述のLBOWのリストで公開済コンテンツを管理し、他者に引用してほしい(リンクを得たい)ページを把握しておく
 2.寄稿や引用に関する依頼の連絡が来るのを待つ
 3.依頼の連絡が来たら、1のリストから記事を提供する
 4.寄稿・引用先のWebサイトで記事が公開されたら、そのページから望むページにリンクされていることを確認し、感謝を伝える
 5.自身のソーシャルメディアでその記事を宣伝する

<戦略5:プレゼンテーションをおこなう>

「personal brand」(個人のブランド)を構築するふたつ目の戦略として、プレゼンテーションの機会を持つことが推奨されました。調査では、回答者の28%がプレゼンテーションの講演者は最高のソートリーダーになると回答しています。

クレストディナ氏はプレゼンテーションの機会を得るには、「$トピック$ スピーカー(例:コンテンツマーケティング スピーカー)」のようなキーワードで上位に表示できる状態が好ましいと述べました。上位表示を狙うための戦略として、所属する企業のメンバー紹介ページに外部リンクを集めることを挙げ、SEMrush等のツールを用いてブランドをモニタリングすることを推奨しました。SEMrushではブランドモニタリング機能により、登録したキーワードが言及されているURLを見つけることができます。この機能を使って企業名や個人名をモニタリングし、言及されているにも関わらず、メンバー紹介ページへリンクが設置されていない状態を検出します。もし設置されていない場合やリンク先がソーシャルメディアのアカウントページになっているなどの場合、そのサイトの運営者に連絡を取り自社のWebサイトのメンバー紹介ページをリンクしてもらうよう依頼します。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図13:SEMrushのブランドモニタリング機能)

ソートリーダーシップはどんなもので、誰でもできるのか

まとめとして、クレストディナ氏はソートリーダーシップを「マーケティングの成果を促進する、専門家または企業が作成した教育的なコンテンツ」であり、「その業界に属するオーディエンスの思考に挑戦し、新しいトレンドを見極め、調査で裏付けること」と表現しました。ソートリーダーシップを取るための取り組みは、Webサイトへのトラフィックやリード、メディアでの言及などさまざまな結果をもたらします。

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参照元:MozCon『Thought Leadership and SEO: The 3 Key Elements and Search Ranking Strategies』 (最終閲覧日:2020年9月24日)

(図14:ソートリーダーシップがもたらす結果についての回答のグラフ)

 

また、ソートリーダーシップに必要な資質を、「明確でやりがいのある新しいアイデアを発信し、それらをデータでバックアップし、はっきりとした見解を持っている」、あった方が良い資質を「コンスタントに意見を発信し、好感が持てる人物であること、議論を避けないこと」と表現しています。

著名な専門家になるための15の方法

クレストディナ氏は、最後に著名な専門家になるための実践的なアドバイスとして、下記の15の方法を紹介してセッションを終了しました。

1.LinkedInのプロフィールを完璧に磨き上げる
2.Googleで名前を検索したときの見た目を最適化する(personal SEO)
3.より深く、より包括的な記事を公開する
4.調査を実施する
5.もっとシェアする、より公に、オンラインでもオフラインでも
6.ソーシャルメディアの動画を活用する
7.他の専門家とのネットワークを作りコラボレーションする
8.講師として話す機会があれば、いつでも受け入れる
9.マスターマインドグループ※3を始める
※3:共通の目標のために2人以上が集まり、目標達成を目指すグループのこと
10.ライブイベントで朝食を主催し、ネットワークを作る
11.Meetup(交流会)を始める
12.多くのサイトのために執筆する
13.毎日書く
14.LBOWをトラッキングする
15.「役に立つことを学び、それをみんなに教える」

まとめ

このセッションでは、ソートリーダーシップについて、調査結果をもとに具体的なイメージや必要な資質、ソートリーダーを目指すための実践的な方法が紹介されました。また、あわせてソートリーダーを目指すことによるWebサイトへのメリットも挙げられており、検索順位にも良い影響を与える可能性があると紹介されています。SEOというとWebサイトの改修ばかりに目を向けてしまいがちですが、自社のブランド(あるいは個人)がソートリーダーになるための取り組みをおこなう必要が示唆されました。

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