ライブコマースの"今"から、未来の可能性を予測 〜ライブコマース専門チームTAKE ZERO連載第2回〜

2021.10.14

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DIGIFUL編集部

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アイレップはライブコマース事業を専門にプランニングするチームTAKE ZERO(テイクゼロ)を発足し、ライブコマース施策の実施やクライアント企業向けセミナーを主催するなどの活動をおこなっています。

また、最近では「ゆうこす」こと菅本裕子さん(以下、ゆうこす) が代表として、ライバーマネジメント運営をおこなう株式会社321との業務提携を開始し、コマーサー(ライブコマースに特化した配信人材)育成にも力を入れています。

TAKE ZEROがお届けするライブコマースをテーマとした連載企画ですが、今回はその第2回目の記事です。ライブコマースの概要のご紹介やライブコマースの最先端事例、イチオシのコマーサー情報など、ライブコマースの最新情報を毎月ご紹介していきますので、ぜひご注目ください。

 

第1章 生活者のもっと身近に

1-1 成長を続けるライブコマースの形

連載第1回目では、ライブコマースが今注目されている理由についてお話ししました。今回はさらに一歩踏み込み、ライブコマースの"今"から予測できる未来の可能性について考えていきます。

コロナ禍が長期化するなかで、ライブコマースは販売の補完的な手法ではなく、今や欠かせない存在になっている企業も少なくはないと思います。オフラインでの販売が難しくなった業種を中心に、これまでよりもさらにライブコマースは盛り上がりを見せている印象です。

しかし、ライブコマースの形は日々進化を続け、固定されたカメラの前でただ商品を紹介する「Eコマースの延長」での配信ではなく、店舗内をぐるっと一周しながら、実際に店舗を見て回るような目線で商品や店舗を紹介する配信など、擬似的な「ショッピング体験」を提供する形も現れてきました。中国では商材の幅もグッと広がり、試験段階ではあるものの、車や家など高関与商材を取り扱う事例まで出てきました。

このようにユーザー体験の幅が拡張していくことで、事業会社のライブコマースの勢いがさらに活発になり、一般の生活者も情報を受け取るだけではなく、情報を発信する機会が増えてくることが予想されます。Instagramをはじめ、YouTubeやnoteなど個人のコンテンツ配信により収入を得ることが珍しくない時代に突入しました。そのような個人のクリエイターが収入を得る経済圏、通称クリエイターエコノミーの文脈でもライブコマースが語られることが増え、インフルエンサーだけではなく、一般の生活者にも発信の機会が広がる可能性が考えられます。

■POINT

  • 「Eコマースの延長」から「ショッピング体験」を提供するライブコマースへ
  • ライブコマースの発信は、インフルエンサーから一般の生活者にも広がる可能性
  • クリエイターエコノミーの発展により、一般の生活者も気軽に発信できるプラットフォームへ

1-2 SNSにショッピング機能が搭載される?

ライブコマース市場がさらに大きくなるにつれて、SNS自体のあり方も進化していくことが予想されます。今や商品を比較検討する際、口コミやレビューを参考にして購入に至るという購買行動が一般的になっています。その中で現在もSNSは情報収集・交換をおこなう場として充分機能していますが、中国ではSNSに購入機能が加わった「RED(小紅書)」というサービスが2019年以降急速に成長を遂げています。“Instagram + Amazon”のようなイメージで、ユーザーが投稿した商品の動画や画像からレビューをチェックし、そのまま購入できるというスムーズな導線が設計されています。

56934370225_01出典:BRIDGE、2020年03月18日、「日本にもソーシャルコマースの時代がやってくる、その2つの理由

(図1:RED UI画面)

このように、ライブコマースから派生したサービスや機能がさらに身近なものになる日も遠くないと思います。さまざまな企業が生き残り戦略に凌ぎを削るなかで、今後日本のライブコマース市場ではどのような展開が繰り広げられるか、次章では少し先の「未来」を予測してみます。

第2章 ライブコマースの未来予測

2-1 男性商材ニーズの増加

ライブコマースで今後期待できることのひとつ目は、「男性商材の増加」です。化粧品やアパレルブランドなど、これまでの日本のライブコマースは女性商材が多い印象があります。しかし、今後は男性商材の分野も成長していくでしょう。その背景に「コロナ禍でのネットショッピングの増加」と「メンズコスメ市場の急成長」が挙げられます。

■POINT 1:コロナ禍でのネットショッピングの増加

株式会社Mofflyが実施した「ライブコマース利用実態調査2021」によると、女性より男性の方がライブコマースの定期利用率が高く、1回あたりの購入金額も男性の方がやや高いと述べられています。さらに男性利用率が、2018年から2021年にかけて「12.4%」増加しています。今後のライブコマースは、「男性ターゲットの商材をアピール」「男性ターゲットのコミュニティ作り」などの需要がありそうです。

56934370225_02出典:TAGsAPI、2021年2月21日、「ライブコマースは女性より男性に使われている?【ライブコマース利用実態調査2021】

(図2:ライブコマースの利用経験)

56934370225_03出典:TAGsAPI、2021年2月21日、「ライブコマースは女性より男性に使われている?【ライブコマース利用実態調査2021】

(図3:ライブコマースの利用経験 2018年と2021年の比較)

■POINT 2:メンズコスメ市場の急成長

インテージの調査によると、2020年は化粧品市場が縮小するなか、男性による化粧品市場規模は前年比「104%」と拡大傾向にあり、特に洗顔クリームや化粧水などのスキンケア製品を中心とした「基礎化粧品」ジャンルが「107%」成長するなど飛躍していると述べられています。このように、数値的に見てもメンズコスメ市場は拡大していることがわかります。

56934370225_05出典:インテージ、2021年4月22日、「コロナ禍でも伸びた!男性の化粧品購入

(図4:男性による化粧品市場規模の推移(カテゴリー別推計))

また、化粧品業界も時代に沿った変化が見受けられます。例えば、女性用化粧品では解決できなかった「男性特有の肌の悩みに特化した スキンケアブランド」の登場や、女性用・男性用と分けてしまうのではなく「女性でも男性でも使用できる ジェンダーニュートラル」がコンセプトのメイクアップコスメの登場です。業界規模で、「化粧は女性がするもの」というイメージから改革がおこなわれています。

化粧品業界のみならず「メイク男子」の芸能人・インフルエンサーが登場し、男性でも肌に気を遣うことが当たり前で、男性のメイクアップが受け入れられる社会になりました。

かつて、男性はコスメショップの店舗に入りづらかったかもしれません。それがECサイトだと他人の目を気にせず比較検討・購入できようになりました。そのうえライブコマースとなると、「テクスチャー」や「香り」などランディングページだけでは伝わりにくい情報を取得し、販売員に直接質問することもできるようになりました。コスメショップのライブコマースに「男性でも利用できますか」などのコメントを目にしたことがあります。それも、メンズコスメ市場の変化の表れでしょう。

2-2 地方活性化の可能性

ライブコマースで今後期待できることのふたつ目は、「地方活性化」です。「ライブコマースの最大活用」と「生産者支援」の2点から考えられます。

■POINT 1:ライブコマースの最大活用

コロナ禍でおうち時間が増え、いつでもどこでも買い物できるネットショッピングの利用が急増しました。それがライブコマースだと、「購入者はどこからでも視聴できる」「販売者はどこからでも配信できる」ことにより、場所を問わない買い物スタイルが確立されます。

また、ライブコマースでは生産者や販売者など、「人の顔」が見えます。それによって、ネットショッピングにある「運営者不信」などの不安を解消できます。作った人だから伝えられる安全性やこだわりの情報を視聴者は求めており、それが信頼に繋がります。

何より地方ライブコマースがECサイトに勝る点は、「人間味」を感じることができる点です。たとえば生産者が、生産地から、自身の言葉で直接生活者に商品説明をするからこそ、つくり手の温かみや物づくりに対する熱量を伝えることができます。その土地に訪れなければ体験できなかったことが、インターネット上で可能になる日も近いのです。

■POINT 2:生産者支援

地方ライブコマースは生産者やその周りに良い影響を与えることが期待できます。例えば農家を例に挙げると、生産地から配信し、注文が入ったところに直接配送することで、余分な配送工程を減らすことや在庫処分の減少も期待できます。さらに、災害などで売れ行きの悪い地域の作物を、生活者の直接購入によって、支援してもらうことも可能になるでしょう。

2-3 日本企業の中国市場進出

ライブコマースで今後期待できることの3つ目は、「日本企業の中国市場進出」です。過去のデジフル記事でも紹介したとおり、中国でライブコマース市場が急成長していることにより、中国市場に乗り出していく日本企業が増加する可能性が考えられます。コロナ禍が長期化するなかで、外国人観光客の姿は日本からなくなりました。「爆買い」が話題となり、訪日外国人の中で消費額が最も多い中国人も渡日することができなくなりました。朝日新聞の記事によると、それによって、中国人のECサイトでの日本製品の購入が伸びていることが分かり。

中国現地の製造工場にスタジオを設置し、実演販売のようにライブコマースを活用しはじめている家電メーカーも増えてきています。すでにライブコマースの基盤ができているうえに、安くて質のいい日本製品は、中国人に受け入れられやすいことが予想されます。

56934370225_07出典:SankeiBiz、2021年3月5日、「日本企業、ライブコマース本腰 動画実演販売で中国に訴求」 

(図5:実演販売の動画に出演する日本の家電メーカー)

さらにこの日本企業の中国進出によって、以下のような変化が考えらます。

■考察1:日本ライブコマースを中国人が視聴

中国で日本企業が認められれば、日本のライブコマースを中国人に視聴してもらえる可能性があるのではないかと考えます。現段階では、日本企業が中国人向けにライブコマースをおこなっています。しかし、日本人向けに日頃行っているライブコマースは全世界に開かれています。いずれは、外国人が視聴しに訪れることも考えられるのではないでしょうか。このように越境ECならぬ、「越境ライブコマース」が期待できます。

■考察2:ライブコマースに翻訳機能

考察1で述べたように越境ライブコマースをおこなうにあたって、言葉の壁が生じるでしょう。そのため、他国のライブコマースを視聴するには、翻訳機能が重要になると考えます。2021年4月、TikTokに「自動字幕起こし機能」が追加されました。動画の音声を自動的に字幕に変換する機能で、まずは英語と日本語で提供を開始し、数カ月で他の言語にも対応していく計画です。このように生配信の自動翻訳の技術が進めば、国境を超えた買い物もさらに加速していくでしょう。

今回は、現状から予測できるライブコマースの未来について考察してきました。私たちもライブコマースの未来をより一層盛り上げていきたいと考えています!次回ライブコマース連載企画、第3弾もお楽しみにお待ちください。

 

(参考)

 

▼執筆者プロフィール

吉田真央
インタラクティブデザインDiv コピーライター

mao_yoshida-1

▼プロフィール
2015年アイレップに入社後、東京・大阪の二拠点でアカウントプランナーとして従事。その後コピーライターに転身し、テレビCMやデジタルの動画プロモーションなど幅広くクリエイティブ業務に携わる。

 ▼好きなこと
 お笑いと猫

 

冨家 愛弓
インタラクティブデザインDiv デザイナー

fuke_ayumi

▼プロフィール
2021年4月アイレップに新卒入社。ブランディング領域のチームでプランニングとデザインを担当。大学ではメディア視点で社会学や心理学を学び、統計解析ソフトR を使用したアンケート調査の統計分析の実習やドキュメンタリー映像の制作実習などを行う。学外でも、イベント企画制作の実務経験を積み、イベントやPRプランナーの資格を取得。日本最大規模の学生ビジネスコンテストで2つの賞を獲得し、企業とタイアップしたパッケージ制作や、サロンサービスの新規事業立ち上げなどにも取り組んだ。

▼好きなこと
テレビドラマ鑑賞
写真撮影
トレーニング
カフェ巡り

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